毒入りホットケーキを召し上がれ
【作者より】
拙作は「第7回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」に参加させていただいた作品です。
テーマは「ホットケーキ」を使わせていただきました。
俺はとある屋敷に仕える住み込みの料理人。
今日もこの屋敷に住む貴族や使用人に美味しい食事を食べてほしいと腕を振るっている。
しかし、俺には嫌いな奴がいる。
それは旦那様だ。
彼は強欲で他の者の考えを受け入れない最低な奴だ。
それに対して、優しい奥様や素直で可愛い子供たちは癒されるのだが……
彼女は何故、あの男と結婚したのだろうか?
そんなことはおいといて、あと1時間で15時になろうとしている。
午後のティータイムが迫っているのだ。
今日は何にしよう……
子供たちは学園からまだ帰ってこないし、時間がないから簡単にホットケーキにするとしよう。
旦那様と奥様は大の甘党だ。
おそらくハチミツをたっぷりとかけて食べることになるだろう。
俺はニタリと口角を上げた。
彼の方にはある仕掛けを入れようではないか……
それは毒だ。
毒入りのホットケーキを旦那様に食べていただこう……
そうすればすぐに毒殺することができるから――
うーん……できれば味を変えず、簡単に毒を入れるには何か方法はないのだろうか?
睡眠導入剤は市販薬ならドラッグストアで簡単に購入することができるというわけで、粉末状の睡眠導入剤を購入してみた。
奥様には普通にホットケーキを作り、生クリームをのせ、皿に季節のフルーツと共に盛りつけたもの。
まるで可愛らしいパンケーキになってしまったが、彼女はその方が凄く喜ぶだろう。
旦那様は睡眠導入剤を入れたホットケーキを数枚重ね、ハチミツにも毒を盛る。
幸いにも見た目は普通に作ったものとほとんど変わらない。
キッチンに執事が駆けつけた。
彼は紅茶の選定やティーポットの準備を始める。
ワゴンにはホットケーキとハチミツ、ティーカップがのせられ、俺は執事に「シンプルなホットケーキは旦那様に出してほしい」と指示を出した。
彼は怪訝そうに首を傾げ、「畏まりました」とキッチンをあとにする。
俺は執事のあとを追った。
旦那様と奥様のところには指示通りホットケーキとハチミツ、紅茶がセットされている。
彼らはハチミツをかけ、フォークとナイフで切り、口に運ぶ。
奥様は満面の笑みを浮かべながら食べているが、旦那様は苦しんでいる。
さあ、もっと苦しむがいい!
俺はお前のその顔が見たかったんだよ!
意外なことに彼女は苦しむ彼を見て嘲笑している。
「貴方の苦しむ顔が見られて嬉しいわ! もっと苦しみなさい!」と言い放った。
奥様も本心は俺と同じことを考えていたのかと思った瞬間だった。
最後までご覧いただきありがとうございました。
※最終的には旦那様は毒殺により、命を落とされましたとさ。
料理人、そして、奥様よ……君たちは悪魔かい?
2025/12/05 本投稿




