第5話 なんか、めっちゃ強くなってました。
どうも、ぽむむんです。
物語の一番最初に、プロローグを追加いたしましたので、是非ともご確認下さい。
休載してすみませんでした。これからは、頑張って更新するので、よろしくお願いいたします。
◇ ケミーナとの修行が始まって1ヶ月。
「行って来ます。」
今日も朝から、ケミーナとの修行が始まる。最近はあまり魔力枯渇を起こさなくなり、魔力量も増えてきている感じがするとイロアス自身も思っていた。ステータスプレートはケミーナに没収されているので、正確な数値は分からないままだが。
森に着くと、いつものごとくゲートが存在していた。
「よし、行くぞ。」
空間に誘われるようにゲートに入っていった。
◇
「じゃあ、今日はこの呪文を詠唱してもらおう。」
着くと早々に魔法書を持って出迎えるケミーナの姿があった。
「ヘルブリザードですか?確かこれって、上級魔法ですよね?」
渡された魔法書を見て驚くイロアス。
「ああ、初級であの威力だったからな。上級だとどこまで行くかな?特級、はたまた超級まで行くかな?」
「超級なんて放ったら、村が滅びますよ。冗談ですよね?」
「いや、至って真面目だが。」
「うそでしょ、、」
「まあ、早くやってみようじゃないか。」
ケミーナはイロアスを急かす。
「じゃあ、行きますよ。」
ケミーナ特製の魔法杖をかまえる。
「氷結の力は強大なり、寒冷な地にも凍える絶対零度の氷塊の礫なり、煉獄も熱砂も海洋も凍結させる力は絶大なり、氷河のように冷たく冷酷な氷の大精霊よ、氷結吹雪の力を顕現させる。〈ヘルブリザード〉!」
一気に付近の気温が下がり、風が強くなる。突如、轟音がしたかと思うととてつもなく巨大な吹雪が森の木々をなぎ倒し、地面を抉り、動物達の命を容赦なく奪っていった。
恐怖の旋律を奏でながら、高速で吹雪は進撃していった。
「は?超きゅ、、」
前と同じようにイロアスは魔力枯渇によって倒れた。
ヘルブリザードの通ったあとには、なぎ倒された木々がまとまって凍った、巨大な氷塊が残っていた。
◇
「う、、ここは?」
木のベットから身を起こす。
「そう言えば、また魔力枯渇で、、」
そこまで言って思い出す。生命に重みなど無いかのように消し飛ばす氷結吹雪を。
途端にイロアスは気分が悪くなった。
「お、起きたか。」
最強の師匠は氷結吹雪など気にしてないようだった。
「中々の威力だったぞ。まさか超級まで行くとは。私としては魔力が足りなくて、詠唱中断するかとおもったのだが。」
「詠唱中断、、」
それは、術者の保有魔力がたりず、詠唱し終わる前に魔法が爆発してしまう事で、非常に危険な事である。
その可能性があると分かっていて、イロアスに発動させるとはケミーナは鬼教官であった。
「でも、僕の魔力量で発動しましたよ。」
「つまり、詠唱時間の長さに対応する魔力短縮効率が良いんだろう。有用なギフトだな。」
「あ、ありがとうございます。ただ・・・・」
ここで、イロアスは言葉が詰まる。何かを言おうとして、悩んでいるようだった。
「もうあの魔法は使いたくありません。」
生命の灯火の儚さが脳裏に浮かぶ。
ケミーナは一瞬だけ驚き、うんと頷くと平然と戻った。
「ああ、それでいい。お前は優しい奴だな。」
ケミーナはにこやかに返す。
「あんなもの好き好んで撃つ奴がいるんですか?」
「ああ、昔はよくいたぞ。己の強さにおぼれて、魔力に呑まれる奴が。」
ケミーナが忌々しそうに遠くを見つめる。
「魔人ですか・・・」
魔人。それは、かつて古代魔法が栄えていた時期に強大な魔法を使いすぎて、魔力枯渇・魔力酔いなどになったにもかかわらず、まだ魔法を発動させようとして、肉体や精神が魔力に侵された人間のなれの果てである。
肉体を侵された者は、人間ではありえない、超人的な身体能力を持ち、魔法に耐性が付く。
精神を侵された者は、強大な魔法を連発し、魔力枯渇を起こさない。
両者共に、強い破壊・殺人衝動を持っていて、暴れ回った。多くの魔術師は魔人討伐に奔走したが、並みの人間がかなうはずもなく、古代魔法時代はあっけなく滅びた。
「そうだ。あんな奴だけには絶対なるな。」
力強く、真剣にそう言った。いつもと違う様子のケミーナに戸惑ったが、その忠告はしっかりと胸に刻まれた。
