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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
秋の章 ~がくせいのほんぶん。~
75/151

六十九日目、生徒会長夏樹竜介の暗殺。

生徒会長シリーズ、第二弾!!

まだまだつづきまっす!!

シックなスーツ。

いつもの葉巻。

正体を隠すためのサングラス。

そして…仕事の相棒。

俺の喧騒の一日はそれらを準備することにより始まる。

紹介し忘れた。

俺の名は、ゴ○ゴ…。

いや、作者よ。俺の名前を伏字にするな。

改めて言おう。俺の名前はゴバゴ。

ゴバゴ14じゅうよん。殺し屋だ。

今回のターゲットはとある一般の学校の生徒会長、夏樹竜介。

こいつがとある企業…今の俺の依頼人クライアントの邪魔になるらしい。見ればまだ年頃の若い男じゃねぇか。

が、私情を仕事には持ち込まない。これが俺のポリシーであり、ルールなのだ。

さて…やつがいつもやってくる本屋にやってきた。

やつが本屋から出てきたところを…狙う。


〜一時間後〜


遅い…いくら待ってもやつが出る気配がない。

まさか…やつめ、どこかでこの暗殺計画のことを知ったのか? そして…警戒されている?



※実際はこちら(作者注)。



うっしゃっしゃ…まさかこんなお宝本があるなんてなぁ…。

我が永遠の姫君! 黒芽エルちゃん! いやぁ…今回はよりいっそうえろっぺ〜ですなぁ…うっしゃっしゃ…。

はっ…。何者かの視線を感じる…。まさかっ!

公式ファンホームページ(無論俺もファン会員だ)にて桜ヶ丘市で行われるという隠れサイン会のもぐりファンの俺に対する視線…?

いやまさかっ!! 馬鹿なっ!! そんなものがあるわけがっ…!

しかし…この視線は…間違いないっ!

同業の視線だ…。


「店長」

「はい」

「夏樹だ。裏口は?」

「! か…会長…。わかりました。裏口はこちらです」

「助かったぞ、伍長」

「はっ! 隊長! エルさんに、栄光あれ!!」


…くっ…くっくっく…助かったぞ、店長…いや、黒芽エル親衛隊伍長。よくやったぞ…。

これで…心置きなく俺はサイン会に行けるというものだ!

かっかっかっか!!

(ちなみに俺は黒芽エル親衛隊名誉会長だ)



さて…あれからやつを追ってはみたが…どうやらやつは、別のところに向かって行ったらしい…。

さっさと追っては見たが…ここは、Bブロッサムスタジアム? なるほど…どうやらやつは自分の応援しているアイドルのサイン会があると勘違いをしているのか…。

残念ながら夏樹竜介。今日はサイン会はおこなわれてはいない。今日おこなわれているのはリトルリーグの試合だ!

さぁ…これで終いにしようか…。


〜二時間後〜


おかしい…やつが出てこない…。なぜだ?

やはり気づかれているのでは…? いやまさか。やつは気づいてはいない。それだけは確信して言える! 俺の…俺の数年の人生の勘がそう告げているんだ!



※やっぱり実際はこちら。



な…何だコリャ…。

実際におこなわれているのは野球じゃねーか…。

まったく…損したぜ。

かえろかえろ…。


「あれ? 会長? こんなところで何をしているんですか?」

「ん? 桜田?」


そこには桜田がいた。しかも、よく見たら野球帽にメガホン。応援しているようだ…。なんでだ?

…一応確認しとくか。


「おめーに、弟か妹がいたのか?」

「違いますよ、会長…柊先輩がそこの…今戦ってる桜ヶ丘ドラゴンズの監督をしてるんですよ」

「監督?」


そして桜ヶ丘ドラゴンズの方…つまり向こう側を見てみると…なるほど。確かにそこには柊がいた。

野球帽とジャージを着て少年達に活を入れているみたいだった。

見ると試合は五回裏。点を見てみると、向こうチームに四点差がついていた。

…なるほど。これからが本番だな。


「ところで…何で会長はこんな所に来てるんですか?」

「あ? さ、散歩だよ、散歩。ぶらぶらとしてるんだよ」


言えない…口が裂けてもアイドルのサイン会に来ているとは言えない…!


