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覚醒した幼馴染から迫られる俺  作者: 鶴沢仁
第1章 旅立ち
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冒険が始まる!?

 よぉ~し‼ アークの相棒(パートナー)となり、やがては冒険者として名を馳せる俺の計画は順調に進んでいるぜ。しっかし、あいつも大げさだよな。


 俺が相棒になってやっただけで、どんだけ喜んでんだよ!

 まあ、ただのいけ好かないイケメンと違って、可愛げのある奴だ。所詮は20歳(はたち)の子供って事か。まさか土下座までしてくるなんて思いもしなかった。


 それだけ俺の隠された能力が強力って事なんだろうけどよ。確かに、居るだけで何倍も強くなるスキル持ちを手放す理由がないわな。


 なんだか嫌にスキンシップが多い気もするが、冒険者なんだからこんなもんなのかも知れん。男同士なんだからいちいち気にする事でもないよな……いや、今は女だけどよ。

 大体アークの奴は見るからに女に困ってなさそうだし、きっと健全な相棒同士になれるはずだ。


 お前の人脈にも期待してんだから、マジで頼むぜ。


 意気揚々と村を出ようとした俺だったが、ヤバい事に気付いてすぐにアークを呼び止めた。


「あああ!?」

「どうしたんだ、エリス?」

「母さんに、旅に出るって言ってねぇ……」


 何だかんだ、今の俺をここまで育ててくれたお袋だ。

 無断で冒険なんか出たら心配させちまうからな。


「そうか……確かに、君のお母さんにも挨拶をしないといけなかったね」

「お、おう……でも、母さんって外出に厳しいからなぁ」


 小さな頃から遠くに行こうとすると、「エリス‼ あなたはか弱いんだから無理しちゃダメよ」なんてことを口が酸っぱくなるほど言ってきやがるんだ。

 心配して言ってくれてるのが分かってるから性質が悪いんだよ!


「……うーん、母さんになんと言えば良いのか」


 冒険者への道は、転生者の俺にしてみればようやく見つけた輝かしい天職なんだ。何とか納得させて、外へと出て行きたいんだが……俺って、お袋と口論して勝てたこと無いんだよな。


「大丈夫だ。エリスのお母さんには、私から話をしておく」


 自信満々で隣のイケメンがニコリと笑う。

 すっげームカつくんだが、任せることにした。





 ***





「エリスはここで待っていてくれ」


 自分家に着いた俺を玄関前で待たせたアークはさっさと家の中へと入って行く。

 やがて、お袋とアークが何やら口論する声が聞えてきた。



『そんな――!! あの娘にはっ……――――』


『すでに………です。エリスは……――――!』


 うん、何を話してるのかサッパリ分からん。

 とりあえず口論戦は互角っぽいな、がんばれよアーク!


 立ったまま寝ていると、玄関の扉が勢いよく開き、中からお袋とアークの奴が出て来た。おっ、話がついたのか! やるじゃねぇか!


「おーい、母さん! アークから聞いてると思うが、おれ――」

「エリスッ!! アーク様から聞いた話は、ホントなの? あなたが、アーク様のパートナーになる事に同意したって……」


 鬼気迫るお袋の形相を見て、つい漏らしそうになった。

 なっただけで、漏らしてないからな……?


 けど、なんだよいきなり。

 せっかくの門出なんだからカリカリしないで貰いたいもんだぜ。


「お、おう! そうだぜ母さん。俺は、アークの奴とパートナーになるんだ」

「エリス……あなた、カイト君の事はどうするつもりなの?」


 ん? ああ、なんだそういうことか。

 そういや、村に戻るまで待ってるとか言う話をお袋も聞いてたんだっけか。それでこんなに怒ってんのかよ。


「カイトの奴は……いいんだよ」


 勇者なんだから、美女軍団とPT組んでたりするだろう。聖女とかエロい服着た武闘家とか……おまえ、そんなのに囲まれたら我慢できるわけねぇべ。

 だから律儀に村で待っている必要など無し!


「いいって……エリス! あなた、自分がやってる事が分かってるの? あなたはカイト君じゃなく、アーク様に乗り換え――」

「その辺にしてくれませんか? 私のパートナーを侮辱するような発言は、いくら彼女の母親と言えど許容できません」

「……っ」


 あん? 一体何の話してんだこいつら。


「どういう意味だよ?」

「……いいえ、なんでもないわ。確かに少し言い過ぎだったわね。それがあなたの決めた道ならば、責任を持って歩みなさい」

「お、おう……? 正直、そんな素直に応援して貰えるとは思わなかったぜ」

「もしカイト君が帰ってきたら、私の方から言っておくわ……」

「えっ、いやそしたら俺から会いに行ってもいいんだが」

「そんなの、ダメに決まってるじゃないッ! それがどれだけカイト君を傷つける行為なのか分かっているの!?」

「えぇ……?」


 待ってろって言ったり、会うなと言ったり訳分かんねぇな。

 まあ、お袋が伝えてくれるっつーならお言葉に甘えるとするか。


「んじゃ、カイトの奴が帰ってきたら頼むぜ!」

「それじゃ、行こうかエリス」

「……どうして、こんなことに。エリス……あんなにもカイト君想いだったあなたに、何があったというの?」


 なんか心配そうな目で俺の事を見ていたので、ニカッとお袋に笑いかけた俺は、アークと共に村を出発した。


 何か知らんが、終わり良ければすべてよし!!

 俺の冒険が――遂に始まるぜ!


エリスの家での会話


「失礼します。冒険者のアークと申します」


「あらっ! アーク様じゃありませんか。村長さんから聞きましたよ、魔物の巣を駆除して下さったとか! ホントにありがとうございます~!」


「いえいえ、皆さんに被害が出る前に駆除できてよかったです」


「色男な上に、人格まで立派だなんて……アーク様とご結婚なさる方は幸せですね~!」


「……実は、その事についてお話したいことがあります」


「そんな改まって、どうしたんですか?」


「娘さんを……エリスさんを、私の伴侶とすることをお許し願いたいのです」


「……えっ? ちょ、ちょっと待ってください! 何を仰ってるのか」


「エリスさんを、私の妻にしたいと言っているのです」


「そんな――! あの娘にはっ、カイト君という彼氏が居て!」


「すでに、エリスさんは私の伴侶なんです。エリスは……私を選んでくれた」


「う、うそよ。カイト君を捨てて、他の男をウチの娘が選ぶなんて……!」


「だったら、本人に聞いてみれば済む話です。行きましょうか」


「エリス……嘘よね? あなたには、大好きな幼馴染がいるでしょう?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 正直アーク君居なかったら詰んでたしこれはこれで残当な気がする。
[一言] これはアレだな、何かの拍子に村長のカス息子がエリス襲ったのがバレて原因がそっちにシフトして エリスの罪状が有耶無耶になるパティーン
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