百七日目、大きな間違いを起こす前にちゃんと伝えられることは伝える事。
ふっふっふ……ついに……ついにこの時が来たか……。
俺は一人の生徒……しかも生徒会役員の生徒に変装して、
今俺は、生徒会に侵入している。
くくくっ……他愛のない。
俺がまさか「全てを統べる八人」の内が一人の奴だとは知りもしないだろう……。
そのままお前らは秘密を俺に漏洩し、我らが手中に落ちるがよいわ!
くぁ~っくぁっくぁっくぁっ!!
おっと……変に笑い声を出しては適わない……。
正体がばれる……もとい、変に違和感に気づかれてしまうからな……。
「よ~し。お前ら集まってるな?」
む? そろそろ何か始まるのか?
「うっし。じゃぁこれから第999999999999999999回、桜ヶ丘高校定例会議を行うぞ~」
って、京(注;兆の上の単位のこと。この場合はお金の単位)!?
もう定例会議って京も行われてるのか!?
って、これくらいで驚いてはいかんな……。
だから俺は周りの七人にも……よりにもよって一番バカにされたくない黒芽にもバカにされる始末だからな……。
「さて……今回の議題なんだが……」
そう言って夏樹は雫を呼び出すと、雫に今回の議題を後ろにあるホワイトボードに書かせた。
雫はMSゴシックにもどことなく似ている字で今回の議題を書いていく。
やがて書き終わるとそこには、
「さて、今回の議題は『学校に物干し竿は不要か必要か』と言う議題だ」
(なんでだぁぁぁぁぁぁあああああ!!)
俺は心の中でつっこみを入れた。
なんでだ!! 普通に考えたら分かることだろう!! 学校には物干し竿は不要――
と、そこまで俺が考えたとき、俺は一つの考えに思い至った。
これは……こいつら、気づいてるんじゃないのか!?
俺が、紅則春樹ではなく、
別の存在だと言うことに!!
い、いやまて。
いかに報告書に書いてあったことが本当だったとしても、俺の変装はそんな簡単には見破れないハズ……。
と、そこまで思ったときだった。
気づいてしまったのだ。
目の前にいるツインテールの女子が……こちらを睨んでいることに。
あれはたしか……危険ランクがBの桧木抄華!!
一応には危険人物だと思っていたのだが……まさかそこまで気づかれていたのか!?
はっ! い、いかん!! 落ち着け! 落ち着くんだ、俺!!
この完璧な変装が気づかれるわけ無いだろう!!
どうやら俺がテンパっている間も会議は進行されていたらしい。
と、いうかどうやって進行されていたんだ? あの話題で。
ホワイトボードを見てみると……。
今回の議題
・学校に必要がある物は何か?
物干し竿
鞭
スペツナズナイフ
RPGツクール2008
ゲーム機
エロ小説
官能小説
エロゲ
鍋
土鍋
春菊
蒟蒻
薓
蟇
葱
カセットコンロ
テントセット
スコップ
石灰
ライター
ポリ袋
棺桶
死体(もしくはゾン )
・学校に必要ない物は?
筆記用具
教科書
鞄
気に入らない人物(主に ゃ ん )
小説、ヤンキー不可
どごしゃぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!
「おわぁ!? どうした紅則!?」
俺は思わずずっこけてしまった……。
な、何故だ……。
何故だぁぁぁぁあ!!
何故必要ない物が必要ある物の欄に入っている!?
その上何なんだ!!
必要ある物の欄になにやら人の人名が書かれているのは!!
思いっきり消していたとしてもバレバレだから! 妙になんかてっかりしていて微妙に見えてるから!! ホワイトボードでも見えるから!!
しかも必要ある物の欄が妙に怖いラインナップだ!!
棺桶が出てきた時点でもうすでにお前ら人を――
と、ここまで思ったとき、俺はまた気づいてしまった。
も、もしかしてこいつら……
すでに人を殺しているのか……?
だ、だとしたら……おