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高校一年から二年にかけて作っていた小説を設定、ストーリーの大筋はその当時のままながら、色々変更やストーリーを追加。
あまりにも恥ずかしいイベント&無理があるイベントは削除。
原案作品そのままなので、色々おかしな点があります。そもそも文章力が…
超能力を信じている人は果たしてどれくらいだろうか?
そんな疑問を持つ俺。だが所詮は一般人だ。人数なんて調べることは出来ないし、調べたいとも思わない。
でも、最低一人はいると言い切れる。
それが誰かって?
それは俺だ。俺はとある事件に巻き込まれ……。いや自分から入っていったか。
とにかく、とある一件で超能力としか言えない出来事を目の当たりにし、それ以降超能力を信じるようになった。
だが、今となっては超能力と思しき力を見せたあの人はこの世にいないし、あの出来事以降超能力を見たことは無い。
今ではあの出来事も時という名の砂に埋もれ、忘れ去られてしまい、確認する術は無い。
「残念だ」
ベットの上で呟いた俺の独り言を律儀に聞いていた奴がいたようだ。
そいつは首をかしげるような姿勢で俺を見て言った。
「何が残念なの?ひょっとして誰かにフラれた?」
「なんでもない」
ベットから起き上がりながら答える。人が思い出に耽っているというのに全く空気の読めない奴だ。
というか一体いつの間に入ってきていたのだろうか。
「なーんだ、残念。今日早いんでしょ?朝ごはん出来てるからね」
そう言って妹は出て行った
彼女の名前は、江神すみれ(十三歳) 中1 。小学生料理コンテストとかいうので日本一になったことを除いてはどこにでもいる普通の少女。得意なことは料理、家事全般。また、学校の成績は優秀である。
ベットの横にある時計を確認する。時間は朝7時ちょっと前。昨日までの俺ならあと30分くらいは寝ているところだが、今日はそうはいかない。なんたって今日は高校の入学式なのだ。
朝食を食べ、制服に着替え、早めに家を出る。
「いってきます」
両手を挙げて伸びと深呼吸をする。
四月の心地よい風を浴び、桜咲く道を歩き学校へ向かう。なんとも入学式の朝らしい景色じゃないか。
今日から始まる新しい生活への期待を膨らませながら歩く。
いつの間にか高校を卒業。そんなつまらない未来にならないようにしないとな。
運が良いことに、俺と同じ高校へ進学した人の中には、中学の頃仲が良かった連中も多い。充実した高校生活を送るには十分・・・だと思う。
「よっ、江神」
誰だ?と振り返り、顔を確認する。当然だが見知った顔だった。
「お、古畑か。久しぶり」
後ろからやってきたのは小学校のころからの親友、古畑だ。
こいつも俺と同じ高校に通う一人だ。
【古畑】 江神の同級生で親友。そして悪友。昔からの付き合いがある。俗に言う元中学生探偵。とても頭が冴える奴で成績優秀、容姿端麗、しかも祖父は警察のえらいさん。と普通はエリート路線まっしぐらなんだが・・・なぜか「つまらない」という理由で名門高校を受験せず、俺と同じところを受けた。
「江神にしては珍しく早起きだな。さすがに初日に遅刻しようとは思わんか」
「うっせ、それにギリギリが多いだけで遅刻なんて数回しかしたことねーよ」
時間配分が良いといって欲しい。実際俺は一分一秒でも睡眠時間を延ばそうと努力をだな・・・
「そういえば江神、今日の朝のテレビ見たか?」
「テレビ?見てないが」
いくら早起きした俺でも、家から出る時間がその分早かったからテレビを見る余裕なんて無かった。
何か大きいニュースでもあったんだろうか。
「報道によると、俺達の高校に某国の姫様が入学するらしい」
テレビの特集で見たという、古畑の情報によると、ヨーロッパ系の小国から日本の文化を学ぶために皇女来るらしい。ただ、入学式と同時に来るのではなく手続き上遅くなるらしいが。ちなみにこんな何の特徴も無い町がなぜ選ばれたのか・・・とか、その小国は一体どういう国なのか、などについての特集がされていたらしい。
「見てないのなら録画してあるから後で見るか?」
「いや、いいよ」
正直興味無い。もしそのお姫様がイギリスのとかだったら気になっていただろうが、名前を聞いたことすらない小国のお姫様じゃなぁ・・・
そりゃどこにでもいる一般人よりは気になるが。
しかし、そんな人の情報を入手したところで会話なんてまず出来んだろうし時間の無駄だ。第一外人なら日本語通じないし。
そんな俺の考えを察してか、古畑が言う
「確かに大国でもない無名国の姫の情報なんてどうでもいいと思うかもしれん。だがな、その人とほぼ間違いなく同じクラスになるとしたらどうだ?」
どういうことだ?
「理由は簡単。姫様の入る科は俺らと同じところだ。その意味わかるか?」
・・・なるほどな、そういうことか。
俺の入る科の定員は四十名。つまり、同じ科の人間は1クラスにまとまる。同じ科の人間は必然的に同じクラスになるわけだ。
「だったらその姫について勉強しておいて損は無いかもな。今度貸してくれ」
「お安い御用だ」
古畑が教えてくれて助かった。これで事前情報なしにいきなりお姫様が転校してきたら・・・大して問題ないか。どうせ俺にとっちゃ高嶺の花だろしな。
「ところで江神、ひとつ聞いていいか」
「ああ」
「お前何一つとして手に持っていないが大丈夫なのか?」
・・・え?
そういややけに足取りが軽いと思ってたんだがそういや手に何も持ってないな。
「カバン忘れた・・・」
なぜ出会ってすぐに指摘してくれなかった古畑よ。
せっかく早起きしたと思ったらこれだよ。指摘されるのが遅かったとしても、指摘してもらえたから不幸中の幸いだが、もしこのまま気づかず学校に着いていたら取りに行く時間なんて無いし高校初日で遅刻していたところだ。
「ハッハッハッ、さすが江神。期待を裏切らないな」
呑気に笑う古畑を無視し、俺はさっさとUターン。急いで家に戻る俺だった。