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第15話:ふざけた話

「どういうことですか!?」

「どうもこうも、あなたには彼女…姪であるリリーとの縁談を…と言ってるの」


姪だかなんだか知らないが…よりによってミレーヌの侍女とだなんて!

全くふざけた話だ。笑えもしない…。

今そんな話をして"はい。そうですか"と了承するとでも思っているのか?


マルクスはあからさまに顔をしかめるとアリスに食ってかかった。


「そんな話は聞いてません!」

「だから今、話してるんじゃないの」


小馬鹿にした言い方に腹が立ったがここで冷静にならなければ…そう思うのにどうも無理なようだ。


「ミレーヌはこの事を知っているのか?」

「知っているも何も…」


リリーに話し掛けたというのに、アリスが白々しくそれに答えようとする。


「あなたには聞いてない!!」

それを素早くマルクスは遮るとリリーに向き直った。


「リリーと言ったな…お前の主人はこの事は知っているのか?」

「………」


リリーはこの状況を初めから予想していたのだろうが、顔色が悪いのを見るとアリスだけがこの縁談に積極的なんだろうと思った。

だからと言ってマルクスの怒りが治まる訳ではない。


「早く答えるんだ!!」

「いえ……話しておりません」


知らないと聞いて思わずため息がでた。

もちろん安心から来るため息ではない。

そりゃ話せないだろうというのはわからなくもない…。

自分の縁談相手とご主人様であるミレーヌの縁談相手が同じだなんて果たして言えるだろうか?

どちらにしても、彼女を受け入れる事なんて無理に決まっている。

大体、父の了承も貰っていないのは明白だ。

こんな事を知っていたら始めからミレーヌとの縁談を持ち込んで来ないはず…。


「義母上…申し訳ありませが…私は彼女とも結婚する気はありません。父上もこの事を知っているとは思えませんし、何よりも非常識です」

「…なっ!?あの姫が居るから…そうなのね?」

「どうしてそうなるんです?…そんなんじゃありません。どちらの方とも結婚する意志は無いという事です」


そう答えた時のアリスの表情にあきらかな苛立ちを感じた。

だが、開いた口は恐ろしい程冷静なものだった。


「まぁ…この先、考えが変わることもあるでしょう?その時は、リリーに一目惚れでもしたとか言えばいいのよ…まぁ、返事は今すぐでなくてもいいわ…」


そんな事は有り得ないと言い返そうとしたところで、"これ以上話は無い"とばかりにアリスは立ち上がるとリリーを部屋の中へ残し、マルクスだけを部屋の外へと無言で促すと鼻の先でバタンと扉を閉められた。

まるで追い出された形だ。


(あいつは…母さんを手にかけた女だ。きっと今回のことでも何か考えているに違いない…)


しかし、これはある意味チャンスかもしれない。

あの女の化けの皮を剥がす……。


----------------------------------------



自分の執務室へと戻ってくると、早速ダラスを呼びつけた。


書類を片付けながら待つこと数分、ドアがノックされダラスが顔を出した。


「マルクス様、お呼びですか?」

「ああ…ちょっとな…」


そう言うと、マルクスはダラスを応接用の椅子へと促し座らせるとアリスの部屋での出来事を話し始めた。


一通り話終え、ダラスの様子を窺うと、やはりあまり良い表情はしていなかった。

それもそのはず。

まさか、アナタリアから来た侍女と王妃に繋がりがあったなんて…。

調べを怠ったと言われても仕方ないだろう。


「そ…それは本当ですか!?」

「ああ。だが、あのリリーとか言った娘…縁談には乗り気でなかった気がした」

「そうですか…にしてもまさかあの侍女が…」

「まぁ一度、彼女とこの事について話をしてみたいと思うんだが…。時間を作ってくれないか?」

「そうですね…わかりました。早急に調整してみます」


頼むと言うとダラスは部屋を出て行った。

静かになった部屋でマルクスは顎に手をやり物思いにふけっていた。


アリスの事、リリーの事そしてミレーヌの事…どうするべきか?

いや、別にリリーとの結婚を考えて居るわけでもない。

どの道三カ月も立てばミレーヌは自分の国に帰る筈だ。

リリーはどうだかわからないが…。


大体そんな事で悩むなんて。


(全く自分らしくない…)


マルクスは立ち上がると仕事の続きをしようと机へ向い一枚の書類を手に取った。



マルクスが仕事に没頭し始めた時には窓の外は夕焼けが広がり夜の訪れを迎えようとしていた。

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