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第三話「魔法戦艦、出撃」

 通天閣地下三階、ラボ勤務者専用レストラン「ダブル・ピーチ」店内。

 ラボの胃袋などと称されるファミリーレストラン風の食堂である。

 日々、昼の仕事を終えたラボ職員たちが夜勤開始までの短い時間にここへ殺到するため、夕方はいつも満席近い。

「やっと座れましたね」

「あーもう、疲れたー」

 混雑のなか、かろうじて店内奥のテーブルにつき、同時に安堵のため息を洩らす、白衣姿の若い男女。

 人材資源情報部長の肥田妙子女史と、分析担当主任、井上和人の二人である。

「さて、今日は何を……」

 メニューを開こうとする井上主任に、肥田部長が上機嫌で話しかける。

「今日は、そこそこ早く終われそうね。仕事、もうほとんど残ってないし」

「早いといっても、九時かそこらになるでしょうがね」

「いーのよ、終電までに帰れりゃ上等。明日は休みだしね」

「今月分の提出資料は出来あがってますから。あとはハンコを押していくだけです」

「それなんだけどさ」

 肥田部長は、少々思案顔でつぶやく。

「毎月毎月、こっちから何人ぶんも資料送ってさ、軍はそれ見て、あちこちで魔法少女をスカウトしまくってさ、たえず戦力補強してるわけじゃない。なのに、ここしばらく、いっこうに戦況よくならないよね」

「たしかに、あまり芳しい噂は聞きませんね」

 井上主任はメニューを閉じ、うなずいた。

「こちらも押し返してはいるんですが、相手は硫黄島を根城にして頑固に居座り続けてますから。一進一退、なかなかうまくいかないようです。噂じゃ、あそこの米英艦隊には六十名以上の魔法少女が配属されてるとか」

「うわ、むちゃくちゃ多いじゃない」

「噂ですがね、あくまで。しかし、ありえない話でもないでしょう。いま現在、アメリカ海軍だけで魔法少女の全保有数は百名を超えてるそうですから」

「いつの間に……。あっちも、ずいぶん頑張って補強してたってわけね。こっちが旗色悪いのも当然か」

 肥田部長は、ため息ひとつ、一気にお冷を飲みほした。



 ――戦争の様相は時代の変遷を映す鏡である。

 歴史をかえりみれば、石器で殴りあっていた太古から、一方が青銅器を持ち出すや、これへ対抗するのにまた一方も青銅器を揃え、鉄器には鉄器、銃砲には銃砲、航空機には航空機、ミサイルにはミサイルを――と、新たな兵器の出現が戦争の枠組みを塗り替えてきたことがわかる。

 およそ二百五十年前、魔女っ子という特異な存在が忽然、この世に現れると、また歴史の例に倣うように、戦場へ革新がもたらされた。

 火炎、稲妻、暴風、洪水……、様々な自然の破壊力を自在となし、空を駆け、海を往き、宇宙空間すら制する「戦う魔女っ子」たち。その小さな肉体は、不思議な魔力の加護に満ち、銃弾も刀剣もいっさい通さず、あらゆる通常兵器の威力を無効化し、いかなる事態にも決して致命傷を負うことがないという。

 世の多くの国家、軍隊は、この恐るべき少女たちを、あるいは傭兵として迎え、あるいは強制動員をかけるなどして、さほど深い思慮もないまま、続々と戦場へ送り込んだ。

 市街戦、野戦、海空戦、水中戦、衛星軌道戦、上陸戦、侵攻戦、防衛戦――たちまち魔女っ子たちは世界中あらゆる戦場を席捲し、入り乱れ、飛び回り、激突した。

 通常兵器は無用の長物と化した――魔女っ子は、魔女っ子の攻撃以外では傷ひとつ負わないからである。

 これは同時に、旧来の戦争スタイルの崩壊をも意味した。

 従来、戦場の局地的勝敗は、そこへ投入さるべき火量と鉄量、職業軍人の練度などにより決定されてきたが、いまや勝利の鍵は、魔女っ子の存在の有無、彼我の魔女っ子の質量差にこそあり、正規の職業軍人などはサポート要員となり下がってしまった。

 これは戦争という行為の意義を考えれば、かなり危険な状況である。

 魔女っ子の多くは未成年児童であり、軍組織による統制も充分にはゆきとどかない。作戦目的とその遂行――という、戦場の駒として当然あるべき概念を、少女らはしばしば無視して暴走し、個人プレイに固執したあげく、結果的に敵も味方も壊滅に追い込むような事例が各地で頻出するようになった。

 戦場に秩序なかりせば、それはもはや戦争ではなく、際限なき暴力の応酬にすぎない。古代はともかく、近代以後の戦争は、彼我の国益、その利得損害を秤にかける外交行為の一種であり、理性と統制と秩序とが必要不可欠であった。

