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アレクシア嬢、王宮七不思議に遭遇する。②




 「――はい。ではハルさんが薄紅のストレートヘアでヘーゼルの瞳、可愛らしい雰囲気で。リリベットさんはゆったりウェーブがかった黒髪にエメラルドの瞳で、凜とした気品のある感じ。ということでよろしいですか?」

 「オッケーです! わーい楽しみ~」

 「うむ、善哉善哉。持つべきものは気前のよい同僚じゃの!」

 「喜んでいただけて何よりです」

 「調子の良いこと言ってんなぁ」


 和気藹々と打ち合わせにいそしむ女性たちと、それをやや離れた席から微笑ましく見守る男性陣。何とも平和な光景に、重たいトレーを運んできたセリオンはほっと顔を綻ばせた。ほんのひと月前までは想像も出来なかった、温かな雰囲気がそこにある。


 『皆、家人に茶を淹れてもらったんだが。そろそろ休憩にしてはどうだ?』

 「まあ、ありがとうございます! お手伝いいたしますね、重かったでしょう」

 『大したことはないよ。打ち合わせも捗っているようだな』

 「ええ、とっても。お二人ともどんなお人形を作りたいか、前もってきちんと考えて来て下さいましたから」


 にっこりして請け合ったアレクシアの言うとおり、本日はエーレンシュトラール邸にて、セリオンの所属する班メンバーとの話し合いが行われていた。

 ひとつは先日の模擬試合の副賞だった、人形の注文について。女性騎士の上位入賞者に加えて、男性側トップスリーだったグレンたちが権利を譲ってくれたハルとリリベットに、具体的にどんな作品にしたいかを聞き取るためだ。そして今ひとつはというと、


 「話は戻りますが、セリオン。我々は日ごとに半数ずつで警護に当たる、ということで良いでしょうか? 貴方が非番で、終日奥方のそばにいられる時を除いて」

 『そうしてもらえると心強い。皆には少々負担をかけることになるが……』

 「水臭いこと言ってんな。外郭とはいえ王城に侵入して暴れやがった輩だ、売られた喧嘩は高く買ってやらねえとな!」


 不敵に笑ってみせるグレンに、対面に座っているルーカスも頷いてみせる。頼もしい返事に、図らずも渦中の人となっているアレクシアはこっそり息をついた。現役の騎士、しかも近衛隊に属する腕利きの人たちにこう言ってもらえると、大変心強い。


 ――突如出現した頭と手だけのゴーレムが、明らかにアレクシアを狙っていたことについて、隊長であるエミーリアの対応は迅速だった。すぐさま王城に伝令を向かわせると、状況の報告と今後の作戦について、直接国王陛下に確認、及び了承を求めたのである。

 緊急事態ということもあろうが、ほぼ即決で許可が下りたのはさすがとしか言いようがない。上司も部下も優秀すぎないか、うちの国。


 (エミーリア様と直接の知り合いで、ほんとよかったよなぁ。お人形万歳だわ、うん)


 ちなみに副賞の後にはなるが、今回の件のお礼として一体進呈させていただく予定である。どんなのにしようかなぁ、と早くも算段を練るアレクシアに、ちょうどお茶を手渡したところだったハルが話しかけてきた。なんだか、先ほどにも増して楽しそうだ。


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