参謀部員初任者研修資料 能力値について その2
☆器用
・器用とは概して四肢をはじめとした体躯の
挙動の精確性を指す。膂力と密接に連関し
手にして用いる大半の武器の命中率を補う。
・器用は精密性、再現性、即時性の独立して
機能する三要素の総合である。そのため
特定要素にのみ特化した例では、数値が低く
査定される事もある。これは軍師の目で扱う
器用が「戦闘用」なため。
・器用値は戦闘状況に大きな影響を及ぼし得る
が、膂力や体力、体格ほどには重要視される
例が少ない。理由は命中率の計算式が示す。
例)戦闘状況における片手剣の命中率
・膂力10、器用10、技能値1の場合
命中率は(10+10)×1=20%。
※数値は一般的な補充兵の訓練課程修了
直後での平均値。戦闘技能に関しては
得意武器なら2以上の例も。
対異形戦闘、それも近接戦闘において
異形が格下である人の攻撃に対して
回避を選択する事は稀だが、それでも
回避を選択された場合まず当たらない。
・上記に対し
器用値を+1した場合→命中率21%
技能値を+1した場合→命中率40%
※能力値と技能値では+1するのに必要な
成果値が大きく異なるも、影響量の差異
は自明と言える。
年齢による変動を一旦措くならば
能力値+1の必要成果値は100点。
一方技能値は0→1の必要成果値が
100点であり、以降は次の技能値×
100の成果値が都度必要となる。
指揮官級から練兵内容への助言を
求められた際は上記を基にして、
初心のうちは技能の研鑽を優先し
技能値が高い場合は能力の研鑽を
を一般論として提示しつつ、各対象に
即応した詳述をおこなうように。
・兵団内における器用値の分布と
対応には顕著な差異がある。
防衛主軍である第一戦隊では、膂力体力
体格の三項目が格別に重視されるため
器用や敏捷は平均値前後に留まっている。
反面主攻軍である第二戦隊では一撃必殺の
大前提として必中を目指すため、技能値と
ともに器用や敏捷等も重視している。
特に弧剣専一の戦闘流儀を重んじる
剣聖閣下の直弟子集団「抜刀隊」員は
剣術技能値が5以上である事に加えて
大抵15以上の器用値をも有している。
各種生産部門を監督し多数の職人や工兵
が在籍する上大規模な弓兵部隊を擁する
第三戦隊では、器用値とその効能を重視
してはいるものの、専門技能値の向上が
最重視される特殊性から、高器用値を
誇る者はさほど多くはない。
他戦隊から抜擢された兵士長級の猛者で
構成される第四戦隊には、必然的に器用値
のみならず、全能力値の高い者が揃っている。
それゆえ能力と技能とが密接に関わる特殊
技能、即ち「戦技」の高水準な保有者も多い。
大抵の者は複数種の武器を左右どちらの手
でも自在に扱え、中には戦闘状況下で瞬時
に武器を持ち替え連撃を繰り出す者もいる。
斯様に第四戦隊員は戦技研究の良好な標本
たりえるため、同戦隊敷地内に戦技研究所
を設置。平時は参謀部や各戦隊教導隊と
共同し、兵団全体の水準向上に努めている。
☆敏捷
敏捷は挙動の切り替えの速さを指す。状況に
即応した膂力の発現を司る重要な能力値で
多分に概念的ながら、戦闘状況では後述の
通り決定的な役割を担っている。
軍師の目に言う敏捷値は同時に、戦闘状況下
の時間区分や単位を定義付ける理論値でもある。
具体的には人という種の反応速度の理論限界値を
1瞬=0.2秒
と定義し
20瞬=4秒=1拍=1戦闘時間区分
と定義して1~20の範囲で査定する
敏捷値の観測結果と対応させ諸々の分析に活かす。
例)新兵と陸生眷属「できそこない」との遭遇戦