 事ここに至って、ようやく危機感を抱いた各国家、各軍組織は、魔女っ子を新たな戦場の主役と認めつつ、軍としての秩序を維持させるべく、多角的な法整備や組織改革へと乗り出した。ことに、旧来の用兵思想を脱ぎ捨て、魔女っ子の適正なる運用法を探る――いわゆる魔女っ子主兵思想の確立こそ焦眉の急とされ、新たな組織体系の創出、魔女っ子への教育、待遇改善、戦術研究、職業軍人側の意識変革など、山積する無数の課題へ粛々と取り組みはじめたのである。

 同時に各国家間では、魔女っ子を戦争に用いるための新たな国際的ルールが次第に構築されつつあった。これを提言し、かつ、制定へ向け主導的な役割をはたしたのが、虹十字なる組織である。

 ――虹十字。

 魔女っ子の出現から十数年の時を経て、魔力を失い引退した、世界各地の「もと」魔女っ子数千人、すなわち魔女っ子OGらにより設立され、現役とOGとを問わず、国境を超え、すべての魔女っ子の互助と権利保全とを目的とした大規模な国際協力団体である。この組織の仲介と運動により、まったく新しい戦時国際法の形成が急速に進んだ。

 西暦三二五〇年。

 虹十字主催の淡路島国際代表会議において、魔女っ子の軍事雇用、保護さるべき諸権利、国家間戦争の基本的手順など、新時代の国際戦争ルールをまとめあげた、いわゆる淡路島条約が制定される。

 会議参加百九十八ヶ国中、百九十三ヶ国までが、ただちに条約に批准。ここに戦場の革新は成った。

 条約発効を契機に、軍組織の改編も進み、魔女っ子を主兵となす戦闘手順も確立された。

 戦略や基本戦術の立案は軍組織の任とし、いっぽう実戦は魔女っ子の独壇場として局地的勝敗の帰趨を委ねる。前線の職業軍人は、現場において指揮統率と監督責任を担い、魔女っ子の適切な運用に努める――。

 こういう体制のもと、魔女っ子たちは、徹底的にルール化された新たな戦場へと続々降臨し、勇躍、火花を散らしはじめた。

 超絶的な能力を誇る無数のスーパーヒロインたちが、花吹雪のごとく戦場に舞い、空を、海を、無限のステージとして、力と技の限りを競いあう。

 淡路島条約の厳格な秩序のもと、都市や民間施設への攻撃は禁じられ、戦場にあっても滅多には負傷者も出ないほど人命保護が徹底されるようになった。

 かくて。

 戦場が、酸鼻をきわめる悲劇の舞台であった時代は、遠い過去の物語となった。

 国家と国家の争いはなお世界に絶えずとも、その勝敗成否は魔女っ子という小さな戦争代理人たちの肩に委ねられ、さながら国際スポーツの延長でもあるように、気軽に語られるようになった。

 国家や軍のなすべきは、より強力な魔女っ子を、より数多く揃えること。より魔女っ子が戦いやすい環境を整えること。

 福祉設備の充実や、堅牢なる専用母艦、すなわち魔法戦艦の建造。児童への高い親和性と統率能力とを兼備した指揮官の育成。

 もはや、戦争にまつわるすべての事柄が、魔女っ子を中心に回っているといってよい。

 西暦三四七二年六月現在、全世界で確認されている現役魔女っ子の総数は、虹十字の統計で八千九百五十七名。うち、軍隊および、それに準じた組織に属する「戦う魔女っ子」の存在数は、およそ二千五百名前後とみられている。



「うちの海軍は、いま何人だっけ。そこそこ揃ってるはずよね」

 肥田部長が尋ねる。

 テーブルには、「ダブル・ピーチ」本日のお勧めメニューというビーフストロガノフが、サフランライスに盛りつけられて、香気濃密に食欲を誘っている。脇に添えられたサラダも青々とみずみずしい。

 井上主任は、ほくほく顔でテーブルを眺めわたした。

「あー、こりゃうまそうだ……。えーと、海軍はいま、医療関係なんかも含めて、七十四人ですな。確か」

「アメリカが百人以上でしょ? 足りないわねえ……いただきましょう」

「ええ、そうしましょう」

 二人は、同時に皿へスプーンを入れた。

「あ、なかなかいける」

「ビーフストロガノフのビーフってのは、牛肉って意味じゃないらしいですね……なんでしたっけ」

「たんに、薄切り肉って意味よ。どうでもいいけど、これ冬の料理よね」

「我々は一年中、ラボの中ですからねえ。いまさら季節感もなにもあったもんじゃありませんよ」

「そうねえ……で、なんだっけ、あれよ、魔法少女の数。このままじゃ、こっちが負けちゃうじゃない? そりゃ、いまどきの戦争なんて、たとえ負けても、ちょっと領海が狭まる程度で済むけど、やっぱ癪にさわるじゃない、そういうの」

