第3話 この人って何でもありだ
どうも、ぽむむんです。
更新が遅れてしまいました。すみません。
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「そう言えば、まだ君の名前を聞いていなかったな。」
「確かに。僕の名前は、イロアスと言います。」
「イロアスか、、どこかで聞いたような、、イロアス、イロアス。そうか、イロアスか!」
ケミーナは1人合点がいったように頷いた。
「どこで聞いたのですか?こんな名前聞いたことも無いのですが。」
「今はまだ、秘密だ。後に教えてやる。」
謎めいた所があるケミーナに、イロアスは好奇心をくすぐられた。
「そうですか。あ、そう言えば魔法団の方は大丈夫なんですか?こんな所にいて。」
「ああ、全然大丈夫だよ。ついさっき辞めて来たから。」
本当についさっき辞めて来たのだった、時間で言うなら1時間前くらいに。
「は、全然大丈夫じゃないですか。てか、良いんですか?辞めてしまって。」
「大丈夫だって。国王に許可貰ったから。あんな役職面倒だし。」
普通の人から見たら、富と名声、地位に権力が得られる、1番なりたい職業だった。
「はぁ、そうですか。じゃあ、何でここに居たんですか?ここ、辺境に近いですよ。」
そう、イロアスのいる村は、メルティ―ア王国の中でも、端に近い辺境の地だった。そのため、イロアスの住む村には名前が付いていなかった。
「お前は、矢のように質問をする奴だな。」
「ああ、よく言われます。」
「まあ、良いことだがな。ちなみに、なぜ居たかと言うと気晴らしに魔法飛行していたら、面白そうな魔法を使っている奴がいたから見に来たのさ。」
普通は、魔法を使っても飛ぶことは不可能だ。大魔導師ゆえの業なのだ。
「よく詠唱魔法って分かりましたね。」
「ああ、魔素が見やすいからな。これは、詠唱魔法が使われなくなった一因でもあるぞ。」
「はぁ、そうですか。」
もう一度言うが、普通はそんなもの見えはしない。これは、大魔導師ゆえの業なのだ。それに、短縮詠唱の使用を推奨したのはケミーナだが、そんな原因は聞いていなかった。
「はぁ、そうですか。なんかこっちが馬鹿みたいですね。」
「うん?なんか言ったか?」
イロアスのつぶやきに敏感に反応するケミーナ。
「ああ、いえ何でもありません。」
イロアスは
「そうか。ところで、私の家に来ないか?ここで立ち話もあれだし。」
「行って良いんですか!行きたいです。でも、ここから近いのですか?」
「おう、ついてこい。ちなみにな、魔法の前には距離なんて関係ないんだよ。」
名言のような台詞を言って、マントを羽織るケミーナ。
「確かに、そうですね。勉強になりました。」
「じゃあ、しっかり握っていろよ。落ちたくないなら。」
そう言って、手を差し出す。
「へ?何かほうきとか無いんですか?」
「あんな邪魔なものいるか。ほら、さっさとしろ。」
しかし、手を繋いだだけで飛べると言うのは、常人には受け入れがたい事だった。
「ほ、本当に大丈夫ですか?」
「ああ、安心しろ。私の名に誓ってやる。」
イロアスは、恐る恐る手をとる。
「じゃあ、行くぞ。〈フライト〉」
ケミーナが短縮詠唱を唱えると、静かに体が浮き始めた。
「目を瞑っといた方が良いぞ。超高いから。」
そう言って、イロアスの方を向くと、放心していた。
「あちゃー、こいつ、高所恐怖症か。こっちの世界には、そんなもの無かったから忘れていた。」
◇
「おい、着いたぞ。」
ペチペチと頬を叩く。
「う、ん。ここは?」
「だから、私の家だって。」
辺りを見回しても森しか見えない。森の中にポツンと一軒の家が建っていた。
(まるで、魔女の家だな。)
「今、なにか失礼な事考えなかった?」
イロアスの思考に素早く反応するケミーナ。
「い、いえ、少しも。」
「早く、入れ。」
そう言って、扉をあけ、中に入ってしまった。
「ちょ、待って下さい。」
あわてて、イロアスも部屋に入る。
家の中はとても広かった。外見からは、想像出来ないほどに。
「何か、この家空間おかしくないですか?」
「お、めざといな。実は少し、空間を拡張したのだよ。」
もちろんこれも、普通の人には出来ない。
「はぁ。そうですか。」
今日何度目かの台詞を吐く。
「まぁ、適当にくつろいで居てくれ。」
そう言って、ケミーナはどこかに行ってしまった。
(どうすれば良いんだ?ひとまず、座っておこう。)
そう考えて木で出来た椅子に座る。どこにも継ぎ目や切れ目が無い、不思議な椅子だった。
◇
「よし。じゃあ、実験でもするか。」
大量の魔法書を抱えて帰ってきたケミーナは、そう言った。
「実験?」
イロアスは、何か嫌な予感がした。
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