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マンドリニストの群れ  作者: 湯煮損
第11章「県大会に向けて」
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第70話「チーム6のメンバー」

 チーム奏発表会を行うことが発表された放課後、チーム奏のチーム振り分けが決まった。振り分けの仕方としては各パートで演奏順を決め、それをパートリーダーが集約して組み、問題があるところだけ修正するという流れだ。(2ndパートのみ中川が代理で会議に参加した。)ここで言う問題とは、2年生が全くいないチームが発生しないようにするということで、なるべく練習を仕切る者がいる状態にするという意図があった。またGuitarパート以外のパートは2つ以上のチームを掛け持ちすることになる部員もいるため、あまりにもメンバーが似ているところはなるべく変えるようにしていた。

 1年生がパートリーダーから最終的なチームを聞くのは次の日の練習までのお楽しみとなっていた。



 そして翌日、パート練習のあと各チームに分かれての練習が始まった。奏太は自分のチームのメンバーがどうなっているのかワクワクしながら練習場所へと向かった。すると、

「あれ?大橋くんもチーム6?よろしくね!」

「こ、紺野さん…!?」

 同じチームに紺野美沙がいた。奏太は赤くなるのを堪えながら近くの席に座った。

「Celloは3人だから掛け持ち?」

 奏太が尋ねると美沙は苦笑いして答えた。

「うん、練習の後半はチーム4にいかなきゃいけないの。他にも掛け持ちする人いるだろうし全員で合わせるのは何回もできないかもね。」

「そっか、大変だね。うちは6人だから和田先輩が掛け持ちやってくれることになったけど少ないパートは大変だね。」

「そうなの。一番掛け持ちするのはコントラバスだと思うんだけど3回も演奏するって聞いて遥花ちゃん気失っちゃってて。」

 その話を聞いて奏太は失笑した。

「あはは、平山さんには大変そうだね。」


「あ…」

 入り口で物音がしたので振り向くとそこには糸成が立っていた。

「あれ!?イトナリ!お前も6番目?」

「あはは!結構絡み多いメンバーだね。」

 奏太と美沙がそう言って尋ねると糸成は落とした楽譜を拾うと、ニヤニヤしながら奏太の方を見て言った。

「お、俺邪魔だな。」

「うっせー!」

 糸成にからかわれ奏太は赤くなって怒った。

「あはは邪魔じゃないよ〜!むしろ二人のコンビネーション抜群だし!」

「いやいや!何でもない!何でもないよ紺野さん!」

 美沙が本気で捉えかけたので奏太は慌ててごまかした。


 まもなくして2ndパートとDolaパートのメンバーが到着した。Dolaパートは2年生の水島咲子。2ndパートは1年生の女の子、富永理恵(とみながりえ)だった。



 後で判明するのだがBassパートは山口杏実だった。(4つある他のチームに先に向かっていたため最初には来なかった。)

 最初の練習では、いるメンバーで一度合わせてみて、水島の仕切りで練習を行った。途中で水島と美沙が他のチームに行ってしまってからはしばらく個人練をし、Bassの山口が来たら山口の指導でふたたび合わせをしたが、奏太は受けてみて改めて思った。

 山口はやっぱり教えるのが下手だと。




 この日の練習の終わり、奏太が片付けをしていると、奈緒がやってきた。

「ちょっとぉ〜奏太く〜ん!」

「ん?どうした高田?」

「…高木だってば!」

 奈緒はいつも通りのやりとりに対し苦笑いを浮かべ、本題に入った。

「あんたチーム奏ミサと一緒なんだって?よかったわねえ〜!」

 そう言われて奏太は思わず顔を赤くした。

「な、なんだよ急に!そ、そうだけど!」

 そう聞いて奈緒はニヤニヤしながら言った。

「で、どうだった?なんかいいことあった?」

 グイグイ詰め寄る奈緒に対し奏太は慌てて返した。

「ないよ!他のパートもいるし!」

 奏太のそんな様子を見て奈緒はつまらなそうに答えた。

「まあアンタだしそんな事だろうと思ったわ。」

「そう言われるとなんか腹立つな…そっちはどうだったんだよ。」

 奈緒にからかわれて奏太はムッとして聞き返した。

「え?それ聞いちゃう…?」

 奏太に聞かれた途端、奈緒は急に真顔になって答えた。

「アンタのチームにイトナリくんがいる時点で察してよ。」

「え、ちょ、ナオさん…?」

 奈緒のイライラとした様子に少し圧倒された奏太は珍しく奈緒の名前を正しく言ったが奈緒はそんなことには全く気づかずにイライラを吐き出し始めた。

「あーもう!1番目のチームになっちゃってメンバーだけでも接点多い人がいいなあ〜、イトナリくんと一緒にならないかなあ〜って期待してたらGuitarはダイキくんだし他のパートもあまり接点ない人たちばっかりだし何なのよもう〜〜!!」

「まあまあ…ダイキ、いいやつだし…?」

 奏太は苛立つ奈緒をなだめた。

「アイツ練習に遅刻するじゃない!!!」

「そうでした…」



 奈緒はしばらく毒を吐き出した後、思いっきり深呼吸してから奏太の方を見て言った。

「でもねえ、私も人のこと言えないけど、アンタもせっかくのミサとの接点、大切にしなさいよ。前に言った時は冗談だっで言ってたけど、ホントに、ミサはカワイイからウカウカしてると他の人に取られちゃうからね。」

 そう奈緒に真剣に言われて奏太は静かにうなづいて答えた。

「ああ、そうだな。ありがとう。」


 その後で奈緒は両手を上にあげて深呼吸しながら言った。

「あーあ、私も成り行きに任せてないでどんどん接点作っていかないとなあ〜!積極的にならなきゃ!練習もしなきゃだけど!」

「そうだな!せっかくの高校生活、両立させて充実させていかないとな!」

 こうしてふたりはあらためて気合を入れた。

奏太が参加しているチーム6のメンバーが明らかになりましたので改めてまとめておきます。


チーム6

1st-大橋奏太

2nd-富永理恵

Dola-水島咲子(他の1チームと掛け持ち)

Cello-紺野美沙(他の1チームと掛け持ち)

Guitar-春日糸成

Bass-山口杏実(他の3チームと掛け持ち)


こう見るとBassは圧倒的に大変ですね。他のチームがどうなっているかも軽く触れることができるといいなと思ってます。

一応部活全体のチーム奏の割り振りも決めてあります。奈緒は1番目のチームでGuitarの大喜と同じチームのようです。

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