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サイアスの千日物語  作者: Iz
付録集
1308/1317

第一部用語集 ナ~ハ

「ナタリー」

第四戦隊営舎付き厨房長を務める恰幅の良い女性。

通称「女将さん」。階級は城砦兵士長。

補充兵として入砦後、訓練課程で戦技教官を務めた

武神ライナスにその才覚を認められ、新設の

第四戦隊へと抜擢された。


ベオルクやデレク同様四戦隊設立当初からの最古参。

本来は戦闘員としての入隊であるが、他の兵らが

異様に強いためこの7年間一度も出陣の機会が

まわってこず、また兵らも出すなら料理で頼む

とばかり、意地でも出番を回すことがない。


眷属との実戦経験こそ無いものの刃物の扱いは

超一流。四戦隊員として相応しい胆力も具えている。

また古今東西のあらゆる料理を習得しており

限られた食材で十全に再現する。中でも

肉料理と焼き菓子は絶品の域。


気風も面倒見も良いため戦隊の女衆には特に人気。

男衆も胃袋を抑えられており絶対に逆らわない。

なお、若い頃は美女だった、らしい。



「ニティヤ」

本名シェーラ、次いでシェラザード。

ニティヤは暗殺者としての名跡。

平原東部要衝の街道に程近い山麓の町出身。

幼少時に町をグウィディオンに襲われ、

井戸に潜んでただ一人生き残る。

宝石商だった父の取引相手の行商によって

娘を亡くした豪族夫婦に預けられ、豪族夫婦の姫

シェラザードとして深い愛情を注がれ育てられるが、

数年後グウィディオンにより再び所領を襲撃され、

行商に託されて炎上する屋敷から落ち延び、

再び天涯孤独の身となった。


二度グウィディオンに家族を奪われ、

復讐に生きることを誓ったシェラザードは

遺産の全てを行商に差し出し復讐を望むと訴えた。

この行商はマナサの属する暗殺者集団の表の顔

であったため、シェラザードは先代マナサである

長老の下へと預けられ、グウィディオン暗殺のみを

目標として修行を積み14歳にして「ニティヤ」の

名跡を継ぐまでに至った。


力を得たニティヤは各国によって追いつめられた

グウィディオンが私掠兵団と共に荒野へと逃走した

ことを知り、仇を討つべく荒野へと向かい、

そしてサイアスと出遭った。


サイアスや城砦騎士団と共闘し

遂にグウィディオンを討ち果たしたニティヤは

サイアスの妻となり四度目の人生を生きることに

なった。数奇な運命に翻弄されたニティヤの物語は

サイアスを謳う叙事詩と共に永く後世に伝えられた。



「認識票」

城砦騎士団構成員の所属と階級を示す首飾り。

内接円をくりぬいた、両の親指を合わせた程度の

大きさの青みがかった正方形の薄いプレートの内部に

頂点を上下左右に向けて内接する正方形のプレートが

配されており、内接するプレートの四か所の空隙が

各戦隊の営舎の位置を示している。


所属に応じ該当箇所の空隙に小指の爪程度の輝石が

嵌め込まれ、所属戦隊と階級を示すこととなる。

騎士等異名を有する者の認識票にはプレート下部に

異名にちなんだ宝飾が追加される。



「玻璃の珠時計」

掌に収まる程度の大きさをした玻璃ガラスの宝珠。

まるで傷の無い真球の内部には燐光を放つ精巧な

からくりが内臓されており、常に日時を正確に示す。

その不可思議な構造や平原では未だ日時計や水時計が

使われている現状からみても、逸失した古代文明や

魔術が関わる品だと類推できる。


城砦兵士長以上の階級の者に提供され、この時計が

表示する時間を基準として任務や作戦が構築される。



「光の巫女」

