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異世界に

 俺の名前は陽介。今思えばこれが自分の人生最高の瞬間だった。結婚をして子供が生まれそうになる瞬間そのことがわかった瞬間だった。でも子供に会うことがないまま人生が終わった。

 今日はいつも通りに職場に行った。自分の職場は中小企業でブラック企業といわれる。上司からのパワハラやセクハラは当たり前で鬱になって辞めていくやつが多かった。この企業に入ってなんで学生時代に頑張らないという選択肢をしたのかという後悔を毎日のようにしている。

 今日も机に向かってパソコンに向かってポチポチとキーボードを叩いている。早く家に帰りたいとずっと頭の中で考えていた。

 プルプルー机に置いてある電話がなった。どうせまたクレームだろとイライラしながら受話器を取った。受話器からは女の人の息が聞こえてくる。

 「佐藤さん今すぐ病院にきてくださいもうすぐ出産です」

 その言葉に目から涙が溢れたこんなに胸が暖かくなったのは久しぶりだ。妻は今入院していて会う機会が普段より減ってお互いに寂しい思いをした。

 話を聞いてウキウキになって会社をとびだした。道路が空がいつもよりうんと明るくなって見える。

ほんとに幸せだそう思った瞬間



えっ?


 ほんの一瞬だったトラックが俺にめがけて突っ込んできたのだ。その瞬間頭が真っ白になった。嫌だまだ死にたくない叫びたいのに叫ぶことができなかった。目の前はもう真っ暗だ。多分一生立ち直ることはできない。



 なんだろう一瞬だけ目に光が差し込んだ。それに女の人の声がする。ねえ起きてよーと少しばかりきこえる。


ハッとして目を覚ました。ここは知らない場所で教会のような場所。周りには俺と女の人しかいない。

教会は綺麗で光が差し込んでくる。もう俺はしんだ絶望した。


「ようこそこの世界に私の名前はユキナこの世界の案内人です」

  

 そう言ってユキナは教会の窓を開けて外を指差しした。素敵な世界でしょとつぶやいた。確かに教会の外は綺麗だ。自然に溢れていてたくさんの生き物がいて空気が美味しい。でもそれは天国なのだろうか?


「ここは天国かなにかなのか」


「違います異世界転生といって違う世界にきたのです」


 異世界はアニメやゲームで見たことがある。子供の頃憧れていたことだ。でも今になってこうやって実現するとは思わなかった。


「異世界転生の仕組みはきまぐれに一度私が決めます」


 その気まぐれに1人に俺が選ばれたのか昔の自分だったら喜んでいたんだろうな。


「それで転生者はくじ引きで決めますよかったですねヨーヘイさん」


よかったですね?その言葉に腹が立ったユキナを睨みつけてしまった。人の人生をぶち壊してなんでこいつはこんなにも笑顔なのかすごく腹が立って殴りたくなる。


「で?謝罪は人の人生をぶち壊して」


多分今俺はすごく怖い顔をしている。こんなに心が怒りに溢れたのはいつぶりだろうか。


「そんなことよりもこれを」


ユキナは話を遮って紙をわたした。地図のようだ。そこには家やギルドなどが書かれていた。


「ここがあなたの新しい家ですここに行ってください」


ユキナは全く話を聞こうとはしなかった。背中を押されて仕事が詰まってんだから早くいく!!そうせかされて教会から追い出された。教会の外は森林で水の音が微かにきこえた。魔物とかいないのかなと不安になりながらも地図を頼りに森林の中をあるいた。森林にはたくさんの鳥が歌っていて心地よかった。家についてベットに横になりたい。そう思った。家ベットがあるといいけど。


森林を歩いてしばらくたつと森林を抜けて村のような場所についた。そこには自分の家まあってベットもあった。今日のことが夢だったらいいのにとおと思ってベットに横になった。せめて子供に会いたかった。最後に最愛の妻の笑っている顔を見たかった。なあ、今笑っているのかそれとも涙を流しているのか?ほんとにごめんなさい。そう思うことしかできなかった。


小さく聞こえる子供の声がお父さんと遊びたい。ねえねえ!

