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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
冬の章 ~ソノオモヒハ ソラニイク~
130/151

百十八日目、すこし、昔のお話です。

更新が遅れてすみません。


桜田「なにがあったのよ」


テストべんきょやらその他諸々があって……。


桜田「……その他諸々が気になるわね」


そんなことより本編へGO!!!


桜田「ちょ、無視か!!」

鈍い音が響く。

何かを殴るような、音だ。

身体の節々が……全身が、痛い。

まるで、身体を引きちぎられているみたいだ。

俺は少しだけ、目を開けた。

蒼い髪を持った女が、こちらにまた向かってきている。


※――――


すこし、昔の話をしましょう。

すこし、昔の話をしましょう。


あるところに、とても仲の良い、一組の女の子達がいました。

べつに、二人はつきあっているとか、そんなことはありませんでした。

ただ、二人は仲が良かった。

それだけです。

いえ、仲が良かった、なんてものじゃありませんでした。

どこに行くも二人は一緒、絶対に彼女のそばには彼女が居る。

自分の居場所は彼女の隣。

それくらいに仲が良かったのです。

彼女たちはやがて成長し、中学生になりました。

彼女たちは変わらず、仲がよろしかった。

しかし……。

彼女は、いけないことにその手を染めてしまいました。

まだ何も知らない、雪のような白い手が、

まだ何の力もない、幼子のように純粋な手が、

みるみるうちに汚されていきました。

みるみるうちに穢されてしまいました。

それはもう、以前のような「彼女」ではなく、

ただの醜い、「女」と成り下がっていました。

やがて、女はもう一人の彼女を誘おうと思いました。

彼女は女の様子が変だと分かっていました。

ですから、彼女は女を助けようと思ったのでしょう。

しかし、それがいけなかった。

だけど、それは間違いじゃなかった。

彼女は自身と女に襲いかかる人たちを、自身の力で倒していきました。

しかし、彼女はその力を制御できず。

女すらも傷つけてしまいました。

女は病院に行きました。

彼女はお見舞いに行きました。

そして女は錯乱していたのか、彼女を見て、とてもひどい一言を放ちました。

とても、とてもひどい一言でした。

女は何も感じませんでした。

何も、感じることが出来ませんでした。

女が正気に戻ったとき、自分を責めました。

女の元に彼女はおらず、

彼女の元に女はいませんでした。

それが、女には耐え難い苦痛だったのでしょう。

それは、女への罪の対価なのでしょう。

やがて、女は自身を責め、攻めせめ続け、

やがて、女は死んでしまいました。

自身で命を絶ちました。

これが、女の出来た、彼女へのお詫び。

これが、女に唯一出来た、彼女への慰め。

しかし、彼女はそのことを知ることはありません。

女はそれでも良いと思いました。

ですが、彼女のことは思い続けている。

それが神様にも通じたのでしょう。

神様は、女を自分の妻として、娘として迎え入れました。

神様は、女に自身と同じ力を、女に宿しました。

そして女は力を手に入れました。

その手はすでに何事をも跳ね返す白い手で。

その手はすでに何者をも守れる強い力を手に。

女は思いました。

この力で、彼女をあらゆる事から守ってあげようと。

この力で、彼女が望むものを全て与えてあげようと。


すこし、昔の話をしましょう。

すこし、昔の話をしましょう。


※――――


「あなたが……」


蒼い髪の女はこちらに向かってその双眸で睨んでいる。


「あなたが、いるから……っ! 桜田さんは……! さーちゃんは、苦しんでいる……! もがいている……!」


……おいおい。

俺、ひょっとして邪魔なのか? 

はっはっは。いや、まいったな。

でもな……。


「もう二度と、守れるもんを手放したくねぇんだよ」


静かに、そう言った。


「そう……なら、仕方ないわね」


蒼い髪の女は、その双眸で睨みながら、俺の首をつかんだ。

強い力だ。

息が出来なくなってきている。

自分の首から出ているのは、もはやすきま風のような息だけ。

苦しい。


「ここで、あなたは誰にも知られずに、死になさいっ……」


ここで全て終わる。

ああ。終わりか。終わりなんだな。

くそっ。終わりかよ。


気が遠くなりながら、俺は未練を残していた。

まだまだやることはある。だから俺はまだ死ねない死にたくない。

けど、この状況ではどうしようもない。

どうすることも出来ない。

そう思ったとき。


「藤代さん!!」


あいつの、声がした。

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