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覚醒した幼馴染から迫られる俺  作者: 鶴沢仁
第2章 奪われた幼馴染
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エリスの決意

「ぐおぉ、頭がいてぇ……」


 やべぇ、昨日は久しぶりにご馳走だったから、ここぞとばかりに飯食って酒飲みまくったんだけどよ。宿に戻ってからの記憶がマジでねぇぞ。

 幸い床じゃなくベッドで寝てるから、無意識に俺の溢れ出る知性が身体を部屋へと導いたんだろうけどな。


 いや、なんかアークから抱きかかえられてたような記憶もうっすらとあるが……たぶん気の所為だ。俺がそんなみっともない醜態を晒す筈がないだろ。


「てか、もう朝かよ……」


 気だるい気持ちを鋼の精神で抑え込み、ベッドから身体を起こして立ち上がると、テーブルの上にはアークが書いたと思われる書置きがあった。



 ”ギルドに用があるから行ってくる。

 エリスはしばらく宿で休んでいてくれ。

 朝食と昼食は宿のおかみさんに代金を渡しておいたから、問題ないはずだ。

 あと外には絶対に出ない事、君はすぐ迷子になるからな”



 あいつは、俺を小さなガキか何かだと思っているんだろうか?

 特に迷子ってお前……この町に来てまだ1日目だが、いい大人が迷子になんぞなるかよ。


 確かに前に1度……いや、2度くらいなったけどよ。あれは規模がデカい街だったからだ。今回は比較的小規模な港町だぞ? こんな場所なら迷子になろうと思ってもなれねぇよ。


 心配しすぎなんだよなぁアークは。俺を少しは信用しろって言いたいわ。

 こちとら、異世界から転生したチート知識と豊富な経験のある社会人やぞ。

 ……まあ、外見は17歳のガキだし舐められるのも無理はねぇか。


「しかし、今日も糞あちぃな……」


 よく見れば、身体中汗だくじゃねぇか。

 なんつーかここら辺に来てからちょっと尋常じゃねぇぞ、この暑さは。

 クーラーのある生活が恋しくなるぜ、ちくしょう。


 ……はぁ、宿のばあちゃんに湯屋の場所でも聞きに行くか。

 先日水浴びしたとはいえ、こんなに汗かいてたら確実に臭いだろうしな。


 アークから嫌な顔されても、それはそれでメンドクセェし。





 ***





「あら、エリスちゃん。おはよう、起きたんだねぇ」

「おう! ばあちゃん。おはよう」


 階段を降りると、ちょうど宿のばあちゃんがいたからあいさつしとく。

 何故か、会った時から俺だけ名指しな上にちゃん付けで呼ばれるんだが……これは舐められてるんだろうか? お年寄り相手に、大人げないことはしねぇけどよ。


「今日も暑いわねぇ。水分補給はちゃんとするのよ?」

「あんたは俺の母ちゃんかよ……。しっかし、何でこんな暑いんだ? 港町だろここ。海もあるし風も吹いてんだから、もうちょい涼しくてもおかしくねぇだろ」


 しかも、季節的に見ても別に夏って訳じゃねぇんだよな。

 前の世界で言えば、今は丁度秋ごろになるはずなんだわ。




 そういえば、結構前に寄った街ではやけに寒かったことがあったな。

 その時は、近くのダンジョンに『氷の魔神』とかいう凄まじい化け物が住み着いてた所為だった。


 皆が恐れてる割には、アークの一撃で即死した雑魚だったわけだが。

 まあ、今回の暑さとは関係ねぇと思うけどよ。



「それはねぇ、エリスちゃん。実は最近、この辺のダンジョンに『炎の魔神』っていう恐ろしいモノが住み着いたからなのよ」

「おい‼ 全く同じパターンじゃねーか!?」

「え、なにがだい?」

「いや、なんでも……」


 あやうくずっこけそうになったぜ。

 でも考えてみりゃ、氷の魔神がいるなら炎の魔神がいてもおかしくねーな。


 てことは、そいつを倒せばこのうんざりする暑さからも解放されるのか。

 後でアークに相談してみても良いな。


 あ、暑いと言えば忘れてたわ。


「なあ、ばあちゃん。ここらへんに湯屋とかねーかな? 汗かいちまったからサッパリしたいんだわ」

「湯屋なら2つほどあるねぇ。どちらもここから近い場所にあるよ。でも、片方は止めた方がいいかもねぇ」

「ん、なんでだよ?」

「それはねぇ、この町の湯屋の1つは――混浴なのさ」

「こ、混浴!?」


 混浴っつーと、男と女が一緒に入っても怒られないアレなわけでっ……。

 つまり、そっちなら可愛い女の子の裸が見放題……‼


 って、今の俺は一応女なんだから何のメリットもねーじゃねーか、それ!!

 むしろ堂々と入って行けるんだよ、俺は‼ 男共が羨ましがる桃源郷の中にな‼


 ……と、言いたいところだが。


 女の子しかいない中だと、俺の視線が露骨すぎるのか異様に避けられてる気がするんだよなぁ。

 1度だけ、アークに紹介された冒険者ギルドで会った女冒険者達とお風呂に入った時も、皆が俺の事睨みつけてたし……やっぱホンモノの女には分かっちまうんだろうな、俺の男心って奴がよ。



 つまり、見た目が女ってだけじゃ美味しい思いは出来ないって事だ。

 そう考えると、混浴って悪くないんじゃねぇのか?


 混浴って事は、他の男連中も一緒に入るって事なんだから、自然と女の子達はそっちを気にすることになる。つまり俺がどんだけ舐めるように見まくったとしても、問題ないって事だ。


 木を隠すには森の中。

 すなわち欲望丸出しな男連中がいれば、俺の欲望は隠れちまうという事だ。


 加えて、混浴に来るような女の子は大胆な子が多いと予想できる。

 それだけ期待値が高まるっつー話よ。


 ……なんだよ、良い事づくめじゃねぇか混浴って。

 しかも、今は風紀にうるさいアークも居ねぇし、絶好のチャンスだ。


 ここで動けなきゃ、男じゃないだろ。


「なあ、ばあちゃん」

「どっちに行くか決めたのかい?」

「その、こっ、混浴の方の場所を……教えて……ください」

「……そうかい」



 宿屋のばあちゃんから一瞬だけ悲しげな目で見られたが、俺は決意したんだ。


 悪いなアーク。お前の分まで、しっかり俺が楽しんできてやる。

 後でどんな美少女が入ってたか、自慢してやるから楽しみにしててくれよな‼

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 進捗はありますか?! 頑張ってください! [一言] 混浴! 混浴!! 混浴!!! おっp
[良い点] 男二人互いにヘイト値を爆上げしていくスタイル面白いです(笑) ポンコツヒロインに突っ込みが追いつきません( ´∀`)Σ⊂(゜Д゜ ) [気になる点] せ、精神的B…L??? にならない…
[一言] あまりに主人公がポンコツすぎて、不憫にしか思えなくなってきた。
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