表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛍奇譚  作者: 玉楼抹茶
2/6

おばけ

ミシッと言う音が鳴ると、少女は天井を見上げる。当然、上には何も無いのだから、意味は全くないのだ。


味噌汁が沸騰しそうになり、慌てて火を消す。

 味噌汁は、沸騰すると風味がなくなり、美味しくなくなる。

 もうかれこれ、六年以上家の家事をやっている。それで覚えたのだ。


 最初のうちは、家庭科の教科書を見ながら料理していたが、最近はスタンダードな料理なら大抵の物は本を見る事は無くなった。


 焼けた鮭とサラダを三人分、皿に盛っていく。なかなか、綺麗に盛り付けられたと嬉しくなる。      

スマホをエプロンのポケットから取り出し、写真を撮ろうと構えると、今度は大きめの音でパキッとなったのだ。

 びっくりして、サラダの上にスマホを落とした。


「姉ちゃん、今日のご飯…うわー、それ最悪だね」


 弟の弘海が、サラダの中に落ちているスマホを見て、苦笑いをしていた。


「本当…あの音、どうにかならないかしら?」


 少女が怯えていると、弘海は揶揄うように笑うのだ。


「姉ちゃん、まだあんなの怖いの?」


 にやにやしている弘海に少しムッとしたが、すぐに高校生にもなって馬鹿みたいだと思い直す。


「なずな、弘海。ただいまー」


 父の吉永が帰ってきたので、二人で玄関で出迎えた。

なずなが、父に夕飯が出来た事を伝えると、またミシッと音が鳴ったのだ。

 なずなは一瞬、天井を見上げるが首を振る。


「…お化けなんて、妖怪だなんて居るわけない」

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