「海底の地下資源なんかもごっそり持っていかれますし、多分、捕鯨もできなくなりますね。勝つに越したことはないでしょうが、現状ではなかなか……何か、決定的な一撃が欲しいところですね」

 アラームが鳴った。

 肥田部長の携帯端末である。

「何よもう、食事どきに」

 白衣のポケットから端末を取り出し、スイッチを入れる。

 ホログラフディスプレイに、長々と文字列が並んだ。

 肥田部長は不審げに画面を眺めていたが、内容を読み取るや、目の色が変わった。

「これって」

「あれ、どうしました?」

 井上主任が尋ねると、肥田部長は端末画面を突き出して「読んでみて」と促した。

「いいんですか? じゃあ」

 と、一読して、井上主任もまた、驚いたように顔を上げた。

「こりゃ、虹十字の――」

「ええ、公式協力要請……それも、かなり緊急を要するみたいね」

「何事ですかね」

「わからないけど、とりあえず、食事が済んだらオフィスに戻って、あちらと連絡をとりましょう」

「そうですな。……しかし参りましたね、これじゃ今日は帰れないかもしれませんよ」

「それで済めばいいけど。下手すると、明日の休みもなくなっちゃうかも……あそこに逆らうと、後が怖いし」

「ですな。世界最強の圧力団体ですから。何を言ってくるやら……」

「休む暇もないんだから、ホントにもう」

 肥田部長は、少々ふてくされたような顔して、端末をポケットに放り込んだ。



 魔法戦艦いずみ艦長室。

 時刻は二十三時過ぎ。

 早苗はパジャマ姿で備え付けの天蓋ベッドに横たわり、ひとり思索をめぐらせていた。

 いずみは翌朝には呉軍港を進発し、作戦行動に入る予定となっている。

 作戦内容は、まだ聞かされていなかった。塚口提督は進発後に会議を招集し、そこであらためて説明するという。

(塚口、提督……か)

 いわゆる、こわもての軍人で、近寄りがたい雰囲気を漂わせているが、とくに口うるさい印象はなかった。むしろ口数は少ないほうで、何を考えているのか、ちょっと測りしれない。

 この日の晩餐でも、せっかく腕によりをかけてこさえたビーフストロガノフについて、ひと言の感想だに聞き出すことができなかった。子供たちや、他の乗組員らは皆喜んでくれていたようだが。

 思えば――社会人経験のない早苗にとって、塚口提督は、生まれて初めての直接の上司ということになる。

(……仲良くやっていければいいけど)

 悪い人ではない、と思う。

 ただ、それも直感的な印象にすぎず、実際の人柄がどういうものかは、まだこれから、仕事上のやりとりのなかで、少しずつ把握してゆくことになるのだろう。

(なんで上着のボタン、外してるんだろ。不良みたいでカッコ悪いよ、あれは)

 塚口提督は、故意に軍服の着こなしをだらしなく見せかけているようだった。なにかポリシーのようなものでもあるのかもしれないが、早苗には如何とも理解しがたい。

 男の人って、よくわかんない――。

 声には出さず、内心、そうつぶやいてみたところで、忽然、控えめなノックの音が聴こえ、早苗は思わずベッドからはね起きた。

「ど、どなた?」

 ベッドを降り、ドアへと歩み寄る。ノブに手をかけ、そっと開いてみると。

「美佳ちゃん……?」

 パジャマ姿の美佳が、小さなヌイグルミを両手に抱きしめ、やや物憂げな顔してドアの前に立っていた。

「サナおねえちゃん。あのね、一緒に……」

 ぽそりとつぶやく。

「……ダメ、かな」

「寝つけないの?」

 早苗は、そっとその場にしゃがみこんで、おだやかに微笑みかけた。

「うん……なんとなく」

「そっか……。じゃあ、今日だけ、ね」

「ほんと? プロンも一緒でいい?」

 プロンとは、美佳が抱えているヌイグルミのキャラクター名である。

 丸々太った赤いドラゴンのような意匠で、口から火を吐くコミカルなキャラクターとして、数年前までアニメ放送などで人気を博していた。

 ヌイグルミは当時、プロンの大ファンだった美佳へと、早苗が買い与えたものである。

「いいわよ。でも、明日からは、ちゃんと一人で寝るのよ?」

 ぱっと、美佳の顔つきが明るくなった。

「うん、わかった」

 二人はベッドに入った。

 美佳は、心底嬉しそうに、早苗の胸にしがみついて頬をすり寄せてくる。

「へへー、いいにおいー」

「ほんと、相変わらずだね、美佳ちゃんは」

 そういいつつ、早苗も、まんざらでもない様子で、美佳の肩を抱き寄せている。

「こうしてると、なんか思い出すなぁ。美佳ちゃんって、赤ちゃんのときから、こんな感じだったなぁって」

 隣家に美佳が生まれたのは、早苗が高校生のときだった。家を空けがちな美佳の両親に頼みこまれて、美佳を預かる機会が多かったのである。当時から、美佳は早苗によく懐いた。とにかく元気で、いつもせわしなく動き回り、泣くとなかなか鎮まらない。それが早苗の胸に抱かれると、ぴたりと泣きやんで笑顔になる。そういう赤子だった。早苗もそれに応えようと、必死に育児の知識を身に付け、実母以上といっていいほど、かわいがってきたのである。

