第4話 嘘つきました、このスキル強いです。
どうも、ぽむむんです。
更新が遅くなってすみません。
「どんな実験なんですか?」
イロアスは恐る恐る尋ねた。
「〈ファイヤ〉の詠唱をしてもらうだけだよ。」
ケミーナは魔法書を開いて、書かれている詠唱を指でなぞった。
「ここを詠唱してくれ。」
「これって〈ファイヤ〉の詠唱ですか?なんか長いような。」
「これが本物の〈ファイヤ〉の詠唱さ。一般的に使われているのは、私が創ったものだ。」
「そうなんですか!初めて知りました。」
「そりゃそうだ。今、初めて言ったからな。それはそうと、早く詠唱を始めたまえ。」
「はい、分かりました。」
イロアスは魔法書を見ながら詠唱を始める。
「我、精霊に願う。我、神に祈る。我、力を望む。故に魔力を糧に炎の力を顕現させる。その炎は灼熱の力なり、〈ファイヤ〉」
長い詠唱を唱え終えて、放たれたのは、ありえないほどに大きくなった炎の球だった。
「は?初級魔法が1級中級魔法ぐらいになってませんか?」
「そうだな、なかなか威力も強かったぞ。今のは約15秒くらいだがら、、なかなか強いな。」
「それなら、もっと長い詠唱をs、、。」
イロアスは、ばたんと倒れた。
「魔力枯渇か。休ませておこう。」
ケミーナはイロアスを持ち上げて、家に戻った。
◇
「ん。う~ん」
「やっとお目覚めか。」
「あれ、なんでこんな所に?確か〈ファイヤ〉の詠唱をしてたのに。」
「魔力枯渇が起きたんだ。」
「え、でも、魔力が感じますよ。て言うか、凄い満ちているんですけど。」
イロアスの言う通り、魔力が鼓動するかのように満ち足りていた。
「ああ、魔力回復薬を使ったからな。」
「え、それって高額なんじゃ、、。」
今回、ケミーナが使用したのは最高級で最高品質の[高純度魔力回復薬・極]というもので、庶民のイロアスでは、想像もつかない程の巨額の富だった。
ちなみに、イロアスがイメージした魔力回復薬は[魔力回復薬・中]という、[魔力回復薬・低]よりは品質が良いけどまだまだ粗悪品に入る部類の物だった。
「心配するな。私からのプレゼントだ。良いデータがとれたからな。」
「ありがとうございます。」
イロアスが、後で値段を知ったらまた倒れてしまうだろう。
「と言うことで、まだまだ魔力回復薬はあるからあと〈ファイヤ〉100発を放ったらおしまいな。」
なんとも鬼畜な師匠だったが、魔力回復薬の値段を考えるとそんな事も言ってられない。
「えぇ、そんなぁ。」
嫌そうな顔をするが、大魔導師の前で失態をさらすわけにもいかない。
「ほら、さっさと立て。」
急かすケミーナ。
「は、はい。「我、精霊に願う。我、神に祈る。我、力を望む。故に魔力を糧に炎の力を顕現させる。その炎は灼熱の力なり、〈ファイヤ〉」
大きな焦げ跡を残して火の球が消える。
「ほら、もう1発。」
「はい。「我、精霊に願う。我、神に祈る。・・・・・・」
この修行は、日暮れ時まで続いた。
イロアスは魔力枯渇と急激な魔力回復によってへとへとに疲れていたが、最後の方の〈ファイヤ〉が最初のと比べると洗練された魔法になっているのをケミーナは見逃していなかった。
「はぁ、つ、疲れた。」
息も切れ切れに横たわるイロアス。
「ああ、お疲れさん。初日なのによく頑張った。まぁ、明日もあるけど。」
ケミーナは、ねぎらいの言葉を言った後に、明日もこのぐらいに疲れると宣告する。
「はぁ、分かりました。」
返事をするのも大変そうだった。
「もう暗くなったから、家に帰れ。親がいるんだろう。」
一応、優しい面を見せるケミーナ。
「はい。また来ます。」
「あ、そうだ。これを持って帰れ。」
ケミーナが渡したのは、1冊の魔法書と、蒼い宝石が埋め込まれたペンダントだった。
魔法書は古びていたが、多くの詠唱について載っていて高価なもので、ペンダントについても中心に埋め込まれた宝石は、魔晶石の魔力が濃い部分を削ったもので、値打ちがつけられない程高価だった。
「魔法書はともかく、このペンダントは何に使うんですか?」
「それは、鍵だな。お前の家の近くの森にワープゲートを繋げておいた、そのペンダントを着けていれば、転移出来るはずだ。」
「ワープゲートですか。おとぎ話の空間魔法が実在するとは。」
実際に、ワープゲートを作れると言うのは理論上では成り立っているが、出来た者はいないとされている空想のおとぎ話のような代物だった。
「じゃあ、また来るが良い。」
「ありがとうございました。」
扉を開け、外に出ようとするとそこに広がっていたのは、最初にいた森だった。
「凄い。ちゃんと帰れた。」
◇
「「お帰り、イロアス。」」
暖かいまなざしで、両親は迎えてくれる。
「ただいま。」
ケミーナの事は本人に口止めされていたが、スキルが強かった事などを話して聞かせていた。
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