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激闘戦鬼  作者: 閃天
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第三十二章 風の刃と奇襲

 神谷のグループが森の中で迷っている中、岩場を進む岩柳のグループは――ようやく平地に辿り着いていた。

 雨も小降りになっているため、木の陰で休む事にした。


「もう、岩場は無いでしょうね……」

「そうだな。岩場は無いと思うが」


 疲れのせいか、少し掠れた声の神宮寺に対し、全く疲れを感じさせない岩柳の太い声が返ってくる。

 そして、もう一人、疲れを感じさせない奴がいた。三上だ。

 顔色一つ変えず、そのまま例の如く眠りについたのだ。

 天地も昴も疲れで、話す気力すらなかった。


「どうした? 元気ないぞ」


 眠っていたかと思われていた三上が、急に言葉を発したので天地と昴は驚いた。

 驚きのあまり、天地は背後に立っている木に頭部を激しくぶつけた。

 そのまま頭を押さえて蹲る天地を見て昴は呆れた。

 二人に聞こえてないと思った三上は、もう一度同じ言葉を発した。


「どうした? 元気ないぞ」

「大丈夫? 天地」

「ああ。大丈夫。少し驚いただけだから……」


 心配そうにそう言った昴に、天地は笑いながらそう答えた。

 二人にはもちろん、三上の声は聞こえていた。

 だが、タイミングが悪いと言うか、間が悪いと言うか……。

 そんな二人に、三上がまた同じ言葉を発しようとした。


「どうし……」

「き、聞こえてますよ! 何度も言わなくても!」

「だったら、返事してくれよ……」


 眠そうな声でそう言って、三上は欠伸をしている。

 何だか調子が狂わされる。

 天地は呆れて言葉を失った。

 そんな天地の代わりに、昴が言った。


「寝てたと思ってたから、びっくりしたのよ」

「……」

「……?」

「クー…クー……」


 静かに寝息をたてて三上は眠っていた。

 そんな三上に、昴の怒りの鉄拳が何発もおみまいされた。


「わかった。これから、人の話の途中で寝ない事」

「は…はい……。わ…分かりました……」


 見るからに痛々しい顔の三上は、そう言って頷いる。

 流石の天地も、その痛々しい顔に引いた。

 今までで一番酷いやられ方だ。

 多分、次はもっと酷いやられ方になるだろう。

 そう察知した天地はなるべく気をつけるようにした。


「そろそろ行くぞ」


 立ち上がり、太い声で岩柳がそう叫んだ。


「エーッ。もう行くの?」


 不満の声を上げたのは神宮寺だった。

 そんな神宮寺に、昴に殴られた傷が残った顔で三上がボソッと言った。


「一人でここに残れば……」

「うるさいわね。あんたこそ、残れば? その傷じゃあ足でまといよ」

「……」


 三上は神宮寺の声など聞こえなかったかの様に、横を素通りしていった。

 その後、会話は無く、天地達は黙々と先に進んでいた。

 流石に平らな足場だけあって、非常にスムーズに進んでいるが、何か違和感があった。

 誘い込まれていると、言う感じ。

 だが、全く岩柳は気にしていない。


「なぁ、怪しくないか?」

「何が?」


 小声で言った天地に対し、昴は普通のボリュームで返事を返した。

 口の前で人差し指を立てて、シーッとやっている天地。

 仕方なく、昴も小声で返答する事にした。


「何? どういう事?」

「あの岩柳って人だよ」

「岩柳さんが?どうしてまた?」


 先頭を歩く岩柳の背中を見ながら、昴が首を傾げた。


「どこが、どう怪しいわけ?」

「どこがって……」


 上手く説明出来ない。

 それは、あくまで天地の直感がそう言っているからだ。

 天地が悩んでいる時だった。

 森の中から沢山のオウガが現われた。

 完全なる不意打ちだった。

 誰もが武器を構える事が出来ないなか、岩柳一人だけが武器を構えオウガと激突していた。


「お前ら、何をしている! 早く戦わんか!」


 四人はその声で武器を構えた。

 体格のデカイ、怒のオウガが5体と、体格の小さい哀のオウガが10体いた。

 大きなハンマーを振り回し、岩柳は前方の怒のオウガ3体と戦闘している。

 天地は遠距離タイプの三人をカバーするかのように戦っていた。

 そのせいもあって、天地の動きは少し鈍かった。

 天地の目の前に立つ怒のオウガの右手の鋭い爪が、天地目掛けて振り下ろされる。


「グオオオオッ」


 天地はその爪を右に飛んで回避した。

 オウガの右手の爪は空振り、そのまま地面に突き刺さる。

 その地面が砕けて、大小様々な大きさの石が飛び散り、天地に襲い掛かった。

 天地の今の体勢では、その石を防ぐ事が出来そうに無かった。


「クッ! やべぇ」


 左手で顔を庇う様にしていたが、三上の声が聞こえそれを止めた。


「石は僕が何とかするよ」


 銃声と共に天地は、右手の動かせない真正面にいる怒のオウガに向かっていった。

 飛んで来る大小様々な石は、弾ける音を立てながら木っ端微塵に吹き飛ばされる。

 だが、すぐさまそのオウガの左手の鋭い爪が天地に振り下ろされた。

 

