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2話 出会いの季節だったりもする

「ただいまー」


「おかえりお兄ちゃん!」


学校から帰宅後、身も心も冷えきった俺を出迎えてくれたのは桃色の髪に黒色の髪飾りが特徴的な我が妹である佐倉桜(さくらさくら)だ。両親は高校入学直後から仕事で海外に行っており、今は俺と桜の2人でなんとか暮らしている。


「ねえお兄ちゃん!ただいまのちゅーは?」


「なんで俺が妹のお前とそんな新婚バカップルみたいな事しないといけないんだ」


「もー!お兄ちゃんのけち!私だって一応、お兄ちゃんと結婚できるレディなんだからねっ!」


そう、妹とは言ったが、俺と桜は血が繋がっていない。いわゆる義妹というやつだ。言動から幼く見えるかもしれないが、俺と1つしか変わらず、俺と同じ四季波高校に通っている。


「はいはいそうですねー」


そう軽くあしらうと、桜はむすっとした表情でリビングに戻って行った。まだ幼いのか、思春期真っ只中なのかよくわからん。俺も靴を脱ぎ、リビングへと向かった。


俺は流れるようにソファに座り、くつろごうとしていると、


「あ、そういえばお兄ちゃんにお客さんきてるよー」


「お客さん?」


「お兄ちゃんと約束してるって言ってたからお兄ちゃんの部屋に上げといたんだった」


「…」


俺は記憶を遡るも、そんな約束した覚えはない。スマホでLINEを確認するも、やはり約束などしていないはずだ。そうなると考えられるのは…いや、あまり考えたくないな…。


「お兄ちゃん、もしかして誰かわからないの?」


「お、おう」


「てっきり私はお兄ちゃんの彼女なのかと思ってたよ」


ちなみに桜には柚子との関係を言っていなかった。理由は…なんか面倒くさそうだからな。


「彼女?てことは女の人なのか?」


「そうだよ?でもよかった!私という将来を誓った相手がいながら、浮気したのかと思ったよ」


「浮気した覚えもお前と将来を誓った覚えもないが」


変なことを言っている桜は一旦は置いといて、女性ならますます分からんぞ。あんなことがあった後に柚子が家に来るってことは流石にないだろうし、第一俺は女子を家に上げたことがない。そうなるとマジで泥棒とかの可能性が濃厚になってきた。


「と、とりあえず見てくる」


桜にはそう言って、俺は部屋を確認することにした。階段を上り、扉の前に立つと、ごくりと唾を飲む。正直めっちゃ怖いんだが。一応ノックし、恐る恐るドアノブを握る。


ガチャリ。扉を開けると、そこにいた少女と目が合う。


そこには日本にはあまり馴染みのない澄んだ緑色の瞳をした金髪ツインテールの女子がいた。歳は同じくらいだろうか。そもそも日本人なのだろうか。桜とは普通に会話できてたっぽいし、日本語は話せると思われる。


「お、や〜っときたか」


そうこう考えているうちに、彼女は読んでいた俺のものであろう本を閉じて棚に戻し、話しかけてきた。


「えーっと、どちら様でしょうか…?」


そう聞いてみると、彼女はほんとにわからないんだあと呟いたあと、しししと笑いこう言った。


「私の名前は佐倉翠(さくらすい)。佐倉現斗、つまりあんたの悲惨な未来を変えるためにその未来からやってきたあんたの娘よ!」


それは泥棒以上に怖い存在だった。

読んでいただきありがとうございます!桜かわいい

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