「赤ちゃんのときのことなんて、もうおぼえてないよ」

 美佳はちょっぴり苦笑いを浮かべた。

「でも、なんとなーく、おぼえてる気もするよ。やわかくってー、あったかーい感じ。ちょうどこんな」

 言いながら、美佳は早苗の胸の谷間に顔をうずめた。

 「ちょ、美佳ちゃん……」

 早苗が呼びかけると、美佳は顔をあげて、じっと早苗の顔を見つめた。

「ね、これから、ずっと一緒に働けるんだよね、ここで」

「うん。ずっとかどうかは、まだわからないけど……」

「ずーっと一緒がいいなあ」

「そうね。今度、偉い人に頼んでみようか……」

「ね、サナおねえちゃん」

「ん?」

「サナおねえちゃんも、あの誓い、やった?」

「誓い? ああ、虹十字のね。研修の三日目に虹十字の人が来て、登録とか説明とかあったから。そのときにね」

 淡路島条約の制定以来、いずれの国家、地域に関わらず、軍隊、もしくはそれに準じる組織へ属する魔女っ子には、例外なく虹十字への正式登録が奨励される。

 登録後は、いかなる状況下でも、虹十字の庇護のもと、組織内で一定以上の待遇を受ける権利、福利厚生の充実を訴える権利、正当な理由ある場合に限り勤務を拒否する権利、時期を選ばず自由に退役できる権利、などが保障される。

