百十八日目、すこし、昔のお話です。
更新が遅れてすみません。
桜田「なにがあったのよ」
テストべんきょやらその他諸々があって……。
桜田「……その他諸々が気になるわね」
そんなことより本編へGO!!!
桜田「ちょ、無視か!!」
鈍い音が響く。
何かを殴るような、音だ。
身体の節々が……全身が、痛い。
まるで、身体を引きちぎられているみたいだ。
俺は少しだけ、目を開けた。
蒼い髪を持った女が、こちらにまた向かってきている。
※――――
すこし、昔の話をしましょう。
すこし、昔の話をしましょう。
あるところに、とても仲の良い、一組の女の子達がいました。
べつに、二人はつきあっているとか、そんなことはありませんでした。
ただ、二人は仲が良かった。
それだけです。
いえ、仲が良かった、なんてものじゃありませんでした。
どこに行くも二人は一緒、絶対に彼女のそばには彼女が居る。
自分の居場所は彼女の隣。
それくらいに仲が良かったのです。
彼女たちはやがて成長し、中学生になりました。
彼女たちは変わらず、仲がよろしかった。
しかし……。
彼女は、いけないことにその手を染めてしまいました。
まだ何も知らない、雪のような白い手が、
まだ何の力もない、幼子のように純粋な手が、
みるみるうちに汚されていきました。
みるみるうちに穢されてしまいました。
それはもう、以前のような「彼女」ではなく、
ただの醜い、「女」と成り下がっていました。
やがて、女はもう一人の彼女を誘おうと思いました。
彼女は女の様子が変だと分かっていました。
ですから、彼女は女を助けようと思ったのでしょう。
しかし、それがいけなかった。
だけど、それは間違いじゃなかった。
彼女は自身と女に襲いかかる人たちを、自身の力で倒していきました。
しかし、彼女はその力を制御できず。
女すらも傷つけてしまいました。
女は病院に行きました。
彼女はお見舞いに行きました。
そして女は錯乱していたのか、彼女を見て、とてもひどい一言を放ちました。
とても、とてもひどい一言でした。
女は何も感じませんでした。
何も、感じることが出来ませんでした。
女が正気に戻ったとき、自分を責めました。
女の元に彼女はおらず、
彼女の元に女はいませんでした。
それが、女には耐え難い苦痛だったのでしょう。
それは、女への罪の対価なのでしょう。
やがて、女は自身を責め、攻めせめ続け、
やがて、女は死んでしまいました。
自身で命を絶ちました。
これが、女の出来た、彼女へのお詫び。
これが、女に唯一出来た、彼女への慰め。
しかし、彼女はそのことを知ることはありません。
女はそれでも良いと思いました。
ですが、彼女のことは思い続けている。
それが神様にも通じたのでしょう。
神様は、女を自分の妻として、娘として迎え入れました。
神様は、女に自身と同じ力を、女に宿しました。
そして女は力を手に入れました。
その手はすでに何事をも跳ね返す白い手で。
その手はすでに何者をも守れる強い力を手に。
女は思いました。
この力で、彼女をあらゆる事から守ってあげようと。
この力で、彼女が望むものを全て与えてあげようと。
すこし、昔の話をしましょう。
すこし、昔の話をしましょう。
※――――
「あなたが……」
蒼い髪の女はこちらに向かってその双眸で睨んでいる。
「あなたが、いるから……っ! 桜田さんは……! さーちゃんは、苦しんでいる……! もがいている……!」
……おいおい。
俺、ひょっとして邪魔なのか?
はっはっは。いや、まいったな。
でもな……。
「もう二度と、守れるもんを手放したくねぇんだよ」
静かに、そう言った。
「そう……なら、仕方ないわね」
蒼い髪の女は、その双眸で睨みながら、俺の首をつかんだ。
強い力だ。
息が出来なくなってきている。
自分の首から出ているのは、もはやすきま風のような息だけ。
苦しい。
「ここで、あなたは誰にも知られずに、死になさいっ……」
ここで全て終わる。
ああ。終わりか。終わりなんだな。
くそっ。終わりかよ。
気が遠くなりながら、俺は未練を残していた。
まだまだやることはある。だから俺はまだ死ねない死にたくない。
けど、この状況ではどうしようもない。
どうすることも出来ない。
そう思ったとき。
「藤代さん!!」
あいつの、声がした。