四十日目、勇者って…いったい…?(By、王宮兵士)
さて。
あの後、王様が泣く泣く「知り合いの国の人にもいろいろお願いしとくからねっ! べ、別にお前のためじゃないんだからなっ!」と、言っているのを聞きました。ツンデレか。
この後城を出る前に高そうな壺をちょっと見つけた。
「あ、勇者様。その壺には触らないでくださいね」
不意に近くにいた兵士に呼び止められた。端整な顔立ちに、槍を持った、一般的な兵士だ。
「? なんで?」
「いや…何ででもです」
「ふ〜ん…」
そういった後にハルはその壺の前に立った。そして眺める。
青と白に塗り分けられたきれいな形の壺だった。なるほど。確かに高そうだ。
そんな壺をハルは手に持ち、頭の上から真下にブォン!! そして!!
ぷぁりぃぃぃぃいいいいいん!!
割れました。
「うわぁぁあぁなんてことを!!!」
「あ、小さなメダルめっけ」
「ひぇぇぇぇええ!!! あ、あなた、ほんとに勇者ですか!?」
そう兵士さんが言ったとき、ハルはにこやかに、
「勇者? いいえ。たまに他人から『悪魔』と呼ばれたりしますよ」
「悪魔ぁぁあぁあぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
兵士はそういった後、「エロイムエッサイムエロイムエッサイム…」と、頻りにつぶやいていました。
お城を出た後、ハルは近くの武器屋に行って、必要なものを買いあさっていました。
え? お金はどうしたのかって? 大丈夫。おばぁちゃんから結構もらっていますよ。1000G位。
おばぁちゃんに事情を説明(「ちょっと魔王を倒してくるわ」、「あら。お土産よろしくね」のやりとりのみで終了)して、家から適当に衣類や錠剤を持ち出してミズキ城下の外に通じる門の所に来ました。
そしていざ、町を出て広大な平野に出ようとしたとき、
「ハルさんっ!!」
ハルの後ろから懐かしい声がしました。
死んではいないのですが、やってきたのはショウカです。服装はいつもと同じですが、なぜかいつもはつっていない銃まで腰につっています。
「しょ、ショウカちゃん!?」
当然、ハルもこれには吃驚。あいや失礼、ビックリ。
息せき切ってハルの所までやっと追いついた、と言ったような感じです。
「な、なんで…?」
「い、いやぁ…なんか、おもしろぞふぉうだだので、いじょにいごうど…」
「な、なんて言ってるかわからないから!! と、とりあえず深呼吸して!」
画面の皆様もできればご一緒に。
すぅぅー…
はぁぁー…
すぅぅー…
はぁぁー…
はぁぁー…
はぁぁー…
はぁぁー…
「どう? 落ち着いた?」
「死んじゃいますよ!! どんだけはかせる気ですか!? 読者の方々、大丈夫ですか?」
「読者のことはさておきとして、何でショウカちゃんこんな所に来たの?」
その後にショウカから話を聞いたハルでした。
とうていここには書ききれるほどの量ではないので、あえて割愛。
「…なるほど…つまりショウカちゃんの家はだいだい魔王を封印してきた一族で、今回はショウカちゃんが魔王を封印しよう、ということになったんだね…」
「はい。ついでに、王様から中央護衛隊の方々もお借りしてきました」
そういった後、ショウカの後ろには先ほどの少年少女と、もう一組、少年少女がいました。
一組の少年少女はナトスとエルということは話したので以下、割愛。
そしてもう一組の少年少女は、少年の方は端正な顔立ちに黒い髪。黒いローブに黒いズボンとブーツを履いていて、傍らには辞書ほどの大きさもある本を抱えていました。
少女の方は人形のようなかわいい顔立ちをしていて、髪は茜色。服はウエディングドレスを袖無しのオーバーコート状にしたものを着ていました。
「紹介します。こちらの黒色と桜色の髪をした人たちがナトスさんとエルさん。そしてこっちの黒髪に夕焼け色の髪の人たちがアキラさんとイコさんです」
「うぃっす。まぁ、あんの馬鹿王に頼まれたとあっちゃ踏み倒そうとか考えていたんだが…まぁ、気まぐれ、ってやつだ。よろしくな」
「主ったら照れちゃって…ホントは図書館のお仕事の代わりに来たんですよ〜。先生から逃れるむぐぅっ…」
「い、イコ…それ以上言うんじゃねぇ! …頼むから」
アキラと呼ばれた黒いコートの少年がイコと呼ばれた少女の口を素早く塞ぎました。あまりの早さに周りの空気や草が浮いたほどです。
「ま、とにかくよろしくな。勇者様」
「あ、あははは…とにかく、目指すは魔王ロリコーンの住む居城!! レッツゴー!!」
こうして、ロリコーン討伐勇者隊が、遙か海の彼方、ロリコーンの居城へと進んでいきました。
つづく!!
ここでちょっと補足説明!!
今回出てきたイコとアキラは大人気連載中(?)の「正しい魔導書の使い方」の主人公とヒロインです! こちらもできればよろしくね!