 これら諸権利と引き換えに、虹十字からもまた、魔女っ子に、ひとつの絶対的な義務を求める。

 それは、ある「誓い」を立て、その内容を可能な限り実践することであった。

「あれって、軍隊の人とかには話しちゃいけないんだよね。おとーさんやお母さんにも」

 美佳が、早苗の胸もとにヌイグルミのプロンを押し込みながら言う。

「へへへー、プロンが照れて、まっかっかになったー」

「こ、こら、挟まないで。……あたしも、あの誓いは魔法少女だけの秘密の誓いだから、普通の人には内容を教えないようにって、ずいぶん念を押されたわ」

「それじゃー、もうサナおねえちゃんも、あたしたちの仲間なんだね」

「そうよ。だから一緒に頑張るの。まあ、あたしは……戦うのは無理だけど、ゴハンくらいは、いくらでも作ってあげられるから」

「うん。そだね。いっしょに、がんばろー……」

 応えつつ、美佳は、ふと小さな欠伸ひとつ。

 早苗は、美佳の髪をそっと撫でて、ささやきかけた。

「さ、もう寝ようね。明日は早いから」

「うん……朝から、出発だもんね……」

 美佳は、とろりと瞼を閉じながら、ごく自然に、早苗の胸へすっぽり頬をうずめた。

「おやすみ……サナおねえちゃん」

「うん、おやすみ」

 早苗は、優しく美佳の背を抱いてやった。

 ほどなく、美佳は、早苗の胸のなかで安らかな寝息をたてはじめる。

 その小さなぬくもりを感じながら、早苗もやがて穏やかな眠りへと誘われていった。



 払暁。

 呉ドック内、魔法戦艦いずみ艦橋。

 昨夜遅くまで続いた物資搬入と新規人員の乗り込みも既に完了し、艦橋には第七魔法戦隊の首脳部が集結して、進発の時を待ちうけていた。

 その主要な顔ぶれは、戦隊司令塚口修一少将、専属副官高木中尉、戦隊副司令湯山大佐、戦隊首席幕僚渡辺中佐、などの面々。

 そして、魔法戦艦いずみ艦長、神楽早苗軍属大佐、いずみ副長、有田聡子少佐をはじめとする艦内スタッフ陣も、それぞれ配置について準備をすすめている。

 もっとも、早苗は相変わらず艦長席に座っているだけで、その脇では有田少佐が各部署との連絡や関係データのチェックなど、かいがいしく立ち働いていた。

 機関室から連絡が届く。水素変換エンジン、始動準備よし――と。

 電源管制室、各主砲塔、艦載機格納庫、AMC制御室など、続々、問題なしとの報告が寄せられ、いよいよ艦内の態勢は整いつつある。

「艦長どの、エンジン始動の号令をお願いします。……先ほどお教えしたとおりに」

 有田少佐に促され、早苗は、やや緊張気味にうなずいた。

 ひと呼吸置き、号令をかける。

「全艦、メインエンジン始動」

 関係スタッフが一斉に復唱しつつ、操作盤へ情報を打ち込みはじめた。

 機関室から連絡が入る。

 メインエンジン始動。稼働率、順調に上昇中――。

「微速前進。ドックを出ます」

 早苗のあらたな指示に、「微速前進、宜候」と、操舵手が声を発した。

 魔法戦艦いずみは、そろそろと水上を滑り、暗いドックの大屋根を抜け、明けの陽光あふれる晴空の下へと進み出た。

 陽はまだ低く、風おだやかに波は凪いで、見渡す一面の海は旭光のもと金細工のようにちらちら揺れ輝いている。

 塚口提督が指揮座から立ち上がった。

「まずは豊後水道を抜け、韜晦行動をとりつつ小笠原周辺海域を目指す。――第七魔法戦隊、出撃する!」

 腹に響く重さと力感に満ちた声は、電流のごとく、たちまち人々の背筋を正し、艦橋の空気を引き締めた。付け焼刃の早苗などと比較にならぬ、威厳堂々の大号令である。

(すごい――)

 早苗は内心深く感銘しつつ、気持ちだけは負けじと、続けて号令した。

「全艦、発進! 進路百九十、巡航速度にて豊後水道を経由し、小笠原へ向かいますッ!」

 少々、声がうわずったように思える。が、周囲はとくに気にとめていないようだった。

 この号令一下、魔法戦艦いずみは、艦首を湾口へ向け、次第に速度を増しつつ進みはじめた。艦橋から臨む風景が目まぐるしく転回し、流れてゆくことで、そういう艦の挙動を実感できる。

 有田少佐が横あいから、声をひそめてささやきかけてきた。

「上出来ですよ。あとほんの少しだけ、肩の力を抜いてくだされば完璧です」

「そ、そう? やっぱ、ちょっと力入りすぎちゃったかな」

 ごまかすように笑う。

 もともと、つい先刻、この号令を「自分でやってみたい」と言い出したのは早苗自身だった。試験航海中、有田少佐が事ごとに号令を発している姿を見るにつけ、なんとなく、これくらいなら自分にもできるのでは、と思ったのである。

 とはいえ、実際やってみると、なかなかイメージどおりの声が出ない。まして艦橋後部の高座には塚口提督はじめ第七魔法戦隊司令部の面々が陣して、自分を注視している。緊張もいや増すというものである。

「すぐに慣れますよ。頑張って下さい」

 有田少佐は、ほほえみながら、励ますように言った。

「うん……そうね、頑張らなきゃ」

 早苗は素直にうなずいたが、ふと何か気付いたように顔をあげた。

「あ、忘れるとこだった」

「はい?」

「朝食の支度しなきゃ。そろそろ、子供たちも待ってるだろうし」

 逃げ口上である。本来なら、早苗はこの後もしばらくは艦橋にとどまって、じっと艦長席に座し、周囲の仕事を見守っていなければならない。この退屈な状況から、少しでも早く逃れようという心理であった。