城砦軍師や祈祷師のうちから選出され、宴の

嚆矢こうしにおいて重要な役目を担う特殊な役職。

高い魔力と精神感応力を以て他者の意志の力を

吸い上げて神鏡に吸収させ、精神の矢を錬成する。


多量な魔力と精神の奔流を受けるため

この役目を担う者は精神崩壊を引き起こしやすく、

そうなると次の者に引き継がれる。当代の光の巫女は

ミカガミ。先代巫女はフェルマータ。



「ファータ」

元の名前はフェルマータ。

トリクティア出身の城砦軍師。

高い心的能力を持ち、10代半ばの若さで

光の巫女に抜擢される。以降城砦史上最長となる

7年に渡りその任を務めた。


風の症例が顕著であり、無数に去来する思考や

映像の奔流から狂気を得たが、持前の高い精神力で

完全なる崩壊に至るのを押しとどめている。

宙を舞い遊ぶかのごとく楽しげに笑う哀しき乙女。



「ファーレンハイト」

第二戦隊副長たる城砦騎士。剃髪黒衣の偉丈夫。

フェルモリア出身。グラドゥスが城砦を去ったのち

副長に抜擢され、以降10数年に渡ってローディスを

支え続ける歴戦の騎士。長刀の使い手で油や粉塵で

刃に火を付け斬り付ける火炎剣を得意としている。

火炎剣は武器の損耗が激しく、業物をいくつも

焼身にしてはインクスに怒鳴られている。


火の症例が色濃くでており感情の起伏が激しいが

根は冷静堅実であり、情報戦を得意とする。

なお当人いわく「剃っている」のであり、

断じてハゲではないとのこと。



「平原」

人の棲家たる東西に長い領域への呼称。

作中時での総人口は4億程。かつては10億を超える

人口を有したが、うち5割程が約200年前の

「血の宴」の破壊と殺戮に起因する文明衰退で減少。

現状全体として再生過程にある。


平原のほぼ中央域には北から

カエリア、トリクティア、フェルモリアの三大国家が

並び、それぞれ草原と山地が国境を成している。

東端には海岸線があり、東方諸国と呼ばれる

小国家群が割拠し未だ戦乱に明け暮れている。

また北方には森林、北東には雪原が。そして北西には

峻嶮な霊峰と高原地帯があり、

平原と荒野へ続く水源ともなっている。


かつて平原西部を南北に流れる大河、

ライン川流域には「水の文明圏」と呼ばれる

大規模かつ高水準の生活圏が広がっていたが、

平原西端と連絡する魔の棲家「荒野」から

多量の眷属が押し寄せ壊滅。


現在も平原西方は廃墟だらけの無人域が広がって

おり、伸展する三大強国を除けばいくらかの

都市国家や小規模な生活圏が散在するのみである。



「フェルモリア」

平原南部に広大な版図を持つ王国で平原三大国家

の一つ。版図北部は山岳と高原であるため、

平地面積はトリクティアやカエリアに劣る。


豊富な鉱産資源を基にした鍛冶・冶金技術が発達し、

それらのもたらす高品質な武器を以て近隣に覇を唱え

建国した。そのため鍛冶、彫金職人の地位が高く

貴族に匹敵するものとして扱われており、

王家には「丘の鍛冶屋」との別名もある。


地勢的に南北で色濃く異なる文化的特徴を持ち、

複数の民族集団が入り乱れるため内乱も多い。

現王ズラトーの実弟が城砦騎士団長チェルニーであり

実子シェダーがサイアスの配下となっている。

王家の直系男子は何故か一人残らずお困り様であり、

「王家の呪われた血」と呼ばれ呆れられている。



「フレック」

第四戦隊所属城砦騎士デレクの愛馬たる

精悍な青毛の名馬。中型種の中でも特に大柄で

膂力と瞬発力に秀で、城砦の全軍馬中最速とされる。

軍馬の名産地であるカエリアでも一等級の名馬であり

伝承の戦乙女ヴァルキュリヤの名を冠する。

