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アレクシア嬢、勇者とともに登城する。⑦


 「そんなわけでね、目的とかさっぱりわからないから、ひとまず今のまんまそっちのお邸で生活してほしいの。もちろん調査と警護はうちの子達が全力でやるから、安心して」

 「うちの……というと、やっぱり近衛隊の方ですのよね、エミーリア様」

 「そのとおり! 第二部隊のトップやってます、今後ともよろしく~」


 白地に銀糸で刺繍がある外套を示して、あっさり肯定してくれる知人だ。しかし制服を着ていた時点で騎士なのはわかったが、そんなに偉い人だったとは。今後は夫婦共々お世話になるかもしれないなぁ。


 思いがけないことの連続だったが、心強い味方も出来そうでほっとしていると、エミーリアがこちらを――というより、並んで立っているアレクシアとセリオンを交互に見て、ふいににこ~~~っと笑いかけてきた。なんだろう、ものすごーく楽しそうというか、面白がるような気配を感じるのだが……


 「……あのぅ、どうかなさって?」

 「んふふふふふ、だってねぇ? 周辺の環境は絶対貴女のせいじゃないって断言しとくけど、それを差し引いてもお人形が大好き過ぎて、出来れば一生この仕事で食べていきたいですわって言い切ってたじゃない。それが無事お嫁に行って、しかも相手がとっても良い人で、さらに現時点でこれだけ初々しくもラブラブって! 心の姉様としては嬉しくてしょうがないでしょ~」

 『らっ……!?!』

 「姉様というか、ご近所の世話好きなおば様みたいでしてよー」

 「まあそんなようなものだから! また困ったことがあったら何でも相談してちょうだいね。もう身バレしちゃったし、これからは陛下とかも全力で巻き込んで対応するから!!」

 「さすがに職権乱用ですわよ姉様……」


 心の姉云々は以前からよく聞いたフレーズだが、やっぱり気遣ってもらっているんだなと思うと嬉しい。しかしその姉様のセリフのせいで、当の旦那様がさっき以上に動揺して茹で上がっているのは如何ともしがたいものがある。マントがほぼ床と平行になびいているんですが。


 そして陛下、部下から巻き込む宣言されてるというのに、妙に嬉しそうなのは何故なのか。さてはこっちも世話好きなのか、そうなんだな!? ……なんて、失礼なツッコミを心で決めていたところ、ようやく口を挟んでくれた人がいた。言うまでもない、先ほどからずっと聞き役に徹していた宰相殿である。


 「……えー、ご歓談中失礼いたしますぞ。陛下、そろそろお時間の方が押しておりますので」

 「ああ、毎回済まないな。……そういうわけだから、今後は第二部隊の報告を受けつつ動いていくことになる。激戦の傷も癒えない内、セリオンには引き続き負担をかけてしまうが」

 『い、いえ、お気遣いいただき恐縮です。他ならぬローディニアの治政に関わることとあらば、いつでもこの身命を賭しましょう』

 「ありがとう。でもそう簡単に賭してはいけないぞ? もう君一人の身体じゃないんだから」

 「大丈夫ですって、陛下。もし危ないことしてうちの子を泣かしたら、私がすかさず締めとくし。――でね、そのためにアレクシアにお願いがあるんだけど」

 「あ、はい? 何でしょう」


 締めるために必要な手助けって何だ。いや自分を大事にしてほしいっていうのには大賛成だから、協力はやぶさかではないけども。そんなことを思いつつうなずいたところ、男装の公爵令嬢は大変にこやかに、


 「うん、大したことじゃないの。この力作な装備ね、ちょっとだけアレンジしてもらっていい? 外套は臙脂色、ついでに帽子のエンブレムを鷹にしてほしいな。あ、図案は後で渡すからね」

 「はい、それは問題なく出来るかと、……え゛っ」


 ついうっかり、そのままするっと承りかけて、そこでやっと我に返った。いま、たった今すごいことを聞いた気がする!!


 ――ローディニアの騎士団は、帽子のエンブレムと外套の色で所属を表す。一般部隊は図案なしで班の数字のみ、外套は濃い緑で、今のセリオンの装備がまさにそれだ。これがもっと上の階級になると、徐々に細分化していくのだが、


 「あの、それって近衛騎士の装束、ですわよね!?」

 「当たりっ! 花嫁作戦が不発に終わったので、代わりのご褒美ってことでうちの隊に入ってもらいました!! ビシバシ扱くのでそこんとこよろしくー♪」

 「『ええええええええ!?!?』」


 あくまでも明るい調子で、最後の最後にとんでもない爆弾を投下した第二隊長殿に、とうとう陛下の御前であるということが吹っ飛んだ若夫婦の悲鳴が上がったのは、言うまでもない。



や、やっと終わった……!! 書けば書くほど延びてくってどういうことなの、と思いながらどうにか終わりました、第三話の謁見編!!!

短編で予告していたとこまで書き上がってちょっとほっとしています。が、ここからまたキャラが増えたりいろいろ事件が起こったりしていくので、どうぞ気長に楽しくお付き合いいただければと思います。これからもよろしくお願いいたします~!!

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