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サイアスの千日物語  作者: Iz
付録集
1314/1317

参謀部員初任者研修資料 能力値について その1

中央塔付属参謀部を中心とした騎士団内の

資料において頻出する、人員の能力評価の

基準について以下に列挙し概説する。

(城砦歴107年度後半期改定)



1、能力値概説


☆軍師の目の査定する人の様々な能力のうち、

 専ら対異形戦闘に関与するものを戦闘結果

 の算定に用いるべく抽出したもの。


用例:戦闘状況における片手剣の命中率=

  (膂力+器用)×片手剣技能値+α、等



☆能力値は表象的な身的能力と内面的な

 心的能力に大別され、両者はそれぞれ

 5種の項目を有する。すなわち従来では


 身的能力

 膂力、体力、体格、器用、敏捷


 心的能力

 知力、精神、魔力、魅力、幸運


 とされてきた。



※ただし城砦歴107年度に発生した複数の

 戦闘状況において、魔軍に属する異形が

 攻撃対象を戦略戦術に依らず恣意的に

 選択する事例が散見された。


 この事は魔軍に属する異形が


・人の個体差を認識している事

・個体差に対し嗜好を有する事


 を示唆しており、その選定基準に従来

 算定要件と看做してこなかった「容姿」

 が影響している可能性が浮上。


 よって従来の心的能力5種のうち非常に

 特殊な「魔力」を別枠で扱い、代わりに

「容姿」を算定対象とする旨変更がなされた。

 つまり改定後は


 身的能力

 膂力、体力、体格、器用、敏捷


 心的能力

 知力、精神、魅力、幸運、容姿


 の各5種とし、魔力値とその影響

 については別途注記する事となる。


 

☆人の各能力値は「0~20」の範囲で

 偏差的に評価する。20は算定上限値だが、

 騎士団内には魔力による変容等によって

 限界値を突破した者もまま見受けられる。


 人の各能力における基準値は9であり、

 大多数は8~10の範囲に集束している。

 

 ただし各人の専門分野に連関する能力に

 ついてはこれより高くなる傾向がある。


  

☆能力値は専ら年齢により上下に変動する。

 また身的能力と心的能力では概ね10年

 変動域に差が見られる。具体的には


・身的能力

 20代まで成長し、

 30代から減衰していく。


・心的能力

 30代まで成長し、

 40代から減衰していく。

 

 なお魔力及び魔力による変容で上昇した

 分の能力値は、年齢での減衰が発生しない。 


例:魔力による限界突破で膂力が25

 (+5)にまで成長した者は、どれだけ

  老衰しても膂力5未満にはならない。



2、個々の能力値について


☆膂力


・武器は勿論自身の身体をも含む、凡そ

 ありとあらゆる有質量の物体を動かす

 のに必要となる能力を総合したもの。


・膂力は筋力のみならず重心移動や拍子

 の取り方等後半に渡る「コツ」をも

 内包している。


・膂力の最大値は体格に規定される。

 魔力による変異が起こらぬ限り、

 膂力は体格の2倍までしか成長しない。


・膂力はあらゆる武器の運用に影響する。

 具体的には武器種により膂力ともう1種

 の能力を加味し技能値と乗算して命中値

 を算定する事となる。


・膂力はまた、戦闘状況における

 装備の最大積載量を規定する。


 城砦騎士団の運用する全装備品は

「膂力1相当」といった風に、要する

 膂力で重さが表されている。


・対異形戦闘用の装備は全て平原仕様の

 2倍を超す重量を有する。そのため

 膂力は城砦騎士団戦闘員にとり最重要

 の身的能力値とされている。


・対異形戦闘における要となる防衛主軍、

 第一戦隊では、膂力15以上を正規採用

 の条件としている。なお第一戦隊制式の

 重甲冑は膂力13相当以上。



☆体力


・軍師の目の査定する体力とは、膂力発動の

 持続時間を指す。具体的には負荷が膂力の

 定める範囲内にて最大の状態で、何分間

 連続挙動できるかを示している。


 積載量や負荷が膂力値より低い場合、差額は

 体力の示す連続挙動時間に加算される。


例:膂力15、体力15の者の場合


  最大積載状態での稼働時間は15分

  膂力13相当の重甲冑のみなら17分

  各膂力1相当の剣と盾のみなら28分


・体力の定める限界を越えて連続挙動したり

 そもそも過積載であった場合、1分ごとに

 超過分の活力を消耗する。


例:膂力15、体力15の者の場合

  

  最大積載状態の場合、15分を1分

  超過するごとに活力を1点ずつ消耗する

 

