『新天地へ』
最近、旅に出たいと感じるようになった。
それは繰り返しの日々に飽きたからか、
はたまた、新しい出会いを求めたからか……。
理由はわからない。
けれど、やるべきことはわかった。
きっと、前世の私は風なのだ。
遠く、遠く、どこまでも行ける軽やかな風なのだ。
小さな荷物も、大きなしがらみも。
今の私を縛るものはどこにもない。
初めはどこへ向かおうか。
雄大な山脈や、おしゃれな街。
おだやかな海辺、きらめく洞窟。
考えるほどに、私の羽は大きくなる。
どこにだって、どこへだって!
今日は快晴、旅日和。
音の外れた鼻歌で、私は一歩、踏み出した。