・訓練課程修了直後な新兵の敏捷の平均値は10。
荒野東域に棲息する陸生眷属の中では最弱と
される「できそこない」の敏捷の平均値は15。
よって仮に両者が各々単騎で対峙した場合、
戦闘開始1秒目にまずできそこないが挙動を。
そこから1秒遅れて新兵が挙動を開始する事となる。
※近接戦闘状況下での1秒の反応の遅れは致死的
ながら、敏捷は飽く迄挙動の開始の速さであり、
その後に続く実の挙動は膂力がこれを司る。
ゆえに挽回の見込みが全くないわけではない。
もっとも上記の両者の膂力値を比較した場合、
新兵は10~、一方のできそこないは20~。
結局できそこないの先制はほぼ揺ぎ無い。
・敏捷は飽く迄挙動の起こりの速さであって、挙動
そのものの速さではない。挙動そのものの速度は
膂力がこれを決定する。
※戦闘状況における膂力の重要性は群を抜いており、
如何なる兵士も最優先して伸ばすべき能力値である。
一方で膂力値には体格値の2倍以下という理論上
の限界値が存在するため、必然的に体格値の高さ
こそが強者の必要条件とも言える。
・敏捷は他の身的能力と比較して概念性が高く、
また飽く迄人の種族能力値を中心とした定義で
あるため、騎士団内には理論限界値を超越した
敏捷値21以上の標本も散見される。
・敏捷値が仮に戦闘時間区分の定義を超えた
21以上であった場合、1戦闘時間区分の前後
どちらか一方に追加で挙動し得る事となる。
例)敏捷値23の騎士級兵士とできそこないの遭遇戦
大抵の場合、敏捷値15のできそこないが挙動する
1.6秒前に騎士級兵士が1度目の挙動を開始。
ほぼ確実に先制した「そのうえで」できそこないの
挙動する1秒前(=敏捷値20=本来の最速の時宜)
に2度目の挙動開始。要は「2回先制攻撃」する。
或いは戦闘開始後最速の時宜で騎士級兵士が挙動し、
できそこないが健在であった場合は1秒後に挙動。
そうして両者が挙動を終えたのち、騎士級兵士が
健在であった場合は再挙動、一方的に攻撃し得る。
※敏捷値はあくまで挙動の起こりをのみを司る
性質から、実際に2回攻撃し得る者は多くない。
確実に成せるのは剣聖閣下や城砦騎士マナサ卿。
或いはニティヤやアトリアといった、敏捷特化
かつ技巧派の騎士級猛者のみとなる。
・理論限界を超えた敏捷値の保有者は、兵団内でも
特に第二戦隊に多く見られる。一瞬の隙を衝いて
猛攻する彼らの戦闘流儀との親和性、また伝令や
隠密を専門とする部隊の存在がその要因と言える。
☆活力
・活力とは生命維持の限界を数値化したもので、
「身的能力5種の合計値」で表す。活力は0から
最大値の範囲で振幅し、最大値と現在値の比
によって身体の疲労状況や損耗度合いを表す。
・活力値は0にならない限り、十分な滋養と
休養を採る事で最大値に向け自然回復する。
また活力値が0になるとその者は死亡する。
・短時間に最大値の半分の活力値を失うような
状況が起きた際、活力の最大値そのものが
不可逆的に損耗する。
・活力とは身的能力値の合計であるため、上記
の場合状況に応じ身的能力5種のいずれか
或いは全ての数値に不可逆的な損耗が発生。
四肢欠損等の重篤な症状として顕れる。
・活力の自然回復には体力値と、体力値から
算出される治癒力が関わっている。体力値が
10以下の場合治癒力は1。この場合、十分
な滋養と休養1日につき10以下回復する。
・衛生兵の医療行為や祈祷士の成す回復祈祷は
治癒力を一時的に上昇させ、活力が自然回復
する速度を高め得る。ただしこの場合でも
回復に十分な滋養と休養が必要。その他
詳細は「祈祷士専任者研修資料」を参照の事。




