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金のバラと銀のバラ

作者: 奏 音音♪

人にとって大切何ものは何か? 私なりに短い話の中で伝えた物語です。

金のバラと銀のバラ


あるところにとても仲のいい双子の兄弟がいました。

ですが兄弟には一つだけ大きな問題がありました。

それは同じ女性を愛してしまったことです。

それでも兄弟がいがみ合うことはありませんでした。

もしどちらかが愛する女性と結婚したときは、互いの幸せを祝福しようと固く誓い合っていたのです。

兄弟は女性の誕生日に二人で一緒に結婚を申し込もうと決めました。

豊かではない兄弟は考えたあげく女性に花を贈ることにしました。

兄弟は花壇を作るとバラを植え、沢山の愛情を込めて大切に育てました。

兄弟の愛情を一心に受けたバラは、枯れることなくすくすくと育ち、女性の誕生日になると、驚くほど美しい花を咲かせました。


なんとそれは金のバラと銀のバラだったのです。


それは貧しくとも嘘偽りなく正直に生きる兄弟に、神様が贈ったお祝いのように思えました。

バラは兄弟に平等にわたるよう、金のバラが2本、銀のバラが2本、そして赤いバラが2本咲きました。

弟は金のバラと銀のバラをつみ、兄は金のバラと銀のバラ、そして赤いバラもつみました。

兄弟は大変喜び急いで女性の家へと向かいました。

女性の家へ向かう途中小さな少女が道ばたで青いバラを一本を売っていました。

聞くと少女のお母さんは重い病気でもう何年も寝たきりとのことでした。

少女は少しでもお母さんの役にたちたいと思い花を売っていたのです。

不憫に思った兄は少女に金のバラをわたし、代わりに青色の花を受け取りました。

少女は大変喜び兄にお礼を言うと急いで母が待つ家に帰っていきました。

すると弟が言いました。

「兄さん、彼女にあげる大切なバラを一本なくしてしまったね」

「ああでもまだ銀のバラがあるからね」

また二人は女性の家へ向かって歩き出しました。

すると小さなお墓の前に小さな男の子が黄色のバラをたむけて泣いていました。

聞くと男の子は最後の身内であるお父さんを亡くし、途方にくれて泣いていると言いました。

明日の食事にも困る男の子を見て哀れに思った兄は銀のバラをわたし、代わりに青いバラを受け取りました。

男の子は涙を流し兄に感謝をすると家へと帰っていきました。

すると弟が言いました。

「兄さん、彼女にあげる最後の大切な花をなくしてしまったね。彼女はどう思うだろうか? 」

 兄は不安になりました。手元に残ったのは赤、青、黄色のバラです。

彼女はきっと金や銀のバラがよいに違いない。そう思うと気持が落ち込みました。

やがて兄弟は女性に家に着きました。

弟は喜びいさんで女性に金のバラと銀のバラをわたしました。

女性は大変喜びました。

そして兄が赤、青、黄色のバラをわたそうとしたとき弟が言いました。

「兄さんはとても愚かな人だ。君にあげる大切な2本のバラを見ず知らずの貧しい子供にあげてしまうのだから。僕は君のことを思い大切に持っていたというのに」

「それはどういうことでしょうか? 」

そう訪ねる女性に弟は兄が金と銀のバラをなくした出来事を話して聞かせました。

その話を聞いた女性は突然泣き出しました。弟はとまどいながら言いました。

「ほら兄さんの彼女に対する愛が足りないと彼女が泣いてしまったではないですか」

すると兄もこまりながら言いました。

「ああ、けっして僕は君への愛が足りない訳ではないのです。ただ僕たちと同じような境遇の子供を見捨ててはおけなかったのです。ああ、どうか泣かないで。僕を許してください」

すると女性は涙をぬぐいながら言いました。

「違うのです。違うのです」

兄弟は顔を見合わせました。

「何が違うのでしょうか? 」

訪ねる弟に女性は言いました。

「私は私を愛してくれるがために盲目になっているあなたに申し訳なくて泣いているのです。人にとってもっとも大切なものが何なのか見えなくなってしまったあなたが、不憫に思えてならないのです」

女性の涙が手に持った金のバラと銀のバラにぽたりと落ちました。そのとたんバラはみるみるうちに枯れていきました。思いやりと愛情をなくした金と銀のバラは咲く力を失ってしまったのです。

弟は枯れたバラを見て自分のとった行動を恥じとても悲しくなりました。

「兄さん、僕は間違っていました。彼女を思うがあまり盲目になっていました。彼女に僕はふさわしくないようです。僕は身を引くことにします」

「本当にそれでお前はいいのかい」

「はい兄さん。せめて二人の幸せを祝福させてください」

心の底から兄の幸せを思う弟のあたたかい心に嘘偽りはありませんでした。

兄は喩えようのない暖かい思いが込み上がり涙をぽたりとこぼしました。

涙は手に持っていた赤と青と黄色のバラに落ちました。

すると突然バラが光り出しくるくると絡み合うと美しいバラへと変わったのです。

茎と葉は銀、花びらは金色に輝いています。

まことの思いやりと真の愛情をうけたバラは全く美しく咲きほこり、女性に兄の真の思いを見せたのです。

女性は兄の申し込みを受け入れ、弟に見守られながら幸せな結婚式を挙げました。

そしていつまでもいつまでも幸せにくらしました。

                                          おわり


 



金と銀のバラは人が持つ大切な心を養分に美しく咲いていたのです。金と銀のバラは人の心を表していました。誰かを思いやり助けられるような気持が持てたなら素晴らしいと思います。

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