「というわけで、少佐、あとよろしく!」

 そう告げるか早いか、ぱっと背を向け、もう出入口へ駆け出している。

「あ、艦長どの……、そうお急ぎにならなくても」

 声をかけるも届かず、早苗は急ぎ足に、さっさと艦橋を出ていってしまった。

 取り残された有田少佐は、少々苦笑しつつ、艦橋後方の塚口提督らをかえりみた。

 塚口提督は、無言で有田少佐にうなずきかけた。好きにさせてやれ、との意思表示のようである。

「なかなか元気なお嬢さんだ。しかし、一艦の長としては、まだ自覚が足らんようですな。どうなることやら」

 戦隊副司令の湯山大佐が、白い口髭の下に笑みを浮かべて、塚口提督へ感想を述べる。

「いや……あれはあれでいい」

 塚口提督は表情を消して応えた。

「我々の目からは、なんとも頼りなく見えるが、子供たちには、かえって親しみやすかろう。そのほうが、こちらも都合がいい」

「ははは。確かに、お堅い軍人よりよほど気安いでしょうな。軍令部とすれば、最初からそれを見越してこういう配置をとったと」

「そういうことだ。いま彼女がなすべきは、この艦の子供たちから可能な限りの信任を得ること、心理的同調を高めることだからな」

「それまでは、我々が戦闘指揮を担い、あのお嬢さんをフォローし続ける、というわけですな。それが我々の仕事だと」

「そうだ。それに、米英艦隊との小競り合い程度なら、いまの状況でも充分勝てる。問題は……」

 塚口提督は腕を組み、顔をあげて、窓外はるかにひろがる海面をじっと睨まえた。



 五月三十日午前七時、軍令部は第三次小笠原海域奪回作戦「晴嵐作戦」を発動。

 これにともない、徳山沖より第三、第四魔法戦隊、柱島より連合第二艦隊、沖縄からは第四、第五航空戦隊が、それぞれ一斉に錨をあげ、小笠原海域へ向けて進発した。

 もとより、小笠原周辺は日米英の最前線である。戦況は一進一退、予断を許さず、業を煮やした連合艦隊は、この膠着を打破すべく、いよいよ乾坤一擲の攻勢に出た。

 一方、時を同じくして、呉から新設の第七魔法戦隊が出撃し、やはり小笠原へと向かいつつあった。



 大阪学究都市のほぼ中央、日本橋電気街の北辺付近にそびえる全高千六百メートルの超高層タワービル、ジグラット。

 高層建築揃いの学究都市にあって、ひときわ規模雄大、雲を突き天地を貫く円筒タワーの威容は、昼には陽光燦爛、夜には電飾恒々と人目を引いて、完成よりおよそ二十年、大阪のいわゆる新ランドマークとして定着し、旧ランドマークたる通天閣とともに地元の人々に親しまれている。

 その名は、とある建築設計者が、起工に臨んで「天に挑む」という意気込みをもって命名したといわれる。

 ジグラットという語の意味するところは、古代バビロニアにおいて神々を祀るべく数多く建造された「神殿」もしくは「塔」であり、かの有名なバベルの塔も、そうしたジグラットのひとつであったという。

「ようするに、現代版バベルの塔ね。どうもネーミングセンスが陳腐だわ」

 スーツ姿の肥田妙子女史が、肩をすくめて呟いた。

 ジグラット外郭部を縦貫する展望式高速エレベーター。

 上昇中のゴンドラ内に肥田部長と井上主任のコンビがたたずみ、ガラス張りの内壁に寄りかかって、一刻ごと遠ざかる地上の光景を、そろって物憂げに眺め続けている。

「長い……ですねえ、さすがに」

 井上主任が、退屈顔で述べる。肥田部長同様にスーツ姿だが、あまり慣れていないようで、どことなく着こなしがぎこちない。

「あと少しよ、辛抱なさい」

「さすがは世界でも五指に入る巨大ビルですな。もっとも、テナントの三分の一も埋まってないって噂ですが」

「そりゃ、三百階もあればね。完成から二十年の歴史のなかで、全フロア埋まったためしなんて一度もないそうよ。テナント料も高いし。もっと安いビルが近所にいくらでもあるんだから、当然、みんなそっちに行っちゃうでしょ」

「虹十字だけは、ずっと最上階に居座り続けてますがね。代表事務所の移転設置以来、もう十五年になるとか」

「どうせ、何かカラクリがあるんじゃないの。所有者に圧力かけてテナント料をまけさせてる、とか」

「ありえますね……」

 チャイムが鳴り、目的のフロア、すなわち日本虹十字代表事務所への到達が告げられた。

 ドアが開くと、制服姿の女性係員が出迎え、二人を応接室へ導き入れた。

 ソファにて待たされること数分。廊下から、なにやら慌しい靴音が近づいたかと思うと、ドアの手前で静止した。身だしなみを整えているらしい。

 やがて、準備を済ませたか、そっとドアが開かれた。

「お待たせしました」

 取り澄ました顔で、しずしずと室内へ踏み込んできたのは、ウェーブのかかった黒髪、長い睫、ルージュ鮮やかに美貌きわだつ年若い、あるいは年若く見える女性である。

 楚々とファイルを小脇に抱え、タイトスカートから伸びる脚もすらりとみずみずしい。

 肥田部長と井上主任は、ソファから立ち上がって一礼した。

 二人の面持ちには、普段にも似げず緊張の色がにじんでいる。

 いま眼前に立つ女性こそ、かつて虹十字ルクセンブルク総本部の重鎮であり、現在では日本虹十字の最高責任者として日本政府からも一目置かれる最重要人物であることを、二人は知っていたのである。

