第2話 使いづらっ、このスキル
どうも、ぽむむんです。
読んでくれた読者様、ありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「「行ってらっしゃい。」」
どこへ行くのかというと、近くの森である。特に害の無い、低レベルの雑魚モンスターが生息している地域だ。
◇
「じゃあ、ここら辺で。」
場所を決めて、詠唱を始める。
「燃えよ、炎の如く 〈ファイヤ〉!」
構えた杖から放たれたのは、半径1.5mくらいの巨大な炎の球だった。
その巨大な火球は、草原に大きな焦げ跡を残して消えた。辺りに焦げ臭い匂いが立ち込める。
「え、ちょっと待って。詠唱ミスった?〈ファイヤ〉ってもっと小さいはずなんだけど。」
平均サイズは半径50cmくらいである。イロアスのは、3倍位の大きさだった。
しかし、
「は、魔力3分の1くらいも無くなっているんだけど。しかも、まっすぐ放ったのに、曲がっているし。」
もう一回やってみるが変わらない。同じように巨大な焦げ跡が残るだけだった。
考えられる原因は、、、
「ユニークスキルかギフトだな。そう言えば、そんなに確認してなかった。」
後からシスターさんが届けてくれたステータスプレートを取り出す。
「ステータスオープン。」
イロアスがそう言うと、金属板に文字が表示されていく。
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⊿
ユニークスキル 〈詠唱〉
詠唱しないと、スキル使用不能。
威力×3 魔力消費×3 命中率-300
⊿
ギフト 〈詠唱魔法強化〉
威力+100s% 魔力消費-20s% 命中率×s
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何だ、sとか%とかって見たことも無いぞ。にしても、威力と魔力消費3倍って。使いづらいなぁ。しかも、まっすぐ飛ばないってなると、やっぱり強くないのかな?
何故か異世界なのに、現実っぽい記号が出てくる。
「やっぱ、弱いじゃん。」
諦観した口調でそう言った。
「いいや、使い方次第で最強になるぞ。勇者なんかよりもな。」
背後から声がした。女性っぽい声だった。
「誰っ‼」
「わっと、そんなに驚かれるとこっちまで驚くじゃないか。」
振り返った先にいたのは、、、フードを被った女だった。
(この人、どこかで見たような、、、)
記憶の片隅に引っかかっている断片を取り出そうとする。
「あの、すみませんがどなた様でございましょうか?」
「ああ、私はケミーナと言う。ただの魔法使いだ。」
ケミーナ。それは、とても知られた名だった。
「ケミーナって、あの、ケミーナ様ですか?[大魔導師]の。」
[大魔導師]とは、メルティ―ア王国内で魔法の才能に最も優れていて、知徳があるとされている人、1人だけに授与される称号だった。
「ああ、そうだが、良く知っているな。」
「いやいや、知らない人の方が少ないと思いますよ。たくさんの、短縮詠唱を創られた方ですし、メルティ―ア王国の王立魔法団の団長様ですよ。」
恐縮したように説明するイロアス。
「そうなのか、そんなに有名だったのか、しょうもない魔法いじりばっかしてたけど。」
「そもそも、魔法をいじる人なんていませんよ。」
大前提が違っているケミーナに言っても、意味のない事だが。
「まぁ、それは良いとして。君、私の弟子にならないか?」
唐突にケミーナが言う。
(夢だ、これは夢なんだ。それか、幻覚魔法を見せられているんだ。)
「おいおい、現実逃避しないでくれ。」
「ヘ、もう駄目だ。幻聴まで聞こえてきた。」
「だから、無視するな。」
ケミーナはポコッとイロアスの頭をなぐる。
「本物なんですか?」
「さっきから、言っているだろ。そもそも、この世界にオレオレ詐欺何てもの無いから。」
異世界なのにケミーナから現実っぽい単語が出てくる。
「おれおれ?じゃあ何で、僕を弟子何かにしようとしたんですか?」
導師の弟子なんて、普通はありえないのである。
「ああ、何でも無い、オレオレ詐欺は気にしないでくれ。弟子にしようとしたのは、詠唱に興味を持ったからだよ。知っているかい?詠唱魔法の方が、平均的な威力は高いんだよ。詠唱長いし、面倒くさいけど。」
「そうなんですか。さっきの威力もそのため?」
「いや、その魔法はあからさまに強すぎる。ユニークスキルとギフトの影響だろう。」
「確か、威力が3倍だった気が、、、。確かに、ユニークスキル強いですね、当たればだけど。」
「私は、ギフトの方が強いと思うがね。」
おもむろに、ケミーナはそう言った。
「僕のギフトって強いのですか?」
「ああ、さっき盗み見た時は驚いたよ。」
「盗み見たんですか!じゃあ、sと%って、何なんですか?」
「それは、secondの頭文字のs、だから秒だね。と、%はパーセントっつって割合だな。簡単に言うと、詠唱時間が長いほど威力が増し、魔力消費が抑えられ、命中率が上がると言うわけさ。」
良いことづくめのギフトだった。しかし、さっきから異様に現実っぽい単語が出てくる。
「え、強い。てか、強すぎる。」
「やっと己の強さに気づいたか。そう、お前は強すぎる。だから、ちゃんとした使い方を教えてやると言ったんだ。」
「ありがとうございます。弟子に、弟子にさせて下さい。」
「やっと話が理解出来たか。良いだろう、私の弟子として日々鍛練を積み重ねろ。」
「はいっ。」
善き師についたイロアスだった。
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