「どれ…俺も応援してやっか」

「あ、でしたらこれどうぞ」


そう言って桜田はメガホンと野球帽をくれた。

なるほど。これで応援しろということか。


「…りょーかい」


そして俺は隣のベンチに座って応援することにした。


「にしてもなつかしーなー」

「はい?」

「いやな。俺、小さい頃…小学生くらいの時か? 野球で四番でピッチャーだったんだ」

「すごいですね! なんか!」

「その頃から百四十出せた」

「既に高校生級!? その頃から既にこの頃の体を!?」

「しかしなぁ…肩を壊してからやって無くてなぁ…」

「そして肩を!? そりゃダメだ! 絶対ダメだ!」

「ま…それからやってねぇけどな…」

「ふぅん…なんか、私の知っている人と同じですね」

「は?」


俺は少し驚いて桜田の方を見た。


「私の知ってる人、会長と同じような感じの人らしいんですよ」

「ほう…俺のようなダンディでナイスガイな男なのか?」

「いえ、ダメ人間ですね」

「なんだ」

「否定は?」

「しない」

「何でですか?」

「今でこそ会長の役職に就いてはいるが、俺はそんなにすげぇ奴じゃねーからな…」


おれは少し遠くを見た。

そして…懐かしかったあの頃を思い出していた。

そう…。

肩を壊して、球拾いをしていたあの頃…。プライドがずたずたにされたなぁ…。

あれ? 涙が出てきたよ? なんでだろ?


「か、会長!? 何でそんなに涙を流しているんですか!?」

「なぁに…昔を思い出しただけさ…ハハハハハ…」



くそっ!!

何で奴は仕留めることができないんだ!?

はっ! まさか!!

この世の中には凄まじい拳法の使い手がいるという…。

そいつは自分の身が狙われていると分かったとき、即座に反応して避ける行動を…。まさか!!

そんなことは無いはずだ!!

…恐らく。

さて。気を取り直して。

次はサウナに向かったらしい。

馬鹿な奴め…。

このまま貴様はなぶり殺しにしてくれるわ!!


「あれ? あなたもですか?」

「え? あ、は、はい…」


とはいったものの…。

しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!

まさかまさかの自分も入ってサウナでのんびりしていたらターゲットと鉢合わせをするなんて…!

とにかくこの場は切り抜けるしかない!


「いやぁ…熱いですねぇ」


サウナだからな。熱いのは当然だ。

しかも…周りは何故…。

石のスタイルなんだあぁぁぁぁぁあああ!!??

これってあれだよね!? 御影石とかそんな感じのものだよね!?

フツーサウナとかには扱われない代物だよね!?


「いやぁ…そうですねぇ…」


ちきしょぉぉぉおおおお!! ターゲットが近くに…目と鼻の先にいるというのに…殺れないとは!!

いや…待てよ?

これはむしろ…チャンス?

このまま奴が水分を失って出て行こうとしたそのスキに…!

俺はここに持ってきているデリンジャーを見た。

完璧だ。

となったら奴を仕留めるのも時間の問題!!

何を隠そう俺様は全国サウナ選手権大会にて三位の実力を持っている!!

この程度、楽勝よ!!


一時間後…。


くそっ…奴め…まだ上がらないのか?


二時間後…。


くっ…み…水が欲しい…。


三時間後…。


どこまで我慢しているんだぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!??

もはや奴は化け物か!? と言うより…。

汗一つかいて無い!

ど…どれだけ冷え性なんだ…?

い…いかん…。

意識が…。







「……はっ!?」

「あ、お客さん、気づかれましたか? サウナ室で倒れてたんですよ?」

「大丈夫か? あんた? 目を開けて寝てるなんて…」


…なるほど、な。


「あ、お、お客さん!? 大丈夫ですか!?」

「問題ない。それよりか、そこの少年」

「俺のことか?」

「ああ…」


そして振り向いて俺は言った。


「ありがとう」





俺の名はゴバゴ14。殺し屋だ。

狙った獲物は逃さない。仁義に熱く、情にもろい。

そして仕事の出来は完璧。

…いや。


「今回、初めての失敗だったなぁ…」


葉巻を咥えて桜ヶ丘市の空を見た。

夜空が綺麗だった。

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