「分かりました。師匠。」
イロアスもまっすぐに蒼穹を見据えていた。
◇ 毎日修行をして、半年が経った頃
「イロアス、半年間ご苦労さん。ほれっ、返してやるよ。」
いつものように、修行にとりかかろうとするイロアスに、金属板が投げられる。
「これは?ステータスプレート!?」
ケミーナに没収されて、存在自体忘れかけていたステータスプレートが半年間が経過した今になって帰ってきたのである。
「ステータスを見てもいいですか。」
見たくてたまらないとでもいうかのように、イロアスの瞳は爛々と輝いていた。
「ああ、いいぞ。てか、お前のだし。」
ステータスプレートは、いつもはただの金属板だが、登録者が『ステータスオープン』と言って魔力を流すことにより、ステータスが表示されるのである。
「ステータスオープン。」
そこに表示されていたのが、
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イロアス・エスティアス 13歳
適正属性 火・水・土 魔力量 14900
⊿
ユニークスキル〈詠唱〉
詠唱しないと、スキル使用不能。
威力×3 魔力消費×3 命中率-300
⊿
ギフト 〈詠唱魔法強化〉
威力+100s% 魔力消費-20s% 命中率×s
獲得スキル
〈チャージ〉 〈連撃〉 〈照準〉
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魔力量がとんでもないことになっていた。
「師匠、これ本物ですか?それともなんか、異常があるんじゃないですか?」
そう疑わずにはいられない魔力量だった。しかも、スキルを3個も習得しているし。
ちなみに、同年代の平均は、魔力量が300くらい、スキルは覚えたとしても、1個だった。
「いや、本物だ。ちなみに、魔力量は私より多いな。9700だし。」
その発言を聞いた瞬間、イロアスの身体がこわばる。その理由は、考えなくても分かった。
ケミーナは、元王立魔法団の団長で、大魔導師の称号を得た魔法のスペシャリストである。その人物の魔力量を大幅に凌駕したとなると、それはこの王国内で1番、いや世界中でも1番かもしれないのだ。
「いや、これは夢だ。夢じゃないなら、幻影魔法を見せられているんだ。だって、あり得ない!」
現実逃避に陥るイロアス。
「おいおい、現実逃避しないでくれ。」
困ったとばかりに、頭を抱えるケミーナ。
「ヘ、もう駄目だ。幻聴まで聞こえてきた。」
「だから、無視するな。」
ケミーナはポコッとイロアスの頭をなぐる。
なんかこの光景にデジャヴを感じるのだが。
「じゃあ、本当何ですか?王国一ですよ。」
単語が足りないが、魔法量の事を言っているのだろう。
「ああ、その量だと世界一だと思うがな。」
「すごい量ですね!〈ファイヤ〉が7000発以上放てますよ。」
「いや、そこかよ。」というケミーナのツッコミは、イロアスに届いていなかった。
「あとのスキルについては、そのスキル名をタップする・・じゃなくて、押すことで、詳細が分かるから、ちゃんと確認しとけよ。」
「はい、分かりました。」
そう言って、ステータスプレートを見始めるイロアスに、ケミーナが注意する。
「それは個人情報だから、他の人に見られないようにな。あと、スキルなどは家の人と一緒に見てくれ。明日からは、ここで暮らしてもらうから親を説得してこい。」
いきなりの居住地変更に、目を丸くするイロアス。
「ここで、寝泊まりですか?」
ちなみに、ここがメルティ―ア王国のどこら辺に位置するのか、イロアスには全く分かっていない。それどころか、そもそもここが、王国内なのかさえ、分かっていなかった。
「ここってどこですか。」
不安になったイロアスが、ケミーナに尋ねる。
「ん?ここか?ここはな、『魔女の森』の中心部だよ。」
そう言って、ケミーナがはぐらかす。
「まあ、親の説得を頼んだよ。世界一っ。」
意地悪そうにケミーナは笑った。
なんか、一気に話が飛んでしまいました。
イロアスのスキルに関しては、次の話で出すと思います。多分。
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