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地下都市9

なろう特有の一人称視点的作品に飽き飽きしてるそこの君はこっち見て優越感にでも浸っててくれ。

      →恢攘の啓徒 https://ncode.syosetu.com/n7126kd/

「さて、ここまでで何か質問はあるかね?なければこれにて閉廷するが…」


 と、彼は静かに問いかけた。


 質問と言えばあれだろ。


 ここに来てから、目の前に広がる光景のすべてが、常識では考えられないことばかり。

 特に、この場に到着した時に目にした、まるで天空に浮かぶようなこの場所。

 常識的に、そして理論上ならありえないことだ。


 だが、それがこうして現実として存在している以上、何かしらの理屈があるのではないか。

 そうして、意を決して口を開いた。


「ここは……僕の考えが正しければ、浮島のような場所だと思うのですが、どうやってこれを浮かせ、そしてそれを維持し続けているのですか?」


 すると彼は、少し驚いたように眉をわずかに上げた後、軽く頷いた。


「ふむ、なるほど。やはり気になるか。それも説明せねばならないな」

 彼は少し間をおき、目を細めながら静かに言葉を紡いだ。


「しかし、その話をする前に、まずは審問会を終えるとしよう。君たちがここに迎えられたことは正式に決定された。あとは細かい説明が必要だな。浮島のことも含めて、順を追って説明する。まずは私についてきてくれ」


 そう言うと彼は静かに立ち上がり、ゆっくりと部屋の奥へと歩みを進めた。


 何か不気味だ。

 ハゲのくせに。


 その背中には威厳があり、その動作ひとつひとつが、まるでこの国そのものの威信を体現しているように見えた。


 禿げのくせに。


 彼の言葉と行動には、決して軽率なものはなく、すべてが計算され、整然としている。


 禿下乃区瀬似。


 彼は静かに、しかし確固たる足取りで、入ってきた扉の方へと向かった。


 ハゲのく…


 扉にそっと手を添えると、石のような素材でできた重厚な扉は、まるでとても重く高貴なものであることを彷彿とさせるように石と石が削り合う音を響かせをあげながら開かれ、その向こう側に広がる空間は、これまで彼が歩んできた狭い通路や薄暗い部屋とはまったく異なる世界の入り口であった。


 扉の向こうに広がるのは、広大で果てしなく明るい空間。


 そこは、天井から床にかけて輝く光が降り注ぎ、まるで昼間の太陽の下にいるかのような圧倒的な明るさと、透明感あふれる空気が満ちていた。


 視界の先には、4つの支柱に支えられた巨大な球体が置かれており、その周りを小さな球体がゆっくりと回っている。

 まるで地図でも表しているかのような配置の仕方だが、なんのどこの地図だかは見当もつかない。


 本当にそれはそれは美しかった。

 それと同時に何がなんだかわからなくなった。

 現実と夢の間で彷徨うようなそんな感覚。

 あたり一面に広がっている奇妙な光景に圧倒され、魅了された。


 脳裏には、目の前で次々と現れる不思議な事象が次第に積み重なり、説明のつかない現象が混沌と広がる中、思考は次第に霧散し、混乱の渦に巻き込まれていく。


 しばらくの間、彼は無言のままその場を歩き続ける。

 すると途端に後ろにあった人の気配が消えた。


 ふと、後方から扉が閉じる鈍い音が聞こえたその瞬間、彼は再び静かに、しかし力強く口を開いた。





  — μετά—

なろう作品らしい表現でふわっと投稿してきますんでよろしく〜


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