なおフレックとは「武具を鳴らす者」の意。



「ベオルク」

第四戦隊副長にして騎士長。

「魔剣使い」の異名を持つ異数の剣士。

フェルモリア北西部出身。生家は刀鍛冶。


フェルモリアは元来鍛冶集団が興した国であり、

鍛冶職人は貴族同然の地位を持つ。ベオルクの家系も

フェルモリア王家の遠縁であり、チェルニーとは

早くから面識を持っていた。


剣を打つより振るう方に興味を示したベオルクは

剣術修行に熱中し、20を超える頃には近隣に

並ぶ者ない剣士となっていた。その才を見込まれ

繋がりのある王家の近衛兵士となるよう要請を

受けたが使者の態度が気に食わずこれを一蹴。

身内に累が及ばぬよう志願兵として荒野入りした。


その後ローディスやライナス、グラドゥスらと出会い

第二戦隊特務小隊、通称「紅蓮の愚連隊」の一員と

なって様々に暴れまわる。真面目で寡黙な性格で

あったが周囲の破天荒振りに徐々に染められ、

今ではすっかりチョイ悪親父となってしまった。


ライナスの副官として共に大いなる魔の一柱

「冷厳公フルーレティ」を撃破。

自らの剣にフルーレティを宿らせることとなった。

ライナス戦死の際は後事に備えよとのライナスの命を

厳守して城砦に待機していた。今でもその事を深く

悔やんでおり、ライナスの子サイアスに仕えて

命を全うすることを望んでいる。


無類の酒好きで甘いもの好き。

ふざけた言動も多いが本質は凄まじく義理堅く、

ゆえに凄まじく面倒くさい性格。「魔性のヒゲ」

「ちょい悪ヒゲ親父」等の異名も持つが最近は

ベリコンをこじらせ「黒おじ様」と呼ばれ

「赤おじ様」共々浮かれている。



「ベリル」

フェルモリア北西の山間部の子売りの村出身。

旧称アマリ。兵士提供義務用に売りにだされた

うちの「余り」であった。


トリクティア貴族に実子の身代わりとして購入され

成人に遠い9歳でありながら提供義務にだされた。

絶望的な境遇に耐え、いつか強くなって見返したいと

願う強い意志を恃みとして、悲壮な決意で

訓練課程に臨んでいた。


サイアスと出会い、ベリルと名付けられて配下となる。

さらには養子に迎えられ、一家や戦隊構成員から深く

愛され慈しまれつつ、衛生兵としての勉学に励む。

名前の由来ともなった特徴的な緑の瞳を持つ。

その健気な姿に心打たれる者は多く、特に

剣聖ローディスと魔剣使いベオルクは庇護欲に

どっぷりと溺れ、「赤おじ様」「黒おじ様」

と呼ばせて歓喜に震えている。



「ヘルヴォル」

史上に冠絶する城砦騎士長にして第四戦隊副長

魔剣使いベオルクの愛馬にして名馬。

豊かで深い漆黒の毛並みを有する大柄な中型種。

主同様魔剣の影響を色濃く受け高い魔力を有する。

軍馬の産地カエリアにおいても百頭に一頭の名馬

とされ、伝承の戦乙女ヴァルキュリヤの名を与えられている。

なおヘルヴォルとは「軍勢の護り手」の意。



「ヘルムート」

宴での活躍で新たに叙任された第一戦隊所属騎士。

兵士長として参戦した宴において、敵の本隊が猛攻を

掛ける野戦陣最前線の防衛にあたり、死闘の最中に

覚醒。配下を励まし率いて百を超す敵群と最後まで

戦い、そして生き抜いた。


元より高い身的能力に卓越した技術が加わり

絶対強者たる城砦騎士の領域へと達した勇士。

なお心的能力は高くなく、中間管理職にあったことも

手伝いかなり気が弱い。怯え惑いへこみながらも

決して逃げない不思議な頼もしさを具える

鋼のフィジカルとガラスのメンタルを持つ男。

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