最弱の詠唱を使う最強魔術師~王都に着いて無双します~
どうも、受験生のぽむむんです。
最近は勉強に追い込まれて小説を執筆する時間がありません。
とうとう、本編に入りました。
王都から少し離れた草原に、1人の少年が立っていた。
「さて、どうしようか。」
予定より早く着きすぎたというのもあるが、それよりも王都入口の検問をどう潜り抜けるかという話である。
王都は他の町よりも、厳重な警戒体勢のため、ステータスプレートの確認が必用なのだが、イロアスのステータスは常人をかけ離れているため、危険人物とも見なされない。
「師匠が何か言ってなかったかな?」
出発の時に渡されたマジックバッグの中を捜索する。
マジックバッグ、いわゆる魔法の袋といわれるこの袋は、流した魔力に比例して許容量が増える便利なモノだ。ちなみに、製作方法は分かっておらず、失われた古代魔法文明の遺産の1つとされている。(見つかれば国宝になる。)
ゴソゴソと探っていた手が、何か硬い物にぶつかる。
「なんだこれ。」
取り出したのは、一冊の本だった。正確には、本と言うよりは冊子みたいだったが。
その本をイロアスは読んだことはなかったが、見たことはあった。
「確か、これって師匠が書いていた気がする。」
そう、イロアスが必死になって改造型魔方陣を描いている間に、隣にいるケミーナも必死になって、何かをこの本に書いていたのだ。
「『有用な悪どい魔法一覧』って、題名からして師匠っぽさが出ていますね。」
イロアスは顔をひきつらせつつも、これがケミーナの言っていたものだろうと考え、本を開くイロアス。
その中から、一時的にステータスプレートの内容を隠蔽し、改正する魔法を見つける。
「ともかく、魔法をかけてみるか。」
ケミーナが創った魔法なので、普通の人は知らないし、知ってはならないだろう。
ステータスプレートが簡単に改ざんされれば、王国の治安が保てなくなる。
「全てを欺き、皆を惑わす幻影の術よ、我が能力に濃霧の壁を敷かんとする。その幻影は陽炎の如し。〈デイズ〉」
イロアスは、ステータスプレートの上に手を置き、魔法を発動させる。ちなみに、ケミーナの魔法は完璧だと信じているが、念には念をで【時間効果倍増】をONにしている。
ステータスプレートを覆い込むように魔素が集まり、ステータスプレートの内容が変更される。
内容はこんな感じ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イロアス・エスティアス 13歳
適正属性 火・水 魔力量 520
⊿ スキル
【速打】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、この数値が平均的なのだ。イロアスの元のステータスと比べると、どれくらい規格外なのかが一目瞭然である。
「これで、検問は大丈夫だな。」
イロアスは、王国へと歩いて向かった。(もちろん、〈ブースト〉とか〈アクセル〉とかは解除しているが、〈身体能力強化〉と【時間効果倍増】は解除していなかった。)
◇
「よし、次のボウズ。」
検問の順番が回ってくる。
イロアスは改ざん済みのステータスプレートを衛兵に渡す。
「お前はどこから来たんだ?」
ガタイの良い、怖そうな衛兵がイロアスに尋ねる。
「フローレンスです。花の都の。」
真っ赤な嘘だが、『メルティーア王国の末端にある無名の村』と言っても信じられないと思うので、近くにある大きな都市の名前を出す。
「フローレンスか!行ってみたいなぁ。」
羨ましそうに、イロアスを見る衛兵。
「良い街ですよ。花の香しい香りと、華やかさに溢れた素敵な所です。」
イロアスはフローレンスに言ったこと無いのに、詳しく説明する。
そうすることで、嘘はバレにくくなった。
「よし、今度の休暇に行ってみるよ。ところで、ボウズは何をしに王都へ来たんだ?」
衛兵の声は、さっきより幾分か友好的になっていた。
「王立魔法騎士養成学園に入学するために来ました。」
イロアスのこの発言は、さっきまでの会話の中で唯一本当の事だった。
「そうか、頑張れよボウズ。入国を許可する。」
改ざんステータスプレートで入国を許可されたイロアスは、王都への一歩を踏み出した。
◇
「さて、入れたのは良いけど、これからどうしよう。」
予定よりも早く着きすぎたので、入学試験まではあと2日なのである。
「ねえねえ、そこのキミ。」
イロアスが漠然と考え事をしていると、背後から高いトーンの声がかかる。
振り返った先にいたのは、イロアスと年齢の近そうな女子だった。紅い髪が特徴的で、スタイルの良い女子だった。
「えーっと、何でしょうか?」
やっとヒロインが登場しました。