「肥田博士、井上博士のお二方でいらっしゃいますね。わたくし、日本虹十字総代表、神楽瑠衣と申します。どうぞよしなに」

 神楽瑠衣、すなわち早苗の母親は、銀鈴の鳴るような声で自己紹介し、優美に微笑んだ。



「敵が動いたようだよ、ボブ」

 小笠原諸島、西之島北方二十マイル。

 アメリカ海軍太平洋第七艦隊旗艦、揚陸指揮艦「パープル・リッジ」艦橋。

 艦隊司令官ハリー・クリンスマン大将は、電信官のもたらした紙片を開きつつ、かたわらに立つ参謀長ボブ・ギブソン中将へ苦々しい声と表情で告げた。

「こんな時にか。厄介な」

 応えるギブソン中将の声にも、かすかな苛立ちがこもっている。

「こちらは、それどころではないというのに」

 クリンスマン大将から紙片を手渡されたギブソン中将は、その内容を一瞥しつつ、恨めしげにつぶやいた。

「これはまた、なんという規模だ。まさかジャップども、我々の事情を知っているわけではあるまいが」

「……まだ、手がかりもつかめんか」

 クリンスマン大将の問いに、ギブソン中将は嘆息まじりに首を振ってみせる。

「まったく駄目だ。イオージマから、このオガサワラ、イズの周辺まで、潜水艦も海底探査船も総動員し、各島嶼には海兵隊のほぼ全員を上陸させて、もう一ヶ月も捜索を続けているが……」

「そうか……」

 クリンスマン大将は、指揮座に背を預け、疲れたように肩を落とした。

「なんとか発見せねば、我々とて動くに動けんのだ。捜索は続けてくれたまえ。敵の迎撃は当面、イギリス人どもに任せておけばよかろう」

「承知した。そのように手配しておこう」

「ガールズの様子はどうかね」

「なんとか秩序は保っている。しかし、一部には激発寸前の者もいるようだ。特にルーシーは危険な状態だ。相当いきり立っている。いつ単独で飛び出してもおかしくない」

 ガールズとは、アメリカ軍における魔女っ子の総称である。

「無理もないな……だが、なんとかこらえてもらわねば、色々と厄介なことになりかねん。ボブ、虹十字やイギリス人どもには、この件はまだ漏れていないだろうな?」

「むろん、厳重な緘口令を布いてある……ひとたび露見すれば、虹十字は我々に強制停戦を呼びかけてくるだろう。そんなことになっては、わが合衆国海軍の威信は地に落ちる」

「そうだな。そして停戦が長期化すれば、ジャップどもは、こちらが手出しできぬのをよいことに、これまでと変わらず世界中の鯨を喰い殺し続けるだろう……。もとより我が合衆国は、その蛮行を阻止すべく、彼らに宣戦したのだ。それを貫徹しえぬまま停戦など、決してあってはならんことだ」

 クリンスマン大将は吐き捨てるように言い放った。

 ――捕鯨の是非は、この千五百年あまり、日米のみならず全世界を巻き込んで喧々諤々の議論が続く懸案事項である。この捕鯨問題を扱う日米の外交交渉のもつれこそが、今次の日米英戦争のそもそもの発端であった。

「だがハリー、捜索は続けるにせよ、最悪の事態も想定しておかねばならん。我々も、辞表を用意しておくべきだろうな」

「ああ、……確かに」

 二人は同時に溜め息をついた。



「行方不明?」

 白磁のティーカップ片手に、肥田部長が訊き返す。

「ええ、そうです」

 瑠衣がうなずくと、肥田部長は、信じられないという顔して、傍らの井上主任をかえりみた。

「主任……そんな話、聞いてた?」

「いえ、まったく初耳です」

「そうでしょうね」

 瑠衣は、テーブル上のカップにミルクを注ぎつつ、当然といわんばかりに応えた。

「この件については、我々が手を回して厳重な情報統制を敷いていますから」

「……しかし、にわかには信じがたいお話です。詳しくご説明いただけますか」

「むろんです。そのために、お二方に、ここまでご足労願ったのです」

 瑠衣は、カップを取り上げ、軽く口をつけてから、表情をあらため、語りはじめた。

「我々が把握しているなかでは、最初の発生はおよそ一年前。南極に近い、マクドナルド諸島付近の空域にて、フランス空軍の輸送機が突然、消息を断っています。この輸送機には、フランス空軍所属の魔法少女三名が乗り込んでいましたが、その他の搭乗員ともども、現在まで、その安否は不明です。以後、南極付近からアフリカ、ヨーロッパ全域へかけて、同様の案件が断続的に報告されています。これまでに確認されている行方不明者の総数は、合計五十七名。うち、魔法少女が三十四名。その全員が軍籍にあり、なかには各国軍でもエース級といわれる優秀な魔法少女も何名か含まれています」

「そんな大勢が……?」

 肥田部長は、不審げに眉をひそめた。

「原因はわかってるんですか」

「ええ。結論から申しますと、彼女たちは誘拐されたのです。複数の証言や、魔法監視衛星のデータなどから、その裏づけもとれています」

 魔法監視衛星とは、淡路島条約の改定条項により、虹十字のみが所有を許される特殊な人工衛星である。物理遠隔操作に特化した魔女っ子たちによって遠隔制御され、世界中あらゆる戦場を衛星軌道から監視し、映像データを記録する役割を担っている。現在、八基の魔法監視衛星が稼動中で、それらは虹十字直属の二十人の魔女っ子たちによって、二十四時間体制で運用されていた。

