表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スピンオフ置き場  作者: 土広 真丘
第1章
16/17

7.復活、そして再会

お読みいただきありがとうございます。

『…………』


 走馬灯のごとく駆け巡る記憶を愛撫するように、アルシオは一つ目を閉じ、すぐに開いた。胸中を流れ行く無数の情景が遠ざかり、一点が開けた先に、佇む影が浮かび上がる。神にも通ずる絶世の美貌を持つ青年。自分と同じアメジストの瞳を細め、ウォーロックと同じ青緑の髪を翻して微笑む最期の姿。


 ああ、自分たちは紛れもなく兄弟なのだと思った瞬間、ウォーロックが号令を放った。


『――せーの』


 一呼吸後、息を合わせたアルシオとウォーロックは、同じタイミングで声を発した。戻って来てくれと、心の底からの想いを乗せて。


『ラーグ兄上!』

『ラーグ兄さん!』


 心の中ではラーグ様、と呼ぼうと準備していたのに、唇を突いて飛び出したのは兄という語だった。軽く瞠目するアルシオの横で、ウォーロックも口元に指を当てて瞬きしている。もしや弟も同じだったのだろうか。


 そんなことを考えた瞬間、(おびただ)しい旋風と爆発するような光が駆け抜けた。逆巻く烈風に髪を舞わせ、ミスティーナとイルーナが顔の前に手をかざす。


 全員の胸の奥から、衝き上がるような感動と歓喜が迸った。どこかで、わーい! わーい! と大喜びしている念を感じる。最高神を筆頭とする数多の神々たちだ。


 煌めく星々のような瞬きがアルシオたちの上方に瞬き、新星が生まれるかのごとく弾けて人型を取る。ひときわ眩い光輝を伴って顕現した影が、音も立てずアルシオとウォーロックの前に降り立った。


『…………』


 自覚しない内に、アルシオの紫眼から滂沱(ぼうだ)の涙が流れ落ちていた。言う間でもなく嬉し泣きだ。おい腐れ爺もとい腐れ兄貴、せっかく休めたのにまた蘇ることになって残念だなザマーミロ、くらい言ってやろうと思っていたのに、全て吹っ飛んだ。感動で言葉が出て来ない。ただ、還って来てくれてありがとうという想いだけがあった。


 隣に立つウォーロックも、トパーズの瞳から感涙の雫を溢れさせている。紛う方なき同胞にして家族神への愛情だ。例えどれほどの行いをされようとも、どれだけの確執を抱いていようとも、跡形も残さずかき消してしまうほどに広大無辺な愛。


『おぉ、本当に呼び戻しおった』

『まさか本気で復活させるとは……』

『半分以上は冗談のつもりであったに』

『最高神方もしっかり神格を授けて下さったな』


 蘇った先達たちが、自身の体を眺めながらヒソヒソ話している。彼らが舞い戻ると同時に、最高神が遠隔で神格を与えたのだ。先ほどからわーいわーいと狂喜乱舞しているのは、ラグドールたちがついに本当に自分たちの家族になったという慶事ゆえだろう。


『皆様、神格が非常に高いですね。星雲(せいうん)の御稜威をお纏いです。最高神方の上位従神である私たちと同等の神性を授けられたようです』

『そうみたいだな。ラグドール様はさらに高い。最高神全柱の筆頭従神にも匹敵する神格だ。色無しでは最高位中の最高位だな』


 先達たちを視ていたシルファールとアーディエンスが囁き合っている。神の眼は自ずと神格が読み取れるため、相手が有する位の高さは一瞥すれば察せる。だがそれ以外でも、神威の輝きから判別する方法もあった。


 色無しの中でも頂点にある者は、色持ちの高位神に準ずる特別な存在となり、無色透明な神威の中に煌びやかな輝きを帯びている。他の神々が発する光とは一線を画した強さと明るさで、銀河のごとく絢爛なものだ。ゆえに、無色の神々の中でも最高峰の者は、星雲と称されることもある。

 元から高い神格を有する神の他、最高神全柱の従神の中でも特に上位の者や、個々の最高神の筆頭従神、もしくはその経験者である者などが、星雲の神威を纏っている。また、アマーリエやフルードなど『選ばれし神より下の高位神』が愛し子を持った場合も、その愛し子は星雲となる。

 そしてたった今蘇った先達たちも、その銀河の煌めきを得ていた。中でもラグドールの神位は、星雲の中でも最高峰に達する。完全に特別で規格外のものだった。


『しかもラグドール様、荒れ神で顕現してるじゃねーか。星雲で生来の荒神とかとんでもねーな。……そうか、荒れ神の素養があったからあれほど強かったのか……」


 何かの得心がいったように呟いたアーディエンスの声は音にならないほど小さく、誰にも聞かれることはなかった。

ありがとうございました。


文中ではサラッと流していますが、星雲は実はすごい神です。

星雲の神威を極限まで高め、纏っている眩い煌めきを強めて強めて強めると、絢爛な光がその神固有の色に変じて御稜威全体に溶け込みます。つまり色を帯びる=有色の高位神になります。色持ちに準ずるというのはそういう意味です。

さらに言えば、有色の神になれるということは、そこから転化(至高神化)もできます。


ただし、実際に星雲が色持ちになったり、ましてや転化まですることはほとんどないです(色持ちは自分たちとは別格の存在だと考えているのと、そうしなければいけない状況になることが滅多にないため)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