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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
秋の章 ~がくせいのほんぶん。~
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八十二日目、ラブコメとは「愛」に「米」と書いてラブコメと読む。

「なに…? それぇ? ぜんっぜん笑えないんだけど☆」

『笑わなくて結構。これから…』

と雁岨はいつものスケッチブックを拾って書いて竜介に近づき、

『逃げるからな』

そんな書き残しを残して雁岨は竜介を担いで全速力で教会から逃げた。

まさしくその速さは風のごとき速さだった。

「…黒芽、大丈夫か?」

ひょっこりと祭壇の下から出てきたのは先ほどの神父…いや、いろいろあってひげがとれかけてる。

その素顔を見てみたらなんといつぞやの麻上輝だった。

顔だけはいいのに極度のロリコンという欠点を持っている変な奴へんたいだ。

「…少し地の文は黙ってもらおうか」

ごめんなさい。でも変態は認めるんですね?

「当たり前だ!!(自信満々で)」

自信満々で言わない方がいいと思いますよ?

「うっわぁ〜☆ じゃあなんで輝ちゃんは私になびかないのかなぁ〜?」

「やめろ。目を赤くするな。そしてそのままこっちを見るな」

よくよく見てみれば、エルの目は赤くなっていた。

「あはっ☆やっぱりだめかな?」

「だめだろう。何を考えているんだ?」

「ん〜? おもしろいこと☆ もうちょっとでお兄ちゃんをこっちに引き寄せることができたのに…それを邪魔したあのおばさん・・・・をちょっと痛めつけるだけだからね…? 殺すわけじゃないからね? そうだよ…ただ単にあのおばさんを殺すだけだからね? 私のお兄ちゃんを…お兄ちゃんをとったらどうなるか、思い知らせてあげるんだからね…? あは、あは、あはははははははははははははははははははは…」

…ヤンデレ?



「はぁ…はぁ…はぁ…」


私は走りながらも回りにやってきていた敵を蹴散らしていた。

しかし、いつものバールでは簡単に人を傷つけることができる。

それではだめだ。なにか、別の解決方法があるはずだ。

そうやって模索しつつもやってくる敵は背負い投げたり、峰打ち(箒に峰はないがとりあえず)で敵を倒していったりしていた。

そして…あらかた倒してまっすぐな一本道に入った。

この先を抜ければ大きな湖に出るはずだ。そこに行けばなんとか…。


あとであのメイドに連絡を取るか…。


そう思いつつ竜介を担ぎつつ必死に走っていた。

気づけばすっかりあたりは暗くなり、東の空にはうっすらと星や月が見えてきていた。西側では太陽が茜色に染まっていた。

竜介はそのままぴくりとも動きはしない。一応肩越しに心臓が動いていることが確認できているので、生きてはいるはずだ。

そして後もう少しで湖畔にたどり着きそうなとき、今までとは違う回りにある木々ほどの身長の大男が現れた。

巨大な筋肉質な体、スキンヘッドに黒のサングラス。オマケに黒のスーツときた。


さっきから出てくる奴らはM○Bか?


懐かしい映画のタイトルを思いながらもその男と対峙した。

右手には箒、左手には竜介を担いでいる。一応腰にはバールを携えてはいるが…。

そのままにらみ合いをしていたら男の方が残像を残して殴りかかってきた。

最初の一撃は鋭い正拳突きだ。が、避けられないほどの速度ではない。

二撃目は逆サイドからのジャブ。ちょっとかすった。

三撃目は右のアッパー。バック宙をして避ける。

相手は息が切れた様子もなくすぐにファイティングポーズをとった。どうやら相手はボクシングの経験者らしい。それも、相当手練れの。

が、そんな物は関係はない。私にはな。

竜介を脇に置いた後、素早く私は相手の懐に飛び込み箒の柄の先を鳩尾に打ち込んだ。いや、めり込ませたが正しいか。

そして先ほどと変わらぬ様子で竜介を担ぎまた相手と対峙。

そして…大男は膝から崩れ落ちた。

そんな大男の脇を通りながら私は相手に静かに合掌をした。



ここまで来ればひとまず安心だな…。


私は湖畔近くのベンチに腰を下ろし、そのまま竜介を下ろした。

…疲れた。


「ふぅ…」


一息ついて目がとろーんとしてきた…いかん。眠い。

しかし、ここで寝るわけにはいかない。

…しかし…電話できるのだろうか? 私は今二十四時間連続で沈黙状態のような感じなのである。そんなんが大丈夫なのだろうか?

…いや、まて…?

でもやれるんじゃないのか? 

そう思って私はケータイ電話を取り出し、

メイドに電話をかけた。

そして電話の内容は全てモールス信号…以前電信で使われていた暗号である…を使って話して(?)いた。

やがて会話が終了した後、またしても一息ついた。今度こそ眠りそうだが耐えろ、私。

そうやってうつらうつらしていた。

………………

……………

…………

………

……

…ちょ…

…ちょっと…だけ…

…ちょっとだけ…あの…その…き、キス…とか…その…チューとか…いい…よ…ね…?

う、うん! ここまでがんばった私への、そ、その…ご、ごほうびと考えても、べ、べつに…いいわけで…。

あ、か、勘違いするなよ!? 読者!

わ、私はその…べつに…りゅ、竜介の…チューとかがほしいとか…そんなことは…おもって…なくて…。

…い、いかん! 考えていくうちに頭の中が煮立ってきた!?

お、押さえろ! 押さえるんだ! 私!!

そ、そうだよ!? 竜介にあんな言われ方をしても、私はその…竜介のことが…。

竜介の…こと…が…。

























す、好きに決まってるじゃないか…。



















そして…私は…竜介の口に向かってキスを


【ぴんぽんぱんぽーん。お兄ちゃーん? 元気ー? あのおばさんにへんなことされてなーいー?】


しようとしたときにあの○○ピー餓鬼からの放送が入って来たっ!!

殺したい…! アイツを殺したい…! に〜く〜す〜ぎ〜る〜っ!!!

手元にあったベンチの木がめきめきと音を立ててつぶれていった。


【お兄ちゃーん。エルからのお願いだよ〜♪ そのおばさん・・・・・・を殺しちゃって?・・・・・・・・


その言葉を言ったとき。

私は竜介の方を向いた。そんな馬鹿なことがあるはずが無い。そう思いながら。

でも竜介は。

私に向かって。

色即是空かたなを振りかざしてきた。















『続く。』(By、秋原雁岨)

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