最終章 全てが終わり、時は流れた
あの島での戦いが終わり、数ヶ月が経った。
あの戦いでオウガは激減したが、それと同時にハンターも激減していた。そのため、神谷は島から戻るなり、オウガを倒す旅に出て行った。
神谷が旅に出て数日後、魁人と昴も旅に出て行った。元々、神谷と旅をしていた2人は、素早く身支度を済まし、すぐに寮を出て行ってしまった。裕二も歩美も2人を止める事はしなかった。多分、ハンターの仕事を理解したからだろう。
絶鬼は色々と考えた末、生きてオウガに襲われる人々を助ける旅に出る事にした。自分が犯した罪を背負いながら、絶鬼は旅に出た。もちろん、目立つ白髪は真っ黒に染め、名前も元の名前に戻した。
「何か、急に静かになっちまったな」
学校の屋上で寝そべりながら、裕二はそう言った。空は青く白い雲が緩やかに流されていく。その裕二の隣には、天地が座っている。その脇には五龍神が鞘に入り、寝かされている。
「ふぁ〜っ。眠い……」
天地は欠伸をしながら、目を擦る。横になっていた裕二は起き上がり、不満そうな声で天地に言った。
「お前さ。何とも思わないのか?」
「何が?」
「何がじゃないだろ……。あいつ等いなくなって、何とも思わないのか?」
天地は首を傾げて、「う〜ん」と唸り声を上げる。暫く天地の唸り声だけが響き渡る。その時、天地の携帯音が響き渡った。携帯をポケットから取り出した天地は、携帯の画面を見た。
「ちょっと、待ってろ」
天地はそう言って少し離れた場所で電話に出た。
「どうした?」
『学校の方に……逃げた……』
小さな由美の声が電話の向こう側から聞こえた。そして、更に言葉を続けた。
『弱いオウガだけど……一人で大丈夫?』
「大丈夫だ。一瞬で片付ける」
『そう……。気をつけてね……』
「ああ。それじゃあ、またな」
天地はそう言って電話を切った。振り返った天地に、裕二がムスッとした顔で睨んでいた。
一歩後退り天地は、顔を引きつらせた。
「な、何だよ」
「いいよな〜。いつでも会えるって〜」
天地に向って嫌味な声でそう言った。妙に迫力のある裕二に、天地は少し圧倒されていた。
その天地達の方に、1体のオウガが空を飛んで来るのが見えた。すぐに床に寝ている五龍神を拾い上げた。
「悪いが話は後だ」
「わかった。それじゃあ、俺は隠れるよ」
裕二はそう言って屋上から出て行った。天地は五龍神を鞘から抜き、ゆっくりと構えるとゆっくりと言った。
「今日も頼むぜ。五龍神」
そう言うと、五龍神の刃に刻まれた龍の刻印が、その声にこたえるかの様に輝いた。
この物語はこれでおしまいです。
最後までご愛読してくださった皆さん、ありがとうございました。
長々と読み難い小説でしたが、最後まで読んでくれた皆さんにはとても感謝しております。
連載が終ってしまうのは、何だか寂しい感じがしますが、これからも頑張って小説を書くので応援宜しくお願いします。
本当に最後まで読んでくださり、ありがとうございました。また、僕の小説を読んでいただけると、嬉しいです。