プロローグ
辺りはもう真っ暗で、そして静かだった。…不気味なくらいに。
街灯がうっすらと光っている…ただそれだけの光しかない、闇だった。
「…なぁ、そこのおにーさん?ちょっとツラ貸してもらおうかな」
不良なんかが使っていた、少し古いやり方で、俺は薄暗い道を歩いていた若い男に声をかけた。
「……お金でも欲しいのかな?じゃあさ×××させてよ」
「…はぁっ!?」
思いがけない男の不埒な言葉に、俺はつい大声をあげざるおえなかった。
…まさか俺のこと女だと思ってんのかこいつは。
「お、俺は男だぞ?」
俺の言葉は震えていたように思う。
「ん?あ~いや、知ってるけど?」
ちょっと濁ったように、言いにくそうに男は言った。
顔を合わせてから、1度も笑顔を絶やすことのない男だったが、その笑顔からは噓臭さがした。
…いやそんなことより、ちょっと待て。
今こいつ…何つった?
「知ってるけど」って…はぁぁぁ!?こ、こいつは…ホモ…。
変な奴に絡んじゃったかなこれは。
さっさと退散しますか…。
「あ~えっと、すいません。さっきのやっぱナシで…っい!?」
「お金欲しいんでしょ?あげるからさ」
おいおいおいおいおいおい。
これなんなんだよ。規制されんじゃねーのか。
ピーッとかピーッとか…変な音ばっか流れてくるんじゃねーだろうな!?
「…っちょ!?や…やめっ」
やばいから。これは本当にやばいから。っ…体がしびれてきて動かない…。
なんでって?男が俺の×××を掴んでるから。
分かる人には分かる…×××に入る言葉……。
「さっきは暗くて良く分かんなかったけどさ…可愛い顔してんね?」
「可愛い顔」って言うのは、女に言うもんだろ?
そんなこと俺に…っていうかそれ以前に男から言われても全然嬉しくねぇ…。
「っくそ…!」
こいつがこんな変態ヤローだと分かっていたら…近づいてなんかなかったのに…!
そんなこんなで、俺たちは出会った。
最高に最悪な出会いだと思わざる得ない。
その時の俺は、まだ知る由もなかった。
俺が…こいつのことを好きになるなんて…。そんなこと…ありえねぇ。
…はいここからピー、ピーのオンパレードに突入します…。
ここら辺はピーが多いですが、ここを乗り切れば基本、男同士がいちゃいちゃしているだけです。まぁ、誰得かと言えば俺得ですかね?