七十五日目、キスをすると口の中で一秒間に二億個の細菌が行ったり来たりする。
今回は、黒犬純先生のご提供、もしもシリーズ学園ホラー編から第四弾!
「もしも桜ヶ丘高校生徒会役員が学園ホラーな出来事に出会ったら?」
こうなりました。
「はぁ…はぁ…」
私は必死で走っていました。後ろを振り返ると亡者のごとく手を挙げてこちらに向かってきていた。
私は手に持っていた銃でその人たちに向かって撃った。
そして何人か打ち倒したがやっぱり向かってくる人数は減らない。
向かってくる人たちはなおもやってくる。
目をハートにしながら。
「なんなんですかぁ!? これぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!」
走りながらもつっこんだ。
事の発端はやっぱり生徒会からだと思う。
秋だというのにまだまだ暑い今日この頃。
「あついよぅ〜…」
「くーらぁぁぁぁぁあ…」
「暑いですね…ホントに…」
「そうねぇ…」
「「って、一番涼しそうな二人に言われたくないんですけど!?」」
そんな柊先輩と萩先輩はマイ扇風機にマイ団扇(もしくはマイ扇子)に足元には氷をじゃんじゃか入れた洗面器に足をつけていた。
しかも柊先輩に至ってはハワイアンブルーソーダを飲んでいた! くそう! ブルジョアめぇ!!
「お〜っす、お前ら…生きてるかぁ?」
「会長…何とかしてくださいよ…」
「そう言うと思ってお前ら、中庭見てみろ」
そう言われて中庭を見てみると…。
いつもはカラッカラに乾燥した中庭の地面が水分を満面に蓄えて…というより、もはや満面に張った池と化していた。
「「おおおおぉぉぉぉ〜〜〜!」」
「打ち水だ」
「打ち水の領域を超えてますけどね!? これ池ですけどね!?」
「でも涼しくなりますねぇ〜…」
そうやってほんわか和んでいたら…急にがらっとドアが開いて雫さんが入ってきた。
…てか…あれ?
なんか…雫さん、おかしくないですか?
そんな雫さんはふらふらとおぼつかない足取りで…。
柊先輩の唇に、自分の唇を
「「あdgflh:っjkghうぇrhzxcvbんっmくぇrちゅいおっp@ぽいうytれwqlkjhgfdさmんbvcxz!?」」
「紫苑ーーーーーー!?」
「また一つ…新たなる愛が芽生えた…」
「それちがうぅぅぅうううう!!!」
そしてつっこみを入れてかれこれ数十秒はたったでしょうか。
柊先輩の口から雫さんの口が離れて(糸引いてた)そのままぺろんと舌なめずりをしたあとに、にんまりしたとき、がららー、と勢いよく生徒会室のドアが開いて、
息切れ状態の雁岨先輩が入ってきて…。
『竜介、逃げろ!!』
「いや、なぜに?」
その返答をしようと、雁岨先輩が新しくスケブを開こうとしたとき、
またしても雫ちゃんが雁岨先輩の唇に唇を
「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!?」」
「がーんしょちゅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!?」
スケブが落ちた。その滞空時間がすごく長く感じられた。
そして唇が離れてまたしても糸が引いてにんまりしてあわわわわわわわわわ…。
「会長! 抄華ちゃんが…!」
「何ィ!? とにかく! そこにある非常用ダストシューターの中に入れろ!」
「へ? ってこれゴミ箱じゃ………」
「いい……」
「…………!?」
「………」
とまぁ、こんなやりとりがあったらしいです。
ちなみに非常用ダストシューターの出口は保健室だったらしく、清水先生と甲賀先生と井宮さんとウメさんが四人でカップラーメンをすすってました。
そして…監視用カメラ(無論清水先生の備品らしい)で校舎の様子を見てみると…。
甲賀先生曰く、
「モラルもへったくれもないな…この惨状は…」
みんな目がハートになって誰彼かまわずキッスをしていて(それこそまさしく男女関係なく)逃げまどう人たちには容赦なくキスをその人に向けていました。
そしてその人がまた新たな犠牲者(?)を出していて…
…えっと…? これは何ですか?
「これは…!? 百合、薔薇、そして普通の××××に関する情報がキスを通して感染すると言われているもはや明治時代には撲滅されていたとされてた細菌…Rukaburioウイルス(通称キス魔病)!?」
「いや…ウメさん? いろいろと…その…危ないところ、行ってますから…?」
「…そのような病気が、なぜ…?」
「でもでもぉ、そんな過去の産物なんてイチコロなんですよぉ? そぉ…この、」
と言って取り出してきたのは…ちっちゃな噴水?
