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「では、ミーティングをはじめます」

司会は部長だ。

俺達は部室に集まっていた。本の掃除をするには時間が必要で、それは週末に回すことになったのだ。もう本関連以外掃除は残っておらず、ミーティングとなった。

議題は

「部名について。期限は一ヶ月後だから焦って決める必要は無いけど、決めなくちゃね」

オカルト研究部的な活動内容だが、オカルト研究部ではダサいということで別の名前にすることになっていた。

こういうのは早いうちに決めたほうがいいだろう

「意見ある人挙手!」

真っ先に手を上げたのは古畑。

「探求部」

ホワイトボードに書かれる。

探求部。その名の通り捜し求める部。なんか弱いな。インパクトに欠ける。

続いて手を上げたのは水姫

「七不思議研究部」

そのままだな。だがこれじゃ七不思議全部を研究し終えたら部名変えなきゃいけなくなる。駄目だな。

その後も淡々と部名が挙げられていく。

「高校生の自発的自然現象調査共同集団」とか「ミステリ研」とか一般的なものから、意味不明なものまで様々だ。

しかし、どれもインパクトに欠ける。これって案が出ない。

 他のメンバーもそれを感じていたようで、どの意見もボツとなった。結局、良い案が出ないまま持ち越しとなった。明日議論してもどうせ無駄だろうということで、明日はまた別のことをすることに決まり、部名会議は来週だ。

 帰宅途中も部名を考えながら歩いていたが、やはり良いものは思いつかなかった。ま、部員全員で部活時間一杯使って思いつかなかったんだ。そう簡単には出てこないさ。


 翌日。

「では、今回の議題は」

今日もミーティングだ。今日はこの部の活動内容の中心でもある、「七不思議について」だ。

七不思議を調べていくのに、七不思議について知らなければ何の意味も無い。

実際、俺も七不思議二つしか知らない。旧校舎四階の奴と、図書室の奴だ。

司会は今日も部長。やけに水姫が話したがっていたが、一番高校生活が長いから部長のほうがいいだろうとなった。

「まず閉鎖された図書室だね。これはもう既に知ってるだろうしカットで」

当然だ。だってその七不思議の原因がすぐ傍にいるんだからな。

「二つ目。旧校舎四階、通称『消失の間』」

消失の間か。本当は入学式後の学校探検で行く予定だったが幽霊の一件で行けなかったな。どういう噂があるんだろう

「その名の通り、その階に入った生徒は行方不明になる、という七不思議」


行方不明になる、か。ありきたりだな。

「なぁ山神」

ふと山神に質問してみることにした。

「何かしら」

「お前旧校舎四階に入ったことあるか?壁すり抜けられるだろ?」

幽霊なら鍵とか意味を成さないはずだ。

「私も行こうとしたことはあるわ。七不思議も一通り知っているもの。興味があったから」

行こうとしたことはある?つまり行けなかったってことか?

「どういうこどだ?」

「不思議なことに、私は基本的に七不思議の現場に入ることが出来ないの。図書室とか一部例外はあるけれど」

「入れない?」

「ええ、以前入ろうとしたことがあったの。でもね、弾かれたって言えばわかるかしら。入れなかったの」

七不思議があるのは幽霊が入れない場所、か。

もしかしたらこの学校の七不思議にはとんでもない真実が隠されているんじゃないか

「何々?何話してるのよ」

ああ、こいつらには聞こえないんだったな。

俺は話しの大筋を掻い摘んで教えた。

「七不思議の舞台に幽霊は入れない、か。これは匂うな。本当はその幽霊と会話できれば有意義なんだが・・・」

「そのことなんだけど」

と水姫が待っていたかのような声を上げてカバンを漁る。そういや今日はヤケにカバンが膨らんでたな。何か入れてるのか?

「これこれ」

水姫が出したのはノートPC。それを立ち上げると、山神の座っている付近に移動させる。

「綾乃ちゃんはモノには触れるんでしょ?ノートPCにも触れる?」

そういうことか。

「どうだ、触れるか?」

山神がノートPCに手を置く。どうやら触れるようだ。

「大丈夫っぽい」

「そう、良かった。実はそのPCにね、発音アプリ入れてあるの。文字を打ち込めば機械的な言葉だけど音声にしてくれるはずだよ」

カタカタと何か打ち込んでいる。

というか山神ってノートPCの使い方わかるのか・・・。ハイテクな幽霊だな。どこで知ったんだか。

やがてノートPCから音が発せられる。

「ノロイコロス」

・・・やけにドスがかかった音だった。

場の空気が凍りつく。そりゃそうだ、幽霊に呪い殺すとか言われたらそうなる。

「ジョウダンヨ」

と冗談であることが告げられる。

「おい、山神。冗談でもやっちゃいけないことがあるだろ。お前幽霊なんだぞ?」

山神は満面の笑みだ。

「一度やってみたかったのよこういうの。私の声って聞こえないじゃない?だからいくら怖い事言っても何の効果も無かったのよね」

やれやれ

「冗談だってさ。一度言ってみたかったんだと」

「あはははは・・・冗談きついよ綾乃ちゃん・・・」

水姫の声は震えている。

「というかお前どうしてあんなドス聞いた音出たんだよ」

「ここの音声加工ってタブのところにあったわ」

と指差す。たしかにそこにはボタンがある。音声に自動で数十種類の中から選んだものに加工してくれる機能らしい。

「お前普通に話してちゃいみないだろ。今度からちゃんとそれ使えよ」

クールみたいな口調してる癖して実はイタズラ好きなんだろうなきっと。だから七不思議にまでなったに違いない。

「じゃ、じゃあ話を戻して七不思議のほうに・・・」

と残りの七不思議の話しに移る。

今のところは必要ない情報から興味深いものまで様々だ。あと、七不思議はなんだかんだで学校全体に分散していた。割と最近出来たばかりのはずの新校舎にも七不思議があったのは驚いたが。七不思議できるのはえーな。

「最後に七不思議の七個目。内容は誰も知らないの。『六つの真相を知った者のみが知ることができる最後の七不思議』だったかな」

誰も知らない七個目の七不思議か。こういうのは逆に怖いな。知ってしまったら死ぬんじゃないか的な

「とりあえずは旧校舎四階の七不思議から攻めるってことで。ここから近いし」

どこの七不思議からやっても同じだろうということで図書室からの距離が近い旧校舎四階の件からになった。

本掃除とか部命名が残ってるから、早くても来週中旬くらいからになるだろう。

 まだ時間に余裕があったんだが、その後は意思を伝えられることが楽しいらしい山神と、幽霊のことが知りたい他メンバーの意見が一致したらしく、だらだらと世間話をしていた。

「楽しい」

『正直ヒマだったわ。あなた達に会うまでは誰とも意思疎通できないんだもの。唯一物に触れることが出来るここは閉鎖されて誰も近寄ってこないし、つまらない毎日だったわ』

自分の存在が誰からも認識されず、干渉することも出来ない。それはとても悲しいことだと思う。俺だったら発狂して自殺してるんじゃないか?まぁ幽霊は既に死んでるから自殺なんて出来ないんだが。

『でも、今は結構楽しい毎日ね。毎日が充実しているわ』

それから色々なことを話した。くだらないことから、趣味、記憶に残ってることとか。

面倒だし、どうでも良い情報ばかりだから割愛するがな。

そんな風にして一日が終わっていった。

 明日はやれることがないのでオフにすると決まった。

週末に図書館の本掃除を一日することになるので、そのための休息という意味合いもある。

つかの間のオフを満喫するとするか。












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