冬蛍
【九首と一句】
深き夢の海で呼んで探して忘れたいほど忘れたくない
本命はカヌレがいいねカリッとやわらかなあなたをリボンで結ぶ
心の帆よ、ふるへ、ふるへ、向かい風を背にして
舵をとって進め
歩む道に天井から紙吹雪、魔法の箒でキララ卒業
頬伝う水を飲んだよ白湯にしてしょっぱくて優しくて、震えた
涙キラリし冬ほうたる、この手に包んで月灯りへほうたる
切れかけの街灯月への憧れ口にしてチカチカと瞬く
小雪舞う窓の向こうに光る冬蛍と白梅の蕾かな
竹林にさむざむと降る雨霧の息吐き向かう明けの水仙
ぬくもりを雨に重ねて呼ぶ名前