目覚め
風が顔に当たって心地よい。
ああ…。気持ちいい…。
…って…。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
いつのまにか、太陽が昇っていて、きっともう9時くらいだろう。
…ん?まてよ、ここはどこだ!?
ああぁぁぁぁ!?……あ?
……あ…れ?
確か俺は…ホモに犯さ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。
…なんだよ、夢かよ。
「おはよう」
…夢じゃありませんでした…。
ていうか、あの時は暗くてよく分かんなかったけど…このホモ男…割と美形じゃねぇか…くっそ、腹立つなぁ。
「…なに?俺に見惚れてたりする?」
「んな訳あるかよ、ばぁか」
死ね。
あんなことしやがった癖に…。
俺は明確に覚えて…明確に…うわぁぁぁ…思いだしちゃったじゃねぇか。
「…昨日は…」
男は少し苦笑いしながらこう続けた。
「昨日は…ほんとにごめん…」
…は?
今…こいつ…なんて言った?「ごめん」って?
いや、え…なんか……調子狂うじゃねぇか。
まさか、謝罪してくれるとは思ってなかった…。
「えーっと、いや、まぁその…実際入れた訳じゃないし…」
…なに言ってんだよ、俺。
なんで、こんなに戸惑ってんだよ。こいつは俺の敵じゃねぇか。
「…昨日は…むしゃくしゃしてて…ね。君には八つ当たりしちゃって…」
男は、言いづらそうにそう言った。
…八つ当たり…?
「…なんかあったのかよ…?」
八つ当たりで俺のこと×すなんて…相当な事があったんだな。
「…聞いてくれる?…えーっと」
「朝比奈忍」
「ん、忍っていうんだ君。俺は、夏目凜」
お互い、名前も知らない癖に…あんなことしたんだ…最悪…最悪だ、っ。
でも、なんだか夏目の事を憎めなかった。
きっともう、昨日の内にプライドをズタズタにされたからだ―――。
「実はね―――…」
そう言って、一度呼吸を整えた後、夏目は話し始めた。
名前を出すタイミングとか難しかった…。