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サイアスの千日物語  作者: Iz
付録集
1306/1317

第一部用語集 サ

人智の境界用語集 サ行 v0.04



「サイアス」

サイアス・ラインドルフ。平原西部にある小村、ラインドルフの領主の子。

父は元城砦騎士長のライナス。母はトリクティアの地方領主の

令嬢グラティア。叔父に元城砦騎士のグラドゥスがいる。

幼少より母と叔父の元で育てられ、田舎の小村としては十二分な教育を

受ける。性格はいたって大人しく従順で冷静。人のために尽くすことを

目的として育てられたため、自己犠牲をまるで厭わない「聖贄の牛」

のような性格。母の容色に教養、父の圧倒的な胆力に、

叔父の剣術を備えているが、現段階では人見知りが激しい。

父の死を受けて、村の存続のため自らを対価に差し出すことを

躊躇なく決意。城砦騎士となるため人智の境界へと赴く。



「西域守護城砦」

荒野に棲まう魔の脅威から人の生存圏たる平原を守護するために

建設された大規模な防衛拠点にして城砦。荒野と平原の境界に設営された

南北三つの城砦を指し、特に中央の一城は荒野へ突出して存在し、

陸の孤島として熾烈な攻防の舞台となっている。



「再生加速処理」

対象の自然治癒能力を強化して再生までの時間を短縮する

準備的な治療処理。医学だけでなく魔術や呪術も応用した特殊技能であり、

城砦で最も研究の進んでいる医療分野でもある。とはいえあくまで

治る速度が爆発的に上がるだけなので、四肢欠損等の

本来治りようのない状態への効果は薄い。



「シェド・フェル」

フェルモリア王国第七王子にして王位継承権第五位を持つ、正真正銘の

ロイヤルなバ、もとい若者。本名は「シェダー・フェルモリア」であり、

継承権者の証である「色名」を持つ。「シェダー」は「灰色」の意。

王家においては早い段階から「予備」として扱われ、基礎能力を

「器」として鍛え上げられた後は中身を一切詰め込まず、

ほぼ軟禁状態で放置されていた。これは「完成品」が反乱の神輿として

担ぎ出されるのを防ぐという、反乱の絶えない王国ならではの事由に

よるものであり、ある意味彼は無能であることを強いられていたと言える。

事実、後継者間では何度も争いが起きており

結果として彼の継承権位はその出自より上昇している。


もっともフェルモリア王家の特色である突き抜けたお調子者っぷりは

誰に鍛えられるともなく存分に開花しており、幼少より方々で

事件を引き起こし、王家の血を常に行動で示してきた真正のお困り様。

容姿や魅力を除けば全て平均以上の能力を持ち、特に器用と敏捷は

人並み外れ、どんな姿勢からでも高速移動できる。

育った環境やお家の事情を考えれば相当まともな方ではあるが、

端からはやっぱりおかしい類に分類される、未完の大器、らしき者。



「四肢再生」

城砦で最も研究の進んでいる医療分野の一つで、文字通り

欠損した四肢の再生を目的とする治療技術。

欠損した部位が残っていたり、欠損直後の成功率はそれなりだが、

負傷発生から時間が経過するほど成功率は下がる。

また治療の実行には医師や魔術士、祈祷師を昼夜問わず連日酷使

することになるため、費用対効果の低さから積極的には行われず、

兵士階級の場合は勲功を数千点消費することで治療申請が通る。

なお城砦騎士や騎士長は無条件かつ最優先で治療が施されるが、

大抵の騎士は負傷による撤退を望まないため、手遅れになるケースが多い。



「シベリウス」

第一戦隊精兵隊の長を務める歴戦の騎士。カエリア王国の

ユミル平原出身であり、オッピドゥスやインクス、マレアとは同郷。

謹厳実直で知られ、第一戦隊の中でも最も模範的な騎士とされる。

巨人族の末裔とされる同郷の出身者としては比較的小柄で外観的には

一般人と大差はないものの頑健な肉体と不屈の精神を持ち、

「鉄人シブ」として隊の内外から信頼と尊敬を集めている。



「爵位(魔)」

荒野の、そして世界の支配者たる魔が実体化した際の戦力指数に従って、

騎士団側がその強さに敬意を表し付けた位階。概ね平原で貴族に与えられる

ものに準ずる。魔の戦力指数が111から120であれば男爵、

