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そしてパーティ当日、お義姉様の代わりとあれば下手な事はできない!とメイドたちにきれいに着飾ってもらった。
家まで迎えに来てくれた兄も褒めてくれた。
パーティ会場について、兄と一緒に挨拶して回っていると、ファンファーレと共に第一王子と王女様の入場がアナウンスされた。
そして、2人に続いてダービン達も入場してきた。
ダービンがこちらを見て何か言おうとしていたが、王女様の侍女であり隣国の侯爵家令嬢のリン様に話しかけられ、視線を別の方へ向けてしまった。
第一王子と王女様に挨拶するため、順番を待っていると
「第一王子と王女様、お似合いね!美男美女で絵になるわ~!」
「ほんとに!それに、ダービン様と侍女の方。隣国の侯爵令嬢様とのことだけど、あちらも美男美女でお似合いじゃない?4人が並んでいると、あそこだけ物語の世界のように見えるんだけど!」
と、4人を噂する声があちらこちらから聞こえてきた。
そうなのだ。ダービンはなかなかの美男子で、学生時も婚約者の有無関係なく、いろいろな女性から告白やお誘いを受けていた。
「あれ?でも、ダービン様って最近結婚されたんじゃなかったっけ?」
「え、そうなの?じゃあどうして今日はあの方のエスコートをしているの?」
「不仲とか?ダービン様と婚約者さん、親同士が決めた政略結婚って聞いたよ?お相手の方がどんな方は知らないけれど、一緒に参加したくないほど仲が悪いのかしら」
レイナの事を知らないので仕方ないが、みんな彼方此方で好きな事を噂していた。
さすがにお兄様の耳にも聞こえていたらしく、抗議しにいこうとした腕を引っ張り止めた。
「なんで?みんな知らないからって好き勝手言い過ぎじゃないか?あちらの令嬢はお前の同級だろう?それなのに好き勝手言って」
「いいのお兄様。怒ってくださってありがとう。
あの方は学生時代にダービン様に告白して断られているの。だから気に食わないのでしょう。
それにこの結婚が私たちの意思でなかったことは事実だし、ダービン様も本当は嫌がっていたのかもしれないわ。本当のところなんてわからないから、みんなが噂している話が嘘だ!なんてはっきりと否定できないのも事実じゃない?
それに笑っちゃうくらい結婚してからまともに顔を合わせていないから、不仲と言われてもしかたないわ」
そう言って、上手に笑ったつもりだったけれど、兄の顔は晴れなかった。
「レイナがそう言うなら、わかったよ。それじゃあ、少し早いけれど挨拶が終わったらお暇しよう。キャリンや子供たちの事も気になるしね。」
「そうしましょう。私、帰りに寄ってもいいですか?キャリン様の様子も気になるし、子供たちにも会いたいし!」
「そうだね、みんなに会ってあげて。父さんもお前に会えないからと悲しんでいたよ。」
そう言って話している間に、順番がきた
「第一王子様にご挨拶を、王女様に歓迎のご挨拶申し上げます。」
「今日は参加いただきありがとう。レイナも申し訳なかったね、新婚なのにダービンを城に囲ってしまって。そして今日も一緒にいさせてあげられず、申し訳ない」
「いいえ、私の事はお気になさらず。お忙し方と存じての事ですから。」
「理解してくれて助かるよ。これからもしばらくはなかなか帰せそうにはなかいからさ」
「王子!」と、めずらしくダービンが口を挟んできた。
「おっと。ごめんごめん!早く帰せるように、努力はするよ」
「お願いいたします。」
そう言ってほほ笑むと、第一王子も一緒に笑ってくれた。
「王子、申し訳ありませんが、妻の体調が悪く、心配なため、これで失礼させていただきたく存じます。」
「あぁ、ダービンから聞いたよ。おめでとう。無事安定期に入れるよう、願っているよ。では、レイナはこの後も楽しんでいってくれ」
「申し訳ありません、私もこれで失礼しようかと。」
「そうか。今日は大変な中、参加してくれてありがとう。帰りは気をつけて!奥方にもよろしく伝えてくれ」
「ありがとうございます。では」
そういって、会場を後にした。
車へ向かっていると、「レイナ、待って!」とダービンが走ってきた。
「お義兄様、今日はレイナのエスコート役をありがとうございました」
「いいえ。こちらもレイナのおかげで助かりましたので。レイナ、僕は先に車へ行っているよ」
「え、えぇ。ありがとう、すぐ行きます。」
「レイナ、今日は本当にすまなかった。そして、今日のドレスとっても良く似合っているよ」
「ありがとうございます。メイドの皆さんが頑張ってくれた成果ですわ。ダービン様はお仕事ですもの、仕方がないわ。理解しているつもりですのでお気になさらずに。では」
「この後は!!この後は家へ帰るのだろう?」
「いいえ。まだ時間も早いですので、実家に寄ろうかと。みんなの顔も見たいですし、お義姉様の様子も気になりますし」
「そ、そうか。それは、そうだな。ゆっくりしていくといいよ」
と話していると、遠くから「ダービン様~どちらですの~?」とダービンを呼ぶ声がした。
「さぁ、リン様が待っておいでですよ。早く行って差し上げてください」
そうほほ笑むと、ダービンはバツが悪そうな顔をしながらとぼとぼと会場の方へ戻って行った。
ダービンと合流したリン様は“捕まえた!“と言わんばかりに腕を絡ませた。
その時、ちらりとこちらを見た顔が睨んでいたように見えたけれど、きっと気のせい。




