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第2話:接見前のお話?

馬車に揺られ、宿屋に泊まりながらもゆっくりと進み、ミレーヌ達は日も暮れ掛かる夕方にようやく王都に辿り着いた。

実に出発してから約一月が経たっていた。


窓の外に広がる城下町は色々な店が並んでいて店主は道ゆく人に声掛けをしたりしていてアナタリアなどでは決して見ることが出来ない活気に満ち溢れていた。


「ミレーヌ様、もうじきお城に着くようですよ。お疲れではないですか?」


外の様子に見入っていたミレーヌに声を掛けてきたのはアナタリアの城から一緒にやってきた侍女リリーだった。

彼女はミレーヌが15歳になった時から身の回りの世話をしてくれているが、年も近いせいか友達のように仲が良い。


「えぇ、わたくしは大丈夫よ。リリーの方こそ長旅で疲れてはいない?」

「私も大丈夫です」

「そう。それは良かったわ」


その後しばらくリリーとたわいもない話をしているとゆっくりと馬車は停止した。

ドアが開けられ、外からスッと伸ばされた手を取り馬車を降りると、目の前には見たこともない大きさの城があった。


あまりの大きさに呆然と立ち尽くしていたためか、いつの間にか右隣に人が立っていることに気が付かなかった。


「初めまして、ミレーヌ様」


そう声を掛けられ、初めて右隣にいた人物に意識を向けた。

そこに立っていたのは赤茶の髪の毛で同じ色の瞳を持つとても真面目そうな若い男性だった。


「私はダラスと申します。マルクス様の護衛兼秘書をしております。以後お見知りおきを」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「ここで立ち話もなんですから、まずはお部屋へご案内いたしましょう」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミレーヌ達は城に入ると、何度となく角を曲がり、長い回廊を抜けると、扉がいっぱい並ぶ廊下へと出た。

その一つの扉の前でダラスはようやく立ち止まった。


「こちらがミレーヌ様のお部屋になります。…どうぞお入りください」


そう言って開け放たれた扉の先にあったのはとても広く華美な部屋だった。

自分が今まで暮らしていた城とは比べものにならないほど、調度品から家具まで素晴らしいものばかりで、ミレーヌは少し気後れした。


ダラスに促されるまま、部屋の隅に置かれた長椅子に腰掛けた。

それを見計らったかのように、部屋で待機していた侍女が、お茶を用意してくれる。


「どうぞ…」

「ありがとう」


そう言うと侍女は一度礼を取ると部屋の外へと出て行った。

きちんと扉が閉まるのを待ってからダラスは話し始めた。


「ここにあるものはミレーヌ様のお好きなようにお使い下さい。右側の扉は寝室へと繋がっております。………それから、マルクス様との接見の前にお聞きしたい事があるのですが…」


(聞きたいこと?)


何を聞きたいのかと首を傾げたミレーヌに彼は言葉を続けた。


「つい先日、王子妃の選考がこの城で行われたのはご存知ですか?」

「………?選考…ですか?」


そんな話は聞いたことが無い。

父もそんなことは一言も言っていなかった。


「そうです。国内だけでなく、国外からも手当たり次第女性を集めて行われたのですが…」

「し、知りませんわ。だったらなぜ、わたくしの所へ縁談の話が来たのでしょう?」


本当に意味がわからない。選考が行われていたのなら、すでに妃は決まっているのではないのか?

傍らに立つ、リリーに視線を向ければ、自分も訳がわからないという風な顔をしていた。


(とにかく落ち着かないと…)


ミレーヌがテーブルの上に用意されていた飲み物に手を伸ばしかけたその時だった。

「俺が説明しよう」

「………!?」


突然の声に驚いて振り返ってみれば、扉の所に男性が立っていた。



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