121から130であれば子爵といった風に、10刻みで付与されている。

公・候・伯・子・男の5階級があり、公の爵位を持つ者には別途「魔名まな」も

付与される。著名なのは冷厳公フルーレティなど。


これらは平原の人から見て魔の強さが数字だけでは伝わりにくいために

付けられたものでもあり、魔自体が名乗っている訳ではない。

もっとも魔剣と化したベルゼビュートとフルーレティは、

共に魔名を大変気に入っているらしい。



「城砦騎士」

人の存亡に関わる強大な敵、魔と渡り合うだけの能力を有する

勇者への称号であり、城砦兵士たちを束ねて日夜激務をこなしている。

平原諸国の兵士ではまるで歯が立たない眷属を群れ単位で殲滅できる

戦闘力を有し、戦力指数では10を超える。

平原諸国の兵士1000人に匹敵する戦力を個人で有する、

まさに一騎当千の兵である。この時代に現存する城砦騎士は

100人未満であり、その大半が中央城砦に集中している。



「城砦騎士長」

一騎当千の兵である城砦騎士を束ねる万夫不当の英雄への尊称であり、

その戦力指数は20を超える。単騎で一国を滅ぼし得る驚異的な存在

であり、場合によっては魔をも倒し得る人類の希望でもある。

人全体で現存するのは3名のみであり、いずれも中央城砦に詰めている。

なお城砦騎士、城砦騎士長ともに当人一代限りの称号であり、

支配階級としての身分を意味するものではなく、

あくまで戦闘能力を指すものとして扱われている。



「城砦軍師」

森羅万象の普く総てを数値として観測し、彼我の戦力を算出して

戦の帰趨を占い、神算をもって魔の策を破り人を勝利へと導く者の呼称。

適正のあるものが城砦での実戦経験を経て覚醒し、以降城砦にて

さらなる研鑽に励むこととなる。最大の特徴として、

あらゆるものを数値化して算定する「軍師の目」という技能を持つ。



「城砦の子」

城砦兵士や騎士の間に生まれた子の総称。

「城砦兵士は城砦の所有物であるため、城砦兵士同士の子は

当然ながら城砦の所有物である」という発想の元、城砦に召し上げられた

子らを差す。ただし内実は温情措置であり、戦死しやすい両親に代わって

城砦が全責任を負って子を育成する。両親は休暇さえ取れればいつでも

自らの子に面会でき、また月に一度は書面で経過報告を受ける。

引き取られた子はアウクシリウムにある育成施設において、

退役した騎士や軍師に指導を受けながら最大限の慈しみを以て育てられ、

成人と同時に城砦兵士となる。城砦兵士や軍師は魔力を有するため

両親ともに魔力を有する城砦の子らは、生まれながらに魔力を秘めており、

成人年齢に達する頃には大抵何らかの異能を開花させている。

当代における著名な例としては、両親が共に城砦騎士であり、

自らも成人と同時に城砦騎士となった剣聖ローディスがいる。



「城砦兵士」

城砦における主たる構成員であり、戦闘任務の大半を担う

実質的な人の存亡を担う壁。城砦にて訓練課程を経た者が、

魔や眷属との実戦を経てなお生き残った場合に兵士として認められる。

戦力指数は概念の基本ともなる1とされ、個人差含め概ね1~3の範囲に

とどまる。なお最小単位といえど各国兵士に換算すれば

概ね一個小隊に匹敵する戦力を有している。



「城砦兵士長」

城砦兵士の小隊を束ねる役割を担う者。戦力指数は概ね5程度であり、

戦力だけでなく指揮・統率等の能力も求められる。

専らベテランの城砦兵士が就任し、城砦において通常到達しうる

最上位の階級でもある。



「シラクサ」

現状最年少の城砦軍師である少女。城砦騎士と軍師の間に生まれた

城砦の子であり、アウクシリウムにて育成され、成人と同時に入砦した。

生来高い魔力を有し、多くの異能を持つが同時に多くの変容も併せ持つ。

最大の特徴として念話が使え、肉声を持たない。そのため産声の時点で

どの子より早くに異能を認められ、以降は徹底的にその才を磨かれた。

日差しに極端に弱く、異能の影響もあって隔離されるようにして育成

されたため、豊かな感受性を持て余しやや鬱屈した日々を送っていた。

入砦してからは先輩軍師たちに大層可愛がられて徐々に心を開いており、

サイアスらと出遭ったことで同年代の友人もでき、精神的に安定してきた。


