地下都市2
なんとかわかってもらえたようだ。
それにしても、僕らはゆっくりとはいえ、最短でここまで来たと思う。
いや、間違いない、そのはずだ。
なのに彼女はもうすでに僕らのことを知っている…なぜだ?
単純に考えても流石に速過ぎやしないだろうか。
もしかすると自分の中の常識のようなものが何か間違っているのかもしれない。
だが、今はそれよりも、彼女が警戒を解いたことに安堵するべきなのかもしれない。
その証拠に声色がとても柔らかいものに変わった。
その女は踵を返し、僕らもそれについていくことにした。
案内されるのは当然上に浮かぶ浮島だと思い、高鳴る胸の鼓動を抑えていたが、その期待とは裏腹に向かう先は地の底へと続く巨大な穴の方だった。
それは、山頂から見たときに目にした、あの底知れぬ穴。
とてもがっかりだ。
この頭上にある浮じまがなぜ浮いているのかその訳を知れるチャンスだったのに。
疑問というのは解決するためにある。
だからこそ、本当にがっかりだ。
それでもわがままは言うもんじゃあない。
しっかりと彼女についていくとこにした。
真下へと円を描くように開かれたその巨大な空洞は、まるで地の底へ続く奈落の門のようだった。
穴の内壁には無数の建物が張り付き、縦に積み重なった街のように見える。
それぞれの家々の窓には光が灯り、薄暗い場所にもかかわらず、まるで昼のように賑わっている。
遠くから聞こえるざわめきが、ここに暮らす者たちの存在を確かに感じさせた。
中央までかかっている古びた橋を渡ると、螺旋を描くような巨大な階段が設けられていて、僕らはその螺旋階段をひたすら降りていった。
それは明らかに自然にできた穴ではなく、何かしらの方法で掘られたような穴であった。
壁には幾年もの時を重ねてできたようなさまざまな傷や、面影を感じる質感であった。
どこまで降りても終わりが見えないような錯覚に陥りながら、やがて最深部へと辿り着く。
目の前に広がるのは、周囲の建物よりも明らかに堅牢な造りをした建物だった。
その入口には警備の者らしき人物が立ち、内側から放たれる空気には、どこか特別な重みが感じられる。
僕らは無言のまま、その扉の向こうへと足を踏み入れた——
— μετά—
なろう作品らしい表現でふわっと投稿してきますんでよろしく〜
なろう特有の一人称視点的作品に飽き飽きしてるそこの君はこっち見て優越感にでも浸っててくれ。
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