八十九日目、料理には過多のオリジナリティーは危険だと思う。あ、思うじゃなくて、絶対。
うわぁ…最近こっちはスランプ気味です…。いいネタが思いつかない…。
「う~ん…」
「…ウメ様、何を悩んでおられるのですか?」
「あ、井宮さん、いいところに…」
…どうやら久方ぶりの井宮視点のようですね。
こちらは桜ヶ丘高校生徒会棟の食堂。そして今現在ここにおられる幼女(しかし現年齢八十以上)様は桜田ウメさま。ここの料理長(自称)で影ながら殺人料理人と呼ばれているお人です。
「…井宮さん? 今なんか…とんでもなく失礼なことを思わなかったかい?」
「…気のせいでしょう」
読心術まで使えるという謎のご老体(しかし見た目年齢十歳未満)は私をじ~~~~~~~~~~~~~~~~っと見て目を離してまた目の前にある本とにらめっこをしていました。
「…ウメ様、いったい何を読んでおられるのですか?」
「ん? いやさ。これはハルからもらった料理レシピ本さね」
…思いっきりクッ○ングパパなのですが…?
いや…この際中身は美味○んぼだろうが釣○キチだろうが、マザーグースだろうがどれでもいいです。
しかし…なるほど。ハル様も考えた物ですね。
漫画ならば楽しんでウメ様も覚えられることでしょう。ハル様はお祖母様思いの優しい人だったのですね…。
「…優しいお孫様ですね」
「あぁ。あたしの自慢できる孫さね」
「…そして、今回はこの料理を作ろうと言うことなのですね」
「ああ」
出された料理はなにやら市販の蕎麦麺を使用した焼きそばと思う麺でした。今の季節にはあわないと思いますが…しかし、おいしいと思います。たぶん。おそらく。
そしてお買い物に行こう…ということになりました。
そして…お近くのスーパーへ…。
「…奥様?」
「あら~…井宮さん久しぶりねぇ」
「ほんま…久しぶりやなぁ」
そこには紫苑様の奥方様の浅葱様と昌介様の奥方様の嵐子様が仲良くおられました。
せっかくなのでこのまま学校で料理を作ろう、ということになりました。
…奥様は料理がなかなかにうまいため、大惨事にはならないことと思います。
「それじゃあ、作ろうかね」
「やりましょかぁ」
「嵐子ちゃん、気をつけてねぇ」
エプロン、和エプロン(和服を紐で十字に縛ったもの)、割烹着、そしてエプロンドレス(私ですが)がそろったところで…調理開始。
「まずは蕎麦を焼かなくちゃいけないのよねぇ?」
そう言って奥方様が取り出してきたのは…火炎放射器?
奥方様? それをどうお使いになるつもりなのですか? そしてそれはどこからとってこられたのですか?
それよりか…先ほど行ったスーパーで火炎放射器が市販されているのですか?
「あらあら…浅葱ちゃんはあきまへんなぁ…焼くンやったらこれでっしゃろ?」
いくら何でもマッチでは火力が弱すぎます。というより…でかすぎやしないですか? そのマッチ。どんだけの重量か知りたい物ですが。いや、やっぱり知りたくない物ですが。
そして…先ほどのスーパーでそのような巨大なマッチ棒が市販されているのですか? いったいいくらで?
「二人とも…ぬるいぬるい…どうせ使うのならば…」
そう言ってウメ様が取り出したのは…棒と木の板(くぼみ空き)。
…どこまで原始的なのですか? と…言うよりも…。
これでは私がボケられないではないですか。
心の中で舌打ちを打ちながら私は取り出そうとしていたスイッチをがま口ポケットの中にしまい込んだ。え? なんのスイッチなのか…と?
…聞かない方が身のためですよ? 読者様。
「さて。焼きそばはほぐしたからいいとして…」
「よ~し、オリジナリティーを出すために様々な物を入れるよっ!!」
「賛成~」
「うちも同感です」
この発言をしたとき、私は確信した。
この料理、失敗すると。
「まずは焼きそばってなんか辛いイメージがあるじゃないかい? だからここは甘い物を入れた方がいいと思うんだよ。あたしゃね」
「だとしたらぁ…練りようかんを入れたらいいんじゃないのかしら?」
「あ、ホイップクリームなんかもいいのかも知れへんなぁ」
…なぜでしょうか。ここで違和感を覚えたのは私だけでしょうか。
普通、こういうことを言うのは浅葱様がホイップクリームといって、嵐子様が練りようかんと言うべきなのではないのか…そう考えたのは私だけでしょうか。
「じゃぁ、それにハバネロを入れて…」
「あ、ザ・ソースもあるよぉ~?」
「ブート・ジョロキアもありますえ?」
…待ってください。なぜにそんな物を入れるんですか?
辛さの中でもほぼトップクラスをしめる物があるのではないのですか? それは。
「そして…ここに梅干しを入れて…」
「牛革も入れようよ~」
「歯ごたえを出すためにダイオウイカも…」
…気がついたらあれよあれよという間に…。
暗黒物質EX、生成完了。
「…と、言うわけで、試食た~いむ!」
「…おばあちゃん…? これはいったい…?」
「…すみません。ハル様。しばし生贄になってください」
「えぇ!? なんで!? いやだよ私生け贄なんてむぐぅ」
「まぁ、桜田はんは食べ盛りでんなぁ」
私の見間違いでなければ無理矢理押し込まれたような気が…。
そして…ハル様は…。急にその場から立ち上がり、
「あきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃかyかやかやかやあああ」
叫び、
「げろごろげおえっれれげおれえごええrごあ」
吐き、そして…
「…ごふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううう!!!」
喀血。
「ばたっ」
…ご臨終。
…そして…これは…最終最強現代科学基古代科学及び超最強取扱注意兵器…としか言い様がない物へと変わりました…。
兵器ナンバー、365
名称…最終最強現代科学基古代科学及び超最強取扱注意兵器(別名、暗黒物質EX)
詳細…黒い物質。それ以外に言うことは特になし。
内容…食べ物(生)
あ、そーだ。
そろそろ人気投票を仕切らせてもらいます。
人気投票の締め切りは十月三十一日までです。
キャラへの質問、名珍場面、名迷話、などなど。続々応募中です!!
ではでは~。