二十五日目、誤報は真に受けるべからず。
「なんだ? このやみくろ生徒会ってのは」
「そっからですか」
まぁ、私もこんな団体名聞いたことないし…。
どこかの宗教活動なのかな?
そんなことを思っていたら、
「そこから出されてきた。きっちり郵送でな。ちなみにそれは「やみくろ」ではなく、「あんこく」と読むのが正しいと思うぞ?」
「あんこくか…なつかしいな。FF」
「早速危ない発言してる!!」
「何いってんだよ。ルビをよく見ろ。なつかしいな…FF」
「意味が二重になってると思いますよ…会長」
やんわりと雫ちゃんが突っ込みを入れたところで一つ思った。
「「「「「つっこみは激しく!!!!!!」」」」」
「はいぃぃぃぃ!!(涙目)」
ふぅ…これだけは言っておかないとすっきりしないわ…。
にしてもどうするんだろ、夏祭り。
こんな脅迫状が届いた、と言うことで中止にはならないと思うけど…。
「ちなみに、一応警察はくるが、念のためお前らには警備の方に回ってもらう」
「「「「「え゛え゛〜〜〜〜…」」」」」
楽しもうと思ってたのに…夏祭り…。
「ちなみに警備さぼってたらチョークがどこからともなく飛んでくると思え」
「「「「「喜んでつかせてもらいます」」」」」
よっし! 気合いが入ってきた!
あ、そうだ。コガセンはそう言ってその口から信じられない言葉が出てきた。
「もしも誰か一人でも死傷者が出たらお前らの責任。夏休みと進級はないと思え」
………………………………………は?
「「「「「はぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!!????」」」」」
「んじゃそういうことでな〜」
「「「「「いやまてぇぇぇぇえぇえぇぇえぇぇ!!!」」」」」
って言うか今回、生徒会全員でつっこむ頻度が多いね。
と思って廊下に出てみたらあらびっくり。コガセンはいませんでした。
「はぁ〜…さんざんな一日だったわ…」
生徒会棟の学食にて食事を取ろうとしていたとき、ふとニュースが聞こえた。
『…次のニュースです。今日、○×小学校の男子児童五人が屎を漏らしました』
まてぇえぇぇぇぇぇぇええ!!
公共の電波でこんなものを放送してもいいのか!!??
っていうか、そんな学級新聞に載せるようなネタを言うな!
「まったく…」
『…先ほどのはミスです。正しいニュースを読みます。
昨晩未明、桜ヶ丘高校一年、紅則春樹君が行方不明になりました』
は?
私は自分の耳を疑った。春樹が? 行方不明?
『ここ最近、このような学生をねらった行方不明事件が後を絶ちません。何があったのか、学者の先生に来てもらいました。先生、これは一体どういう事なのでしょうか?』
『おそらくはハーメルン現象、と言うものです。何者かが先導して、学生を誘拐したのでしょう』
へんな学者がへんな論説を唱えていたとき、私はえもいわれぬ不安感を胸に抱いた。
「春樹…」
だいじょうぶかな、あいつ…。
一方その頃…桜ヶ丘高校某所。
「くくく…世間ではお前がいなくなったと言うことで騒いでいるぞ? 紅則」
「……………」
春樹はぐったりとした顔で、何もすることがないような、
人形のような顔をしていた。
生きていない。ただその目には虚空しか映っていない。
そのような目だった。
「まぁいい…貴様があのとき、この生徒会を抜けたいなどと言わなければ、このようなことにはならなかったのだ…」
男は春樹に近づき、顔を自分の方向に寄せた。
「まぁ…貴様にはまた、役に立ってもらわねばな…そう」
男は春樹を手放した。
春樹はまた、先ほどのように虚空を見つめた。
「桜田ハルを、こちら側によせるために、な…ふっふっふっふっふ…」
そしてその後、
そこには、男の高笑いが響いた。