病院4
続けて老人が話しかけてくる。
「それと、君と一緒に発見された少女のことだが……彼女を君の妹として届け出ることになった。もし嫌なら、拒否しても構わん」
妹⁉︎それは聞いてないぞ?
なんでそういう大事なことを急に言ってくるんだ?
そもそも会ったことも話したこともないし、過去にあったとしてもその記憶ないし…
どうやって接すればいいんだ?
でも逆に考えると、妹がいるというのはいいかも知れない。
この先1人で生きるより誰かがいたほうがいいし、まぁ可愛ければなんでもいいかもなぁ…なんて?
ワタシはワタシは思ってみたり…?
「….構わないですよ」
そう答えると、彼は小さく頷き、書類の束を僕に渡してきた。
その中には名刺やお金があった。
その名刺にはフルネームと役職が書かれていた。
それを裏返すとそこには奇妙な紋様が刻まれている。
なんだこれは…?
「このマーク……病院のロゴ、でもないですよね?」
「さあ、どうだろうね」
どっかで見たことのあるよな気がする。
まあ、と言っても既視感があるだけで、なんのマークかとかどこで見たとかなんもないんだけど….。
「……まあ、気のせいかもな」
気のせいだということにした。
こういう何かの気がするってのは大体気のせいだって思っとけば人生楽に生きられるってもんだ。
何の根拠もないけど、それが僕のモットーってやつだ。
そして、それらをポケットの中にしまった。
「それとこれも渡さないとね」
そう言って今度はペンダントを渡して来た。
ペンダント…?
なんか胡散臭いって思う。
「これは…?」
「君が手に握っていた物だそうだよ。運んできた者がそう言っていた」
え?それだけ?
いるか?いらないか?くらいは普通聞くだろ…
なんか雰囲気的に持たないといけない感じがした。
試しに手に持ってみる。
上に持ち上げると開くタイプのようだが、不思議なことにどれだけ力を加えてもビクともしない。
なんだこれ…開かないなら尚更いらねぇだろ
諦めてとりあえず裏返してみた。
裏側とさっきの名刺のマークと同じマークが刻まれていた。
なんかの意味があるんだろうか。
その疑問を聞こうと思い、顔を見上げると、何を秘めているか分からない瞳を僕の方に向け、微笑んでいた。
とっても不気味だ。
結局聞くことをやめておくことにした。
別に、怖気付いたわけじゃないけど、空気を読んでやめておいた。
決して恐れをなしたわけじゃないけど、一応念のため心の中に留めておいた。
大事なことなのでもう一度言うが、誓ってたじろいだわけじゃないけど、雰囲気を察して控えておいた。
そんなこんなであっという間の数日。
退院の日が来てしまった。
— μετά—
なろう作品らしい表現でふわっと投稿してきますんでよろしく〜
なろう特有の一人称視点的作品に飽き飽きしてるそこの君はこっち見て優越感にでも浸っててくれ。
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