四十三日目、とある電気店でのお話。
今回はオチがない…軽くスランプに…。
「こんにちわ〜」
「あ、雫ちゃん、いらっしゃい」
どうも。乍乃雫です。ただいま私は涼さんの電気店に来ています。
「雫ちゃんも元気になったもんだね」
「ええ…あのときはお世話になりました」
そう。この人は私の親戚で誰よりも(恐らく両親よりも)心配してくれた、数少ない私の味方になるといった部類の人である。なんかいろんな人に自分の発明品を使わせていたりするそうだけど…。
と、いうより。なんでこんなに近くになったんだろ? 前はもうちょっと遠くだったような気が…。
「こんちわ〜」
「ども〜」
「いらっしゃいませ…ん? あなたたちは?」
あっと、どうやらお客さんが来たようです。何で黒い服着てるのかは謎ですが。
でも、一人は見たことがあるような…。
「頼んだもの、できてる?」
「ああ。水月さんですね。できてますよ」
「ちょ、ここで名前いうのは…ちょっと…一応ここでは佐藤とよんでください」
「あ、ちなみに僕は加藤で」
おかしい。この人達、挙動不審だ。
なんかあからさまにきょろきょろしているし。なんか黒いし、ちょっと暑い中なぜか黒のロングコートだし…。
ま、まさか!!
回想シーン。
「頼まれたモノはこれですか…?」(カウンターの下から黒いトランクを出す)
「…………………」(トランクを手慣れた手つきで開けて中身を確認)
「…………これ、ですか…」(加藤さん、中身を見てごくっと生唾を飲む)
「…では、お代を」(そして涼さん、手を出す)
「現金では払わない。いつもの所に振り込んでおく」
「…そうでしたね。すみません」
「…また頼むぞ」
「いえ。いつもごひいきにどうも…」
ままままままさか! 麻薬!? ドラッグ!? ホワイトマッシュルーム!?
なんで!? そんな? 信じてたのに…。
「んじゃぁこれ。いつもの鉛筆とノートです」
「わざわざすみませんね。どうも」
「へぇ。いつもここで買ってらっしゃったんですか。みず…もとい、佐藤さんは」
「まぁね。んじゃ。あんがとね」
「またどうぞ〜」
あ、いっちゃった。
「雫ちゃん。ちょっと」
「へ?」
ぷしゅー。
はへ? なんか…あたまが…くらくらする…? 眠い…眠い…。
…………ぐー…。
「ふぅ…危ない危ない…」
いや。なんか。すんませんね。
「なぁに。これくらいおやすいご用ですよ」
にしてもちょうど来るなんて…何考えてるんだ? あいつは…今度厳しく言っておかなくては…。
「ははっ。弟思いなんですね」
ん? いや。でもな…。
「ん? なにか?」
…いや。なんでもない…。
「含みのある言い方ですね…あ、そういえば。今回ちょっとあることに気づきました」
なんだ?
「今回、オチがありませんでしたね。この話には」
あの…ニコニコしながら言わないでくれる?