「グオオオッ」

「目覚めよ! 火龍神!」


 五龍神は一瞬にして、炎を纏った火龍神になった。

 雨の雫が火龍神の刃に触れて蒸発し、火龍神から白い蒸気が上がっていた。

 その火龍神でオウガの左手の爪を受け止めた。

 しかし、オウガの左手は勢いよく、天地の目の前を通過して風を起こした。

 オウガは何が起こったのか、わからない表情をしていたが、自分の左手を見て驚いた。

 左手には鋭い爪は無く、爪を焼け斬られた後しか残っていなかった。


「ガアアアアッ!」

「驚いたようだな」


 天地は驚いているオウガの足元で、火龍神をしっかりと構えていた。

 火龍神の刃に集まる炎が、火龍神の刃の色を真っ赤に染めた。

 オウガは爪の無い左手を天地目掛けて勢いよく振り下ろす。

と、同時に天地の声が響いた。


「天まで昇れ! 炎龍昇!」


 火龍神を構えたまま、天地は地を蹴った。

 その瞬間、火龍神は天地ごと炎に包み込んだ。

 オウガの振り下ろした左手は、その炎とぶつかりあった。

 だが、一瞬にして左腕は二つに裂かれ、炎は龍の如く天に舞い上がった。

 そのオウガは気付いていなかった。

 左腕だけでなく、自分の体までもを真っ二つにされている事を……。

 気付いた時にはすでに体は消滅していた。

 空中に浮いたままの天地に、地上から昴の声が聞こえた。


「天地! あぶない!」

「あぶない?」


 天地にその意味を理解する時間は無かった。

 天地より更に上空から、5体の哀のオウガが勢いよく突っ込んできたのだ。

 5体の哀のオウガに、天地が気付いた時には、両手両足と頭を掴まれ、勢いよく地上に落下していた。

 このまま、地面に叩きつけられたら、天地は間違いなく死んでしまうだろう。


「どうしよう! 天地が……」

「僕でも、あの速度で落ちてる物を狙うのは……」

「彼を信じるしかないわ。私達は目の前のオウガを倒すのが先決よ」

「そんな……」


 三人はなすすべなく、ただ見ていることしか出来ないでいた。

 落下する天地の耳には、風の流れる音が聞こえていた。

 そして、火龍神はいつの間にか五龍神に戻ってる。

 だが、刃の龍の刻印の色は元の色ではなく、真っ白に輝いていた。

 その次の瞬間、天地は叫んだ。


「目覚めよ! 風龍神!」


 五龍神は、一瞬で風龍神になり、その刃の周りには風が取り巻いていた。

 その瞬間に出た突風で、天地を押さえていた哀のオウガが吹き飛んでいった。

 だが、落下する勢いは止まらず、凄まじい音と爆風を起こし地面に落ちた。


「天地!」


 昴は風の矢を空中に飛んでいる哀のオウガに放ちながら叫んだ。

 落ちた衝撃であがった土埃が邪魔で、天地の姿が見えなかった。

 

「まさか、死んじゃった?」

「三上! 縁起の悪い事言ってんじゃないの」

「でも、あの速度で落下しちゃね」


 空中を飛んでいた哀のオウガを、始末した三上と神宮寺は土埃の方を見ていた。

 昴も土埃の方を見た。

 その時、土埃が薄れていくのが分かった。

 薄くなった土埃の中に、誰かが仁王立ちしているのが見えた。


「天地!?」

「あっ、生きてるっぽい」

「死んでほしかったわけ?」

「まさか……。でも、彼不死身だね」


 天地の方に駆け寄る昴の後姿を見ながら、やる気の無さそうな声の三上と、その三上に呆れた様子の声の神宮寺が話をしていた。

 駆け寄っていった昴の横から、怒のオウガの鋭い爪が飛んできた。

 昴は当然、それに対応出来るはずがなかった。

 その時、天地の声が響く。


「伏せろ、昴」

「エッ!?」

「大気を切り裂け!!! 真空鎌鼬しんくうかまいたち!!」


 風龍神を横に振り抜いた瞬間、集まっていった風の渦が天地の周りの土埃を、裂きながら伏せている昴の上を通り過ぎた。

 昴の上を通り過ぎる風は、凄まじい音を起てている。

 耳を塞いでいる昴だが、その音は体中に響き渡って、気を失いそうになっていた。

 風は刃と化し、巨体の怒のオウガの体を裂いていった。

 


え〜っ。今回総アクセス数が1000人を突破しました。

僕としては、初めて書いた連載小説がここまで来るなんて思っても見ませんでした。

愛読してくれてる皆さん、本当にありがとうございます。

そこで、今回、人気キャラ投票をしたいと思っておりますので、愛読してくれてる皆さんの好きなキャラクターをお聞かせください。

期間は来週の水曜日までにしたいと思います。

長々と済みませんが、皆様の協力をお待ちしています。


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