「……魔法少女を誘拐?」

 井上主任が当惑顔で問い返す。

「そんなことが、可能なんですか」

「常人にはまず無理でしょうけど。同じ魔法少女であれば、強引に連れ去ることは可能です」

「では、実行犯は、被害者らと同じく魔法少女だと……?」

「ええ。それも複数……かなりの人数で集団として行動していることが、現在までの調査で判明しています」

 二人は揃って絶句し、目をみはった。

 魔女っ子といえば、おおよそ未成年、それもローティーンが中心世代である。そんな子供たちが組織的な誘拐行為を繰り返している、と瑠衣は告げたのだった。

 肥田部長は、つい身を乗り出して尋ねた。

「何のためにそんなことを。目的は……」

「それは、首謀者に直接尋ねるしかありません。こちらでも、おおよその推測はついているのですが、まだ断定はできませんので」

「首謀者?」

「ええ。すでに判明しています。こちらの資料をご覧ください」

 瑠衣は、携えてきたファイルをテーブル上に開いて、内容を示した。

 どれ、と読み進めるうち、次第に、二人の目の色が変わりはじめた。

「……これ、本当なんですか」

 肥田部長が、やや冷静さを欠いた表情で呟く。瑠衣は対照的な沈着さで「事実です」とだけ答えた。

 いっぽう井上主任は、驚きより、むしろ興味深いといった様子で感想を述べる。

「なるほどねえ。二百六十年前の亡霊ですか……。この内容が事実とすれば、さすがに虹十字だけでは手を出しづらいでしょうな」

「ええ」

 ふと、瑠衣の眦に厳しさが加わる。

「ただ、難題とはいえ、我が虹十字が魔法少女の互助、権利保全を標榜する組織である以上、かかる事態を放置しておくわけにはまいりません。被害はなお拡大し続けているのです」

 言いつつ、ファイルをめくる。

 新たなページには、年若い白人少女の顔写真が貼られ、姓名が記されていた。

「これは?」

 肥田部長が尋ねる。

「つい先日、こちらに報告のあった、新たな行方不明者です。未確認情報で、まだアメリカ海軍側からの報告も受けていませんが、この少女は四月半ばごろ、伊豆諸島近辺にて日本軍と交戦中に、突如、消息を断ったということです」

「伊豆諸島? そんな近くで?」

「アメリカ海軍のほうでは、事実をあえて公表せず、なんとか内々に処理しようと躍起になっているようですけれど。こちらには、そんな動向はすべて筒抜けですから」

「部長。この子は……」

 井上主任が、何か気付いたように肥田部長へ顔を向ける。

「かなり有名な子よね。たしか、アメリカ太平洋第七艦隊の撃墜王でしょ。こんな子まで……」

「さすがに、よくご存知ですね」

 瑠衣はうなずき、おもむろに姿勢を正した。

「おわかりでしょう。事はすでに日本近海にまで飛び火しているのです。我々はもとより、あなた方にとっても、もはや他人事ではないはずです」

「それは……確かに」

「まだ日本人の被害者は出ていませんが、このまま放置しておけば、それも時間の問題でしょう。そうなる前に、あれを止めねばなりません。具体的な方法はすでに検討済みですが、その実施にあたって、あなたがたのお力が必要なのです。ご協力いただけますか」

 瑠衣の口調は、あくまでも静かに涼やかに、しかし眼差しは凛と二人を見据えている。

 テーブルをさし挟み、三人の間に、わずかな沈黙が落ちる。

 ――やがて、肥田部長が力強く応えた。

「子供たちが危ないというときに、大人が傍観しているわけにはいかないでしょう。私どもにできることでしたら、なんなりと」

 井上主任も同調する。

「ま、到底、お断りできるような状況じゃありませんね……それに相手が相手ですから。ある意味、我々のような学者にも、責任の一端があるような気がしますし」

 そう肩をすくめてみせた。

「ありがとうございます」

 瑠衣は目もとをやわらげ、満足したように微笑を浮かべた。

「日本政府および陸海軍とは、必要な折衝を済ませてあります。すでに我々の提示した条件に沿って、海軍が準備を進めています」

「海軍が……?」

「ええ。我々は、虹十字単独での事件解決は困難と判断し、現在、日本海軍との協力体制を敷いています。むろん、海軍も、いまは大変な状況ですから、まず日本近海の紛争に区切りをつけ、しかる後、我々との共同作戦に着手、という順序になるでしょう。――あなたがたには、この共同作戦の実施にあたり、必要となる各種データの提供と、技術的な支援とをお願いいたします」

 井上主任が尋ねる。

「それは無論、協力は惜しみませんが……その共同作戦とは、いったい何です?」

「第七魔法戦隊……魔法戦艦いずみによる、南極大陸強襲作戦です」

 事もなげに瑠衣は告げた。



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