  膂力20相当な過積載の場合、挙動開始

  時点より1分ごとに活力を5点ずつ消耗する


※活力とは身的能力値の合計で標準値は45。

 疲労や負傷によって減少し、滋養と休養に

 よって回復する。


 負傷等で最大値の半分の活力を急激に失うと

 四肢欠損等の重症を伴う戦闘不能状態に陥り、

 活力が0に至るとその者は死亡する。


 例の示す状況では活力が0に至る前に昏倒、

 その後安静を保てれば概ね5日後に全快する。

 詳細は「祈祷士専任者研修資料」に記載。



・膂力が戦闘能力に直結しているのと同様に、

 体力は継戦能力に直結しているため、騎士団中

 兵団内のどの戦隊においても重視されている。


・ただし体力値への対応は戦隊ごとに異なり、

 防衛主軍である第一戦隊では重装適応訓練を

 通じて膂力同様向上を図る。


 一方主攻軍である第二戦隊では主武器以外を

 軽装で纏め、積載量の余裕を機動力の向上に

 役立てている。その典型は伝令衆や隠密衆で、

 ほぼ無武装のまま荒野の死地を駆け巡る。

 

 弓兵中心の第三戦隊では向上を奨励するのみで

 実際は個々人の判断に任せており、特務専門の

 第四戦隊では抜擢配属された時点で既に戦力と

 して完成しているため、特段の対策を講じない。

 


☆体格


・体格は一構造体としての質量や頑健さを指すと

 同時に一生命体としての存在の確かさをも表す。


 前者は膂力の器、後者は生命の器と言い換える

 事もでき、ここでは専ら戦闘能力に寄与する

 前者を中心に扱う。


・凡そ戦闘行為において体格は攻撃力に直結する。

 手にした武器で殴るにせよ手ごろな物を投げる

 にせよ、攻撃とは意図的な質量の衝突であり、

 体格が高いほど大質量となるため攻撃力は増す。


 具体的には攻撃側の体格値と防御側の体格値の

 差額を追加ダメージとして算定する。ただし

 対異形戦闘においては異形側の体格が人より

 上回る場合が大半で、結果減算要素となり易い。



例:体格15の兵士が陸生眷属「できそこない」に

  騎士団制式片手剣での斬撃を命中させた場合


A:騎士団制式片手剣(標準グレード)は

  戦力指数0.3相当→攻撃力30

B:陸生眷属「できそこない」の

  基準体格値は20なため差額は-5

C:A+B→斬撃成功時の与ダメージは25。


  なお標準的なできそこないの活力は90。

  一撃で確実に戦闘不能に追い込むには

  実値で45以上の与ダメージが必要。


※:この事例は城砦兵士以下の戦闘員が単騎で

  対異形戦闘を行う事を戒めるのに好適。

  説明用に暗記しておく事を推奨する。



・体格値の高さは攻撃力の高さに直結すると

 同時に、被弾面積の大きさから回避行動に

 マイナスの補正を与える事となる。


 逆説的に、体格値の小さい者が回避行動を

 採る際は、種族基準値との差額を最終的な

 回避成功率に割合加算する。



例:膂力14、体格7、敏捷17

  かつ回避技能値8の者の場合


A:回避成功率=

 (膂力+敏捷)×回避技能値=248


B:体格補正値9-7=2→20%


C:248+248×0.2=297.6


  3方向から全く同時に切り掛かった

  としても、ほぼ確実に全て回避する。


※なお上記数値は城砦騎士サイアス卿を参考と

 しているが、卿の場合特殊技能「神秘の円」と

「サイアスロール」の併用で回避技能値に+2の

 補正が付くため、回避成功値は最大で372。

 事実上、物理攻撃を当てるのはほぼ不可能となる。



・体格値は他の身的能力と比して変動し難い。

 上昇は専ら10代で基準値付近にて完結し、

 以降兵団戦闘員の退役年限である55歳まで

 殆ど変化することがない。


 ただし例外的に、兵団第一戦隊の配属者

(戦闘員、非戦闘員問わず)に関しては

 体格値の上昇が頻回に見られる。


 これは、日々常人の4倍の食事量を摂取し

 徹底的に計画管理されたメニューに基づく

 鍛錬をたゆまず繰り返す事による成果であり

 概ね在籍1年につき1ずつ体格が上昇する。



・他の能力値と同様に、人の体格値の上限は

 20だが、魔力による変容で限界突破して

 伸びる者も中にはいる。


 ちなみに体格20は大柄な軍馬と同等で

 仮に体格30なら象と同水準と言える。


 陸生眷属の多くは体格値が20から30

 の範囲であり、現世に顕現した魔の多くは

 40を超える。よってこれらは身的能力と

 その帰結たる戦闘能力において、人より

 遥かに強大である。



・城砦歴107年現在、体格値の城砦史上

 最高値は第一戦隊長である「城砦その人」

 オッピドゥス・マグナラウタス子爵の33。


 マグナラウタス子爵をはじめカエリア王国

 東部のユミル平原出身者の多くは旧時代の

 巨人族の末裔であり、中には先祖返りして

 子爵の如き能力を発揮する者もいる。


 城砦歴107年現在、騎士団騎士会に所属

 する城砦騎士のうち、体格の史上最低値は

 サイアス・ラインシュタット辺境伯の7。

 伯はこれを逆手にとった回避技能を活かす

 史上最高のトレアドールとしても知られる。

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