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マンドリニストの群れ  作者: 湯煮損
第12章「初めての県大会」
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第77話「雄ヶ座高校の生徒」

 美沙に話しかけている他校の男子生徒を見て、奏太は慌てて駆け寄った。

「おいお前誰だよ!ミサさんに近づくな!」

 すると、その男子生徒は奏太に気づいて答えた。

「えーなんですか、別にいいでしょちょっとくらい!」

「よくねえよ!何者だお前!」

「何、君このコの知り合い?」

 呆れた顔で聞いてくる男子生徒に奏太は声を昂らせて答えた。

「ああ!俺はミサさんの同級生でクラスメイトだ!」

「同級生...?」

 “同級生”と聞いてその男子生徒は眉間に皺を寄せた。


「...ってことは共学かああああああ!!!」

「...え?何こいつ」

 唐突に声を張り上げたその男子生徒に近くで見ていた奈緒は思わず身を引いた。突然のことに驚いた美沙は奈緒の近くに寄り、困惑した表情でその男子生徒を見つめた。

「じゃあ余計に分かり合えねえなあ!お前ら共学はこっちの気も知らないで女子とつるみやがって!いいか、俺らが本気出せばなあ!お前らの演奏なんか目じゃねえんだ!俺らにとって唯一女子を拝めるチャンスを剥奪するってんなら演奏でボコボコにしてやんよ...」

「静かにしろっ!!」

「!?」

 奏太を指さしてひたすらに文句を言い続けていたその男子生徒にチョップを食らわせたのはまた別の男子生徒だった。

「いやあ、すみません。カイトが迷惑かけて...」

「...は、はあ?」

 後から来た二人目の男子生徒に突然謝られ、奏太たちは思わず困惑した。

「痛えなおい何すんだケイ!」

 “カイト”と呼ばれた男子生徒は振り返って激昂した。

「まあまあカイト、彼ら困惑してるよ。まずは自己紹介からしないと。」

「...!!」

 “ケイ”と呼ばれた男子生徒にそう諭され、カイトは興奮を抑えて少し決まり悪そうに自己紹介した。

「...そうだな、悪かった。俺の名前は相田快人(あいだかいと)雄ヶ座(ゆうがざ)高校の1年生だ。」

「“雄ヶ座”って確か...」

 高校名を聞いて確認する奈緒を見て快人は答えた。

「ああ。男子校さ。だから女子が珍しくてテンション上がっちまったんだ。“ミサさん”だっけ?すまなかった」

「えっ?あ、うん。別にいいよ。」

 突然謝られて美沙は驚いて答えた。

「こ、このやろう、俺でさえ最近なのに初対面で“ミサさん”呼びとは...」

「はいはい。」

 そう言って面白くなさそうに唸る奏太を見て奈緒は軽く叩いた。


「...じゃあ、」

「ん?」

 少し間が空いてから話を始めた快人を見て奏太たちが反応すると快人は話を続けた。

「自己紹介したから口説きの続きを初めていいですか?」

「もう無理だろ」





 「そういえば、僕の自己紹介がまだでしたね。」

 快人の自己紹介からしばらくして、彼の横にいた、男子生徒が自身の紹介をした。

「僕の名前は“神谷計(かみやけい)”。カイトと同じ雄ヶ座高校の1年生です。」

「そうか、俺たちは西田高校。俺は大橋奏太。そしてこっちが()()奈緒さんと紺野美沙さん!よろしくな!」

「高木だってば!」

 計の自己紹介を聞いて奏太は学校名や自分たちの紹介をすると、握手の手を差し出した。

「“よろしく”...?君、とっても面白いですね。僕と気が合いそうだ。」

「え?」

 奏太の“よろしく”というごく普通の挨拶に反応して何故か表情を緩め始めた計の様子を、奏太たちは不安げに見つめた。

「“よろしく”、つまり“4649”、つまり素数!君、ひょっとして数学好きだな?」

「え?いや、普通に挨拶だって...」

 計の変なスイッチが入り、奏太は焦ってそう返すが、計は止まらなかった。

「いやあ失礼。やっぱり音楽やってる人は数学好きな人多いんですね。僕は理系で音楽と同じくらい数学が好きで共通の趣味持っている人がいるとテンション上がるんです。いいですよね音楽。一オクターブの7音も、半音の11音もどっちも素数だし、あ、そもそも音を見つけたのは数学者のピタゴラスなんですよ!知ってました!?僕もともと数学が好きで、音楽も数学に近いって知ってそれで高校で音楽始めたんですよ!あ、最初に言った“失礼”ってのはもちろん“4201”とかけてますよ!これも言うまでもなく素数です!僕の好きな音はミなんですけど皆さんはどれですか?あ、僕がミを好きなのはドレミで言うと3番目の数字だからでアルファベットに直すと“E”、つまり“いい”でしょ?これも“11”と見なせますよね。3も11も素数で...」

「あーちょストップストップ!!」

 音楽と数学を絡めたマシンガントークが止まらない計に恐怖を覚え、奏太はとうとう止めに入った。

「別に俺は数学好きじゃないしお前の言ってることの意味もよくわかんねえよ!とりあえず数学と音楽が好きなのは分かったから!!」


 奏太に止められて計はやっと静かになると、我にかえって言った。

「あっ、すみません!つい、初対面の人にこんなに語ってしまうなんてお恥ずかしい。...でも」

「皆さんももちろん音楽には情熱をかけてらっしゃるんですよね?」

「...!」

 計にそう言われて奏太は思わず反応した。

「ああ。俺も音楽は大好きだ。」

「そうですよね。僕たちも今回は県大会にかなり気合いを入れてきました。お互い進めるといいですね、全国に。僕たちの最終的な目標は全国優勝です。」

「...全国...」

 計にそう言われ、奏太たちは思わずそうつぶやいた。

「おう!優勝するのは俺らだけどな!県大会も地方予選も優勝して、全国も1位!お前らに優勝はやらないぜ!」

 奏太がそう宣言すると快人が言った。

「フン!共学なんかに負けるもんか!俺たちは男子校!パワフルな演奏を見せてやるさ!せいぜい頑張るんがいいさ!」

「...そうかい!」


 こうして奏太たちがお互いに宣戦布告をしていると、遠くで水島の呼ぶ声が聞こえた。

「おーい!3人とも!他校の人と話してないで、もう開会式始まるよ〜!」

「...時間みたいだな。」

「みたいですね。僕たちの演奏順は8番目。是非とも楽しみにしていてください。」

「おう!お互い頑張ろうぜ!!」

 こうして奏太たちはお互いに気合いを入れて入れると、会場へと向かった。

「...美沙さん、()()さん。」

 向かう途中で奏太は二人の顔を見て続けた。

「俺、めっちゃやる気出てきた。」

 奏太の清々しい表情を見て二人は笑いながら答えた。

「そうだね!頑張ろうね!」

「だから“高木”だって言ってるでしょ!!」

 雄ヶ座高校...新しいライバルができたことを少し嬉しく感じながらも奏太は気持ちを昂らせて開会式に臨む。


 いよいよ県大会が始まる。

第69話で名前だけ出ていた雄ヶ座高校。今回男子校であることが判明しました。また、神谷計と相田快人という新キャラが登場しました。快人のキャラ性格については別に男子校に対する偏見ではございません笑

さらに、計のキャラクターについて。私は文系ですが、快人同様、別に理系に向けた偏見ではございません笑

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