三十七日目、生徒会担当教諭、伊賀甲賀のとある一日。
どうも。水月です。今回はハルたちは出てはきません。なかなかに大変な回でした…。
「ふあぁ〜ぁ…」
まったくもって、生徒会顧問というのはやることがとにかくなくて暇だ。
あ、ひょっとして、これは私目線か?
…すまない。水月。うっかりしていた。
まぁ、あいつのことだ。この辺はカットの方向で行くのだろう。気にはしないことにする。
さてと…。
「清水先生、コーヒーはまだですか?」
「す、すみません…お湯がまだ沸いていないのですぅ…」
そんな風にかわいらしく言ったのは、同じく顧問の清水このか先生。この人がわからない、と言う人は「脇役たちの鎮魂歌。」の回を見ろ。
そしてそこら辺でぞうきんで床を磨いているのは…。
「うぉら。きびきび働け。不法侵入者」
「…この不当な扱いはいったいっ…!!」
桜田に化けてやってきた桔梗とか言うくの一。まぁ、悪気の方は十二分にあったみたいなので私と萩が共同で飼って…もとい、養ってやってる。
「今確実に飼っていると言おうとしたよなぐふっ!?」
「うるさい下僕。さっさと私の…もとい、学校のために働け」
ちょっとうるさいときにはチョークの練習台にもなる。そこそこ使える下僕…もとい、生徒だ。
あん? 何で一般生徒がここにいるのか、気になるようだな? 読者諸兄の諸君。
清水先生がコーヒーを入れてくれるまで、ちょっとその訳を話そうか。
ご存じの方も、そうでない方もいると思うが、うちの学校は一般的な生徒がいる「生徒棟」と、生徒会役員が学校のために尽力を尽くす「生徒会室棟」がある。そこの生徒会室棟にて桜田たちはいろいろと日々、議論している…はずだ。
まぁ、様子を見ていないので、どうなっているかは知らないが。
とにかく、そこに一般の生徒は立ち入ることはできない。しかし、何事にも特例というモノがあってな。学校長…つまり校長のことだが…その人に立ち入りの許可証をもらえれば、自由に出入りができる。
しかし、立ち入りの許可証を得るためには何かしらに「秀でたモノ」がないといけない。
こいつの場合には身体能力が優れている、ということで入ることができた。
まぁ、平たく言うとこんな感じだ。ん? コーヒーができたようだな。
「清水先生、ありがとうございます」
「はいぃ。どうもですぅ。あ、いっちゃんの分もありますよぉ?」
「…清水先生、ありがとうございます。あの、毒とかは…?」
「入ってないから安心してくださいねぇ」
…いい香りだ。なんというか、こう、かぐわしい、というか、なんというか…。
「あ、そういえばぁ…」
そういいながら清水先生はなにやらタッパーを出してきた。
「このあいだ学食に行ったらぁ、女の子からクッキーをもらったんですよぉ」
そしてタッパーの中身を開けたとたん、なにやら紫色の煙が漂ってきた。なんだこれは!? 毒物か!?
「し、清水先生…? これは…」
「い、いや…たぶん…大丈夫のはずですぅ…」
「いや、怪しいと私はおもうのだがふぅっ…!!」
「じゃぁおまえが食え」
そういって私は桔梗の口に紫色の煙を発していた物体をすべて(固形状。おそらくはクッキーのたぐいと思われた)を押し込んだ。
大丈夫だ。くの一といったら結構どくの耐性が高い…はずだ。
そして桔梗は二口、三口、四口…ともぐもぐと租借をしていたが…。
だんだんと租借のスピードが落ちてきた。おまけに租借の音がもぐもぐ、から、しゃくしゃく、から、どちゃどちゃ、と…だんだんと食物を租借するような音ではなくなってきた。
おまけに顔もなにやら変だ。なんか、こう、漫画的に言ったら…黒い斜線が顔に引かれているような顔になってきた。汗も出てきている。そして結局、
…ごくんっ。
飲み込んだ。そのあとに桔梗は…。
「kdjがぬtぽさおjtbさいt@pさぽvさいとばふおいtがjとfcあmtfぽあhv!!!???」
壊れて、
「あへあへあへあへあへあへあへあへあへあへ…」
涎をまき散らしながら(恐らくラリった)くるくる回り、
「…ごふっ」
喀血して倒れた。
後で清水先生に頼んで調べてもらったのだが、あれは料理名では「カステラ」の部類に入ってはいたが、使われているモノが河豚の肝やらトリカブト、果ては青酸カリまで使われていた暗黒物質だったそうな…。
……食べなくてよかった。心底そう思っている。