乳白色の肌に真紅の瞳、髪は鴉の濡れ羽色と、現実味に乏しい一目で

魔力保有者と判る容貌をしており、空間認識や兵器開発にも才能を有する。

趣味は読書で兵書百万巻を諳んじるとも言われ、常人とは明確に一線を

画す才を具えるも、メンタルは至ってお年頃な感じの次代を担う14歳。



「人智の境界」

南北に渡って三つ存在する西域守護城砦のうち、中央の一城を指す通称。

魔の侵攻を食い止める囮として意図的に荒野へ突出して建造され、

定期的に人員を補充し恒常的に1000人の精鋭兵士を駐屯させており、

陸の孤島として魔の軍勢の集中砲火を受けつつ耐えている。

魔に差し出された生け贄としての側面もあり、

魔にとっては平原から差し出された餌箱でもある。



「精神の矢」

東方諸国で今も残る神歌かむうたを伴う儀式魔術によって、

人々の心に宿る不撓不屈の魂を僅かずつ抽出し神鏡に集めて

一本の矢として取り出したもの。魂の抽出に係る魔術要素は

神と呼ばれる大いなる存在が人々から信仰心を吸い上げる様式と

共通点が多く、精神感応性の高い特殊な修行を積んだ祈祷師や軍師が

「光の巫女」となってその役目を担うことになる。

光の巫女は他者の精神を自身に取り込みさらに鏡へと移す

神技のために精神的な損耗が激しく、精神崩壊を起こしやすい。

当代の光の巫女は軍師ミカガミ。先代は当時10代だったフェルマータ。



「セメレー」

第二戦隊所属の名物兵士長。城砦騎士アクタイオンの娘であり、

武辺者の父に男子扱いで養育され、幼少より剣術の稽古に明け暮れた。

父譲りの覇気と大声と謎のテンションを持ち、所構わず大声で

名乗りをあげる。父親同様両手剣の名手でありさらに組討ちを得意とし、

独自の必殺技を多数持つ。誰もが目を疑うド派手なピンクの甲冑は

男子扱いされ続けた反動による乙女チックな自己主張らしい。

剣聖剣技「砕」の習得者でもあり、最も騎士に近い兵士と言われていた。

グウィディオン戦や貪瓏男爵戦、さらには闇の御手討伐対隊などで

武功を重ね、遂に絶対強者たる城砦騎士の一人となる。



「セラエノ」

城砦騎士団の智謀を統べる最高意志にして、人智の境界を超えつつある

「半神の諸例」の一柱。騎士団長直下の参謀部の長であり、

城砦軍師長の位に就いている。連合軍結成当初から既に連合軍師長の

秘書官として記録に名前が残っており、少なくとも150年以上

前線に出ていることになる。中央城砦の建設に深く関わった人物の一人。

年齢不詳。性別は一応女性。性格は破綻気味。


当代唯一の観測技能10の保持者であり、森羅万象の遍く全てを見抜く。

相手の思考を読むことすらできると言われるが、実際にその姿を目撃した

者は稀であり、背中に翼がある、空を飛ぶ等の噂が流れている。

こうした噂は歴とした事実ではあるのだが、「水の症例」の強い影響により

100日単位での眠りと目覚めを繰り返しているため、単純に目撃し得る

機会が少ないこと、また宴の度に大勢死傷し入れ替わる城砦の人員事情では

平原にまで生の情報を伝達し難いこと、そして名声を以て名を伝えるには

あまりにも名状し難きお困り様であること等から自然とその存在は

平原に対して秘匿され気味である。


金髪碧眼に乳白色の肌と容色に優れ、背中には純白の美しい翼を持つため、

その姿を見た兵士たちの間では「天使」と呼ばれることもある。

この翼は強すぎる魔力の影響で生えたと言われているが、ユーツィヒの

秘書官として世に現れた頃には既に有翼であったという記録もあり、

真偽の程は定かではない。滅多に出てこないが出てくると大暴れする

お困り様。自身同様「水の症例」の色濃い発露が見られるヴァディスや

サイアスをそれとなく気にかけ何くれとなく構ってはいるが、

実は単に美形好きなだけとの噂もある。



「セルシウス」

第一戦隊の副長を務める城砦騎士。一般人としてはかなり大柄であり、

甲冑の上に羽織った臙脂色のガウンがトレードマーク。理知的な紳士であり

軍師の目をも有している。何をするにも豪快なオッピドゥスの裏方として

後方任務にまわることが多く、大抵別働隊を率いて戦局の穴埋めに奔走している。

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