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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
冬の章 ~ソノオモヒハ ソラニイク~
123/151

百十一日目、一から始め。

なんだかんだでサクコーは一周年を迎えました。ありがとうございます。

これもひとえに読者様方の応援があったからこそだと思います。

これからも末永く、この作品とおつきあいをよろしくお願いします。


――んな事はともかくとして早速本編へGO!!

消失編、第三話!!

「桜田。ちょっといいか?」


休み時間。コガセンに不意に呼ばれた。

一応コガセンの所に行った。コガセンは職員室まで私を連行(?)していった。


「んで何ー? コガセン」

「? コガセンって……。珍しいな。いつからそんなにフランクになったんだ? 桜田。いつもだったら私のことは『甲賀先生』って呼んでいるだろう?」


こ、甲賀先生って……。

私は一体どんなキャラだったんだ!?

自分自身に自己嫌悪と探りを入れたい気分になりつつ、


「んで、コガセ……じゃなくって、甲賀先生何の用事なんですか?」

「んー? お前にちょっと藤代の学校案内を頼もうと思ってな」


藤代八雲。

自己紹介の時に私をじっと見ていたあの子だ。


「なぜに私なんですか?」

「? 確かお前、藤代とは同じ中学の友達じゃなかったか? だいぶ親しいと聞いていたぞ」

「はぁ……――ッ!?」


一瞬、視界がぐらついた。

ちょっと頭を押さえて深呼吸。深呼吸。

――中学校からの友達。

何かを思い出しかけたけど……何だったんだろ?

まぁ、些細なことはほっておいて……。


「あの……できればそーいうことは別の人に……」

「ちなみに引き受けてくれたら午前中の授業は免除だ」

「やりましょう」


困っている人を放っておくのはいけないことだと思う。


―――※


「――ここが保健室。九割仮病の人が使う部屋。んじゃ、藤代さん、いい? 行くよ?」

「はい」


どうも。桜田ハルです。

今現在、私たちは学校の中をぶらりぶらりと彷徨っています。

と、いうのも今藤代さんの学校案内中。

意外と骨が折れるんですね。これは。


「ここは食堂。おいしい物とかがあるところ」


かどうかは定かではないんだけどね。私行ったことないし。


「まぁ、食堂ですし。おいしい物とかがたくさんあるんですね」


これは藤代さんのコメント。

んで、さっきの食堂がラスト。


「以上、桜ヶ丘高校の案内でした、っと。なんかもう一度行きたいところ、他にない?」


藤代さんは少し考えた後顔を上げ、


「……生徒会室に行きたいんですが」


――――※


「――ここが生徒会室。詳しくは分かりません」


と、言っているものの、内心、のぞき込みたくてうずうずしていた。

この中にはいつも通りの生徒会があるはずだ。

そう信じたい。

生徒会室棟が無かったことには少し驚いたけど……。でも、


(居るはずですよね? 会長)


願いを込めてドアを開いた――――。


「ん? いらっしゃ~い生徒会室へ~」

「かわいらしい生徒会役員もいらっしゃるんですね……どうしたんですか? 桜田さん? 顔が青いですよ?」


いや、青くもなる。

だって、目の前にいるのは……。


「おい、黒芽。そんなところで油を売らずに、さっさとこちらの書類を整理しろ。卒業式まで日はないんだぞ」

「んにゃぁ~。輝君のいじわるぅ~」


いつぞやだったのか忘れてしまったけど、そこにいたのは麻上輝と黒芽エルだった。

てか――


「な、なんで……ここに……?」

「あら? いつぞやの校門の子じゃない」


そう言って話しかけてきたのは柊先輩だった。

ちなみに萩先輩は黙々と自分の作業をこなしていた。


「ひ、柊先輩!? あ、あの、その……こ、この二人って生徒会の人……でしたっけ?」

「ぶーぶー! ひどいぞー! ぶー! ぶー!」

「僕らは正々堂々と生徒会選挙に立候補して、そして今、この場所にいる。違うと言うことは無いだろう?」

「…………」


私はただ、呆然としていた。


「桜田さん? どうしたんですか?」

「…………お仕事中、失礼、しました」


何とか声をひねり出して、私たちは生徒会室を後にした。


昼休み。

私は図書室に行って生徒名簿を覗いていた。

ほんとは普通の生徒は覗いてはいけないモノだったが、ちょっと目をかいくぐって見ることに成功していた。

そして私は一人の生徒を捜していた。


「夏樹竜介――夏樹竜介――」


三年生の名簿を見つつ、会長の名前を必死に探した。

だが、三年生の名簿の最後の欄にも、二年生にも、ましてや一年生にも居なかった。

私は、確信した。

いや、確信してしまった。

この学校に――桜ヶ丘高校に――


「会長が……居ない」


そう絶望と一緒につぶやいた。

その瞬間。


たら~ら~らら~ら~らら~ら~らら~ら~(花は桜 君は○しのテンポで)


携帯が鳴った。

私は携帯を取って見てみると、またしても非通知でかかってきていた。


「……もしもし?」

『どうですか? あなたの望んだ日常は、楽しめていますか?』

「……会長は」

『あの男は居ませんよ』

「――――っ!」

『あなたがあの男をどれだけ渇望していても、私にはそれをどうにかすることはできません。あの男がいるから、この世界は駄目になってしまうのです』

「会長は、そんな人じゃ――」

『とにかく。あなたの望んだ日常には、あなたを敵視する人間も、あなたの特別な力も、あなたの何もかもが一から始めです。これで、私からの電話も最後です。では、桜田さん』


そして、電話の声の主は少し笑ったような声を出し、


『明日、学校で会いましょう?』


そう言い残し、電話は切れた。

会話の終了音が――あのツー、ツー、と言う音が、ひどく虚しく私の中に響いていた。

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