いや、噴水、っていったほうがいいんでしょうか…? これ、結構ちっさいんですよねぇ…やっぱり噴水か。
「華L-Q59063で! イチコロですぅ」
「いろいろ危ないところからパクって来とるなぁ…今回も」
「ウメさん…そこは言わない方向でお願いします…作者はあとでリンチにかけときますんで…」
「で、これをどこに設置すればいいんですか?」
「とりあえずぅ、これを一番高いところぉ…即ちぃ、校舎の屋上に設置すればいいかとおもいますですぅ」
校舎の方は今先ほど見てみたところ…とんでもないところになっていた。
そんなところに乗り込む勇気は…あるかもしれない。
ハルさんはどうなったんだろう。
会長は。
柊先輩は。
どうなったんだろう。
みんなは今、どうなってるんだろう。
「…行かれますか」
「井宮さん…」
「…私もご同行をお願いします。私は紫苑様のメイドですから」
「んー……」
私は考えた。確かに井宮さんは強い、と思うけど…。
どこまで強いのかは悪いけど、私にはまだわからない。けど…。
井宮さんは、たぶん強い。と思う。
ただ…あれさえなければ…。
でも…賭けるしかない!
「わかりました。お願いします。井宮さん」
そして私は頭を下げた。
そして井宮さんは任せてくれと言わんばかりに礼をした。
そしてよくよく見てみたら口の端になるとがくっついていた。
「――――ってなんでこんなことになってるんですかぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!?」
後ろにはもはやキスゾンビ(言ってみれば単なるキス魔かもしれない)が後ろからわらわらと出てきていました。
そこかしこの教室からわらわらとまさしく私を飲み込まんとするばかりの勢いでした。
そりゃぁ確かに、井宮さんが屋上で噴水を設置するために中庭(満面に水が入っている)を通らなければならないので私が陽動を引き受けたんですけど…。
いくら何でもこれは数が多すぎます!
「生身の人に使うのは気が引けるんですけどっ!」
このまま相手に飲まれて私までキスゾンビになっては仕方ないので、私は持ってきていたトートバッグからスタングレネードをピンを引っこ抜いて相手に投げつけました。
スタングレネードと言うくらいですので爆発力は結構ありますが…あくまでも目隠しの要領でしか使えません。
が、それはあくまで普通のスタングレネードでの話。
「これでどうですかっ!?」
投げられたスタングレネードは相手の方にことんと落ちたと思った瞬間、すごい爆音とともに衝撃、そして光が相手を襲ったことでしょう。それでも減るような素振りを見せません。
ならば…!
私は今度はトートバッグから超がつくほどのレアもの、「愛国者」を取り出しました。この銃は結構おっきくてそれなりに重さもあります。が、その分破壊力を兼ね備えています!
「当たれぇぇぇえええええ!!」
敵がおもしろいように後ろに吹き飛んでいきます! さすがはパトリオット!!
そして敵におもしろいように当たって吹き飛ばせているとトランシーバーから…。
『…抄華様、聞こえますか? 井宮です。非常に残念なお知らせがあります』
「なんですか!?」
『…あれ? 聞こえないですね? 抄華様? 抄華様?』
「どうやらこちらからは音声が聞こえないみたいです…」
『…どうやらそちらからは聞こえないみたいですね…ではお話しします。
噴水装置、中庭に落としてしまいました。申し訳ございません。』
「どうやったらおとすんですかぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああ!? 壊すとかならまだしも!!」
『…途中のゴムボート内で『…中身、どうなってるんだろう…ちょっとだけ…ちょっとだけ…分解してみようかな…?』と思った自分が、今となっては恨めしいです。腹立たしいです』
「腹立たしいのはこっちですよ!! と、いうかなぜに分解をしようと企てたんですか!?」
『…どうしても分解してみたくて…』
「いやいやいや!? あなたもう立派な大人ですよねぇ!? 待つことの大切さを知ってるはずですよねぇ!?」
なんて言い争っていたらやってきた!!(相手には聞こえていないはずなんだけど…) 大波小波がやってきた!!
「きりがないっ!!」
何とかしてパトリオットで応戦するものの、次々とやってくるもんだからホントにどうなってるんだ!?
『…抄華様、聞こえているかどうかはわかりませんがこのトランシーバーには秘密機能がありまして』
「とぉぉぉおおおおおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
敵陣に向かってジャイロボール並みの殺傷力を持って投げつけた!
すごい!! なんか私、今ならメジャー目指せるみたいです!! 夢の舞台へ駆け上がれそう!!
だって黒くなんか軌道が…黒く?
その黒いモノは近くにいた生徒を皆ひるませていた。その辺にあった黒いモノをちょっと指につけてなめてみた。
…………独特の風味と、ほんのり味わえる苦さ。そして、辛さ。これはまさしく…。
「何で醤油なんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」
そして私はまた走る!! 校舎の中を全力疾走!