 俺が生きていたらこんなこと日常だったんだなと思うと胸がズキンと刃物でさされた気分になった。


目が覚めるとベットには小さな女の子がいた。


びっくりした。女の子は上目遣いでこちらを見ている。遊びたいと言いたそうな顔だ。


「たかいたかいして」


甘えてきた。そして女の子をもちあげた。


「名前はなんて言うんだい?」


「ないのお父さんつけてよ」


お父さん⁈その言葉に不思議に思った。でも少し嬉しい気がした。


「名前からじゃあ…イロハはどうだい?」


「ありがとう」


イロハは嬉しい顔をした。


「俺のことなんでお父さんっていうんだい?」


「私ね自分のこ誰だかわからないの気づいたら歩いていてねそしたら人がいーぱいいたの」


イロハは少し不安そうな顔をしていて目を擦っていた。眠そうだ。


「眠いのかおねんねする?」


「うん!!するー」


イロハは大きなベットの隣にある少し小さなベットで横になった。そんな顔を見るとほんとに涙が出てくる。いったいこの子はだれなんだろうか迷子だろうか。明日は村を歩いて事情聴取でもしてみようか。


今日はゆっくり休みたい。いろんなことがあった。てかなんだよあのダメ神。この世界のことをちゃんと教えろ俺を勝手に殺すな。この世界にはアニメに出たような魔物には一度も会っていないし魔法も見ていない。今のところ平和だ。でもやっぱり死ぬ前の世界に戻りたい。戻って2人に会いたいし、やり残したこともたくさんある。ブラック企業だったけど尊敬する上司は1人はいた。嗚呼ダメだ。また胸が苦しくなる。


朝になった。でもまだ眠い。むにゃむにや


「おとーさん」


イロハに飛び起こされた。イロハは無邪気に笑っていてわらっている。その笑顔にとても癒される。


「なあイロハ今日は散歩しよーか」


「しゃんぽ!!」


イロハは3歳くらい。言葉足らずなのがすごく愛おしい。


家の外には家が何軒かと小さなギルドがあるらしい。見た感じ田舎でのどかな村だ。生まれも育ちも東京だからこんな田舎は憧れていた。村のみんなが仲良しでノスタルジーな雰囲気の世界。ここもそうなのだろうか。


1番最初に向かったのは村の中心にあるギルドだ。この村のギルドは思っていたより随分と小さいものだった。


「見窄らしいか?ここ」


声をかけてきたのは髭を生やした優しそうおじいちゃん。


「いえ!!そんなことは」


「ほっほっいいんじゃよワシはケイジュン」


「あのこの子は」


俺はイロハのことについて話した。でもケイジュンは何も知らないようだ。


「んー少なくともこの村の子ではないな」


俺はがっかりしてギルドから出た。でもイロハの親が見つかっても少し寂しいかもそうおもった。


「おーいお若いの最近この村越してきたのかい?」


「はい!」


「ここはいいところじゃよろしくな」


ケイジュンは優しいそうな人。初めてあった村人がこの人でよかったとそうおもった。ケイジュンを見ると祖父を思い出す。祖父とは喧嘩別れをして俺が先に死んでしまった。祖父は年齢しては元気で今もどこかで野球をしているのだろう。祖父は野球が好きで昔から野球をしろとよく言われたでもしろと言われるとしたくなくなった。だから俺はサッカーをしていたが大きく挫折した。祖父からは言わんこっちゃないと言われた。


「なあイロハ?」


「んーなーに〜?」


イロハは小さな手で俺の大きな手を繋ぎながらこっちを見た。

 

「何かやりたいことはないかい?」


「水遊び」


イロハは無邪気に答えた。家の近くに小さくて浅い川がある。そこで遊ぶことにした。


キャハキャハイロハは水遊びをして嬉しそうだ。勿論俺も嬉しい。キャハキャハ


「あっあ!」


イロハははしゃぎすぎて転んでしまった。泣いたか?そう思ったけどまだ笑っていた。それに釣られて俺も笑う。こんなに笑ったのって久しぶりだな。

 





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