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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
春の章 ~そしてまわりだす~
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百二十四日目、死屍累々

さてさて。なにやら物騒なタイトルだね。何があったのかって?

聞かないでくれよ。

それでは、本編へドゾー。

「……何これ?」


私は今現在自分が置かれている状況を確認する。

白い壁、白い床。どこまでも続いていそうなくらいに白い部屋。

そこにはかろうじてテレビと認識できる物があって、ベットと認識できる物がある。ただ、全部が白。真っ白。純粋なくらいにまでの白。

気がついたときには私はその部屋でベットに寝ていた。

服も真っ白なローブのようなものに取り替えられていた。念のため確認したら下着も白だった。


「……気持ち悪い」


どこもかしこも真っ白で。窓がひとつもない。

ただ、上には何かしらの明かりがあるのだろう、非常に明るくはあった。


「やあやあ、目が覚めたようだね? 桜田クン?」


不意にどこから出てきたのか、白い学生服を着た人がいた。

顔は見えないが、柔らかい声色だった。


「誰ですか? ひょっとして私のファンか何かですか?」

「まぁ、ファンと言ってもいいかもしれませんね。あなたを捜していましたから」

「探していた?」

「ええ。私は、あなたの中にある、あるはずのない物を探して、ね」


あるはずのない物。

なんなんだろう。

なんか、思い出したくは無い。

思い出してはいけないような気がする。


「へ、へぇ。あるはずのないもの、ですか。何なんですか? それ?」

「ええ。それをあなたに思い出してもらおうと思いましてね」

「何? 拷問? 出来れば釜ゆでとかがいいかなー? 温泉の元をたくさん入れて」


出来ればその時には草津のお湯の元を入れて欲しい。あれ一度入ってみたかったんだよね。

そう思っているうちに白い学ランの人はくすくすと笑い出した。


「いやいや。あなたにする拷問はそんな物ではありませんよ。あなたの心を、少しね」

「kokoro?」

「キ○ロ見たく言ってもだめです。そうですね……実際に少しやってみましょうか」


そう言って白学ランの人は指を鳴らしてテレビをつける。

そこに映し出されたのは。


「え……? み……んな……?」


萩先輩、柊先輩、春樹、抄華ちゃん、雫ちゃん、会長。

そこにはいつもの生徒会メンバーがいた。

ただ。


「な、なんでみんな、十字架に磔にされてるの!?」


小さいテレビ画面の中では生徒会のみんなが十字架に磔にされていた。

どことなく服も切れているし、会長にいたっては血がだらだら出ている。


「さて、桜田クン、質問です。奥義はなんなんですか?」


扇? 何それ!?


「し、知らないわよ」

「では仕方ありませんね」


そう言って白学ランの人はまた指を鳴らすと、


ずどん。


何かがはじけたような音がして萩先輩の頭から血がでた。

え?


「ご覧のように、あなたが知らないと言い続ければ生徒会のメンバーは死んでいきます。我々が求める回答が出なければ、生徒会のメンバーは全員死にます。もう一度だけ聞きます桜田くん。奥義はなんですか?」

「は、萩先輩は!? 萩先輩はどうなったの!?」

「ではもう一度」


白学ランの人が指を鳴らしてまた、銃声が。

そしたら今度は柊先輩の頭から血が流れ出た。


「いやぁぁぁぁぁああああ!」

「これで二人目です。さあ桜田クン。奥義とは?」

「分かんないわよ!」

「では」


また銃声。

今度は春樹だった。


「あ……ああ……ああああっ!」


そこから立ち上がろうと足を踏ん張ったが動かない。何かに固定されているみたいだ。


「桜田クン、後がありませんよ? 奥義とは何なんですか?」

「知らないっ……知らない知らない知らない知らないっ!!」


ため息の音がした。

銃声。

見てみると雫ちゃんだった。


「……う……ううっ……!」

「さあ、後がありませんよ? 奥義とは何なんですか?」

「知らないって言ってるでしょ!? この人殺しっ!」


瞬間。銃声がした。

もういやだと思いながらテレビを見てみると抄華ちゃんが。

一緒に仕事をしたいと言ってくれた抄華ちゃん。

色々あった。これからも一緒だと思ってた。

なのに。


「――――うああああああああっ!!」


ベッドから立ち上がろうともがいたが、立ち上がれない。

白学ランは冷静に話す。声色は先程とは変わらない。

だが私はもう、こいつの言葉は聞きたくないと思った。

しかし。


「最後です。桜田クン。奥義書とは……?」

「…………」


本当に知らない。

なのになんでこの人は聞いてくるのだろう。


「知らない……ほんとに……しらないの……だから……もう、帰して……」


しばらくの無言。だけどそれは言う。


「だめです」


※――――


「どうでしたか? 基さん」

「あ、平部クン。来てたんだ」

「ええ。楽しみに待っておりましたからな」

「そんなに楽しみ? ヘイブドアグループなんとか個人で出てきたけど今もがたがたじゃないか。代表がこんなところで油売っててもいいの?」

「はっはっは。心配には及びません。我らが宣伝部長が頑張ってくれています。収入は安定しておりますよ」

「だといいけど……あ、そうそう、第二スタジオ、借りてくれててありがとね。おかげで計画は一歩進んだよ」

「ですが……あんな仕掛けでよかったのですか?」

「うん。あれくらいがちょうどいいんだよ。おまけに腕のいい手品師さん達だったからね。見事死体を演じてくれたよ」

「はぁ……でしたらいいのですが」

「ん? どうしたの平部クン?」

「いえ。先程のテレビを私も見ていたのですが……どういった仕掛けで?」

「ああ、それか。あれは至って単純。ただこめかみとか頭の辺りに吹き出す血糊を使ってただけ。足りない分はケチャップで応用したけど。テレビに映ってるとケチャップも本物そっくりで映るんだよね」

次回予告。

「どういう事だ!?」「何度も同じ事を言わせるな」「私たちに出来ることを探しましょう」「もぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」「す、すこしくらいなら……」「いざとなったら私、脱ぎます!」「竜介……腕、つかっていいか?」


次回、桜ヶ丘高校生徒会役員「奇々怪々」

……ウソです。ごめんなさい。

ただちょっとだけ天使なビーツをやりたかっただけなのさ……。


……浅はかだ。

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