してたら今度は…!
目の前には…
ハルさん
柊先輩
萩先輩
会長
雁岨さん
そして…雫さん。
「最悪の面子がここにいたぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
「「ま〜て〜こ〜ら〜♪」」
そしてなんか校舎の外(またの名を屋上という)に出てみたら井宮さんがスタンバイを終えていた。
「…抄華様。スタンバイはOKです」
「そのまま噴射してください! お願いします!!」
「…水がありません」
「入ってるんじゃ!?」
「…先ほど壊したときに…」
「壊したんですかやっぱり!!」
と、なんか漫才(?)をしていて気づかなかったけど、後ろにはやっかいなメンバーがいたんだった…!
「井宮さん。下にはたくさん水がありますからそれを何とかして使ってください…。私は」
そして、右手にはS&W M29。左手には…。
(これを使うときが来るなんて思ってませんでしたよ…)
黒光りする銃身はサムライ・エッジに似ていますが、内容は右手に持っているS&Wとは威力が桁違いの銃。
桧木抄華、性能完全オリジナル銃。その名も、
「薔薇二込メシ銃弾………」
はっきし言って、これ言うのめっちゃくちゃ恥ずかしいです…。
けどこれは、この世に二つと無い銃です。
「皆さん…正気に戻ってくれないと、これ、乱射しますけど…?」
それでも皆さん、聞く耳持たず、といったような感じです。
仕方ないなぁ…。
撃つかぁ。
爆音があたりに響き渡る!
そして…ハルさんの足下あたりで小さなクレーターができていた。
それに警戒したのか足がそれ以上前に進まなさそうでした。
このまま時間稼ぎを…!
そして…。
細やかな雨が降ってきました。
後ろを見たら井宮さんがずぶ濡れの姿でガッツポーズをしていました。
よかったぁぁぁぁ…。
〜数日後〜
「――――と、言うわけです」
「バイオ○ザード的なのりがあったんですねぇ」
「んで? 元の感染者は誰だったんだ?」
ここは保健室。みんなで仲良く昼食をとっていました。あのときは大変だったね反省会です。
「それが、どうやら雫さんみたいだったんですよ」
「へぇ…何がいったい原因だったんだい?」
「なんか、保健室でこの小瓶を一気に飲まされたそうです」
そして私は件の品をそこにコトン、と置きました。
大きさはだいたい栄養ドリンクほど。中は無論、殺菌消毒してあります。
「はうっ! そ…それは…!」
「えぇ…これはいつぞやのコロナミンαの改良版、リタビタンγと言うそうですねぇ…? 清水先生?」
「…どーゆうことだか、はっきりとご説明をお願いしたいのですが…?」
私たちの背後から炎がともっていくのと同時に清水先生の顔がどんどんと青くなってきています。
「え、えっとぉ…栄養剤を渡したんですけどぉ…?」
「じゃぁ、何でこれ雫さんが飲んでるんですかぁ? そしてそこら辺にあるDVDのケースは何ですかぁ…っ?」
「…まさかとは思いますが、校内のあちこちに監視カメラが設置してありました。それの録画DVDでは…?」
「じゃぁ、壊さなきゃいけませんねぇ」
私はこの間のパトリオットを取り出してセーフティレバーを解除。並びに装填。
井宮さんはぱきぽきとケン○ロウばりに指を鳴らして清水先生に近づきます。
がたがたぶるぶると清水先生はふるえていますが。
そんなことは関係ありません。
「ゆ…ゆるして…ほしいですぅ…」
「清水せんせぇ…」
私は最大限甘ったるい声を出して…
「「…だぁれが許すかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!」」
ダブルつっこみ。プラス、銃弾、拳に消火器にグレネード(注;この場合は対人瑠弾。空を飛ばないモノだけを指す)。が保健室にて響き渡りました。
そして…。
「いやぁ。平和ですね」
「三分たったようじゃの」
甲賀先生とウメさんはのんびりラーメンをすすっていましたとさ。
りざると。
撃破キスゾンビ数 1529体(FULL)
救出者数 0人(FULL)
撃破ボス数 0体(FULL)
撃破スペシャル数 1人(FULL)
スコア
グレネード(スタン) 使用数 15×0.5=8
パトリオット 使用弾数 9856872×0.5=4928360
S&W M29 使用弾数 3×1000=3000
ガンズアンドローゼス 使用弾数 105×2000=210000
総スコア 5141368
ランク SSS+
称号 全てを穿つ戦乙女
FULL MISSON COMPLITE!!
CONGRATULATIONS!!
はい。どうも。こうなっちゃいました。学園ホラーじゃないっすね。学園コメディっす。すんません。
さて…。これからはもしもがたまりにたまりまくっているため、もしも連発していきますよ!!
ではっ!!
水月でした。