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激闘戦鬼  作者: 閃天
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第二十八章 生き残ったハンター

絶鬼のいる島に向う船は、海の上で停滞していた。

風も激しく吹き、波も高くなっていた。

そのせいか、船は大きく揺れる。

船内にいたオウガを全て退治したが、その代償は大きかった。

80名近く居たハンターの数は、10名にまで減っていた。

船長もオウガに殺され、船の舵をとれる者が居なかった。

そのため、船は停滞していたのだ。

船内のアチコチが血で真っ赤に染まっている。

その船の座席に座った神谷は険しい表情でタバコを吸っていた。

テーブルを挟んで向かいに、天地が座っていた。

鞘に納まった五龍神が、テーブルに寝かされている。

そこには、天地と神谷の二人しか居なかった。

他のメンバーは外で後処理をしていた。


「そうか……。千春が……」


「はい……。俺が、あの時に気付いていればこんな事には……」


申し訳なさそうな顔で天地は俯いた。

だが、神谷は攻めなかった。

多分、神谷でもすぐには気付く事が出来なかったからだろう。


「お前のせいだけじゃないさ」


口からタバコの煙をゆっくりと吐きながら、神谷はサングラスをはずした。

サングラスを畳むとテーブルにゆっくり置いた。


「しかし……。相手にあれ程の軍師がいるとは……」


神谷はそうぼやきながら、タバコの煙を吐き出していた。


そんな中、船の先端の所で由美が泣いていた。

その脇で魁人と昴が由美を見守っていた。

船に当たった波が飛沫を上げていた。

飛沫が三人に降りかかってくる。


「ウッ……ウウッ……」


「由美……」


「み……皆……。無事に帰るって……」


泣き崩れる由美の足元には、黄色のお守りが落ちていた。

しかし、そのお守りは流れる血を吸って赤くなっている。

千春の分のお守り。

千春の手に渡る前に――。

黄色のお守りは甲板を滑り、そのまま海に落ちた。

蒼く深い海のそこに沈んでいった。

空には雨雲が広がり始め、日の光りが遮られていった。


全ての後処理の終った後、生き残ったハンターは食堂に集まっていた。

そこに、由美と昴の姿は無い。

由美は部屋で寝込み、昴は由美に付き添っている。

外ではいつの間にか雨が降り出し、波が更に高くなっていた。

天地は魁人の右隣の席に座り、その隣に神谷が座っていた。

他に五人のハンターが居た。

一人は40代位の体格のいい、ベテランのハンター。

右脇には大きなハンマーが立てられていた。

その男の向かいには、金髪で長髪、耳には幾つものピアスがついている。

まだ10代位だろうが、結構落ち着いている。

武器らしき物は持っていなかった。

その男の横に漆黒の短髪の髪に、鋭い目つきの若い女性が座っていた。

腰には幾つものナイフをぶら下げていた。

天地の正面にはやる気の無さそうな男が座っていた。

髪はボサボサで、背中にライフルを担いでいた。

その横で本を読んでいる細身の男。

いかにも真面目そうで、腰にトンファーをぶら下げていた。

共通点はハンターと言うだけで、他に共通するところは無かった。

こんなんで絶鬼に勝てるのか、物凄く不安だった。

沈黙が続いていた。

何となく嫌なムードだったので、天地は小声で魁人に声を掛けた。


「なぁ……。こんなんで、絶鬼に勝てるのか?」


「うっ…。僕も不安でしょうがないよ……」


その声が聞こえたのか、読書をしていた男が立ち上がった。

目は明らかに天地と魁人に向けられていた。

天地と魁人は目を合わせない様にしていた。

その後も沈黙が続いていた。



シャンデリアの光りが薄暗い部屋の中を照らしていた。

部屋の奥には豪華な椅子が置いてあった。

部屋の右側は大きく大きなバルコニーに繋がる窓があった。

そこに、白髪の細目で色白の絶鬼が立っていた。

外は雨が降っている為、当然絶鬼はびしょ濡れになっている。

絶鬼の視線の先には、広大な海に浮く一隻の船。

それを見ながら絶鬼は笑みを浮かべていた。


「ようやく、辿り着いたようだね」


と、そこに霧雨 漸と名乗った少年が千春と共に、絶鬼の背後に跪いた。

絶鬼は振り返らずに言った。


「なぜ、人間の皮を被っているんだい?

 骸鬼がいき黄麻おうま


「絶鬼様。失礼ですが、今は霧雨 漸です。

 そして、彼女は犬山 千春。これからは、そうおよびください」


「そう……。漸と千春か……。それで、何か用かい?」


漸は顔を上げて絶鬼の方を見た。


「もう、知っていると思いますが、ハンターどもがすぐ近くに……」


「そうだね。分かっているよ」


「ならば、次の手を打った方が得策かと……」


「そう……。なら、君に任せるよ」


そう言いながら絶鬼は微笑んでいた。


「それでは、次の策の準備を」


漸と千春はその場から消えた。

一瞬にして――。


天地達は、一応自己紹介が終っていた。

40代のハンマーを持ったハンターの名は岩柳がんりゅう 剛毅ごうき

やはり、ハンター暦は一番長く、もう28年もハンターをやっている。

その向かいの金髪の長髪の男の名は国道こくどう 竜馬りょうま

変わった武器を所持しているらしいが、それは秘密らしい。

国道の横の漆黒で短髪の女性の名は神宮寺じんぐうじ 冷夏れいか

ハンターをやりながら、サーカス団のナイフ投げをしているらしい。

天地の正面に座っているやる気の無い男の名は三上みかみ 信也しんや

自己紹介もやる気が無く、名前だけ言ってすぐに寝たため詳しい事はわからない。

その横で読書をしていた男の名は黒川くろかわ あつし

大学に通う真面目なハンターだ。

自己紹介の後、話はこれからどうするかという事になったが、話は全くまとまらず、そのまま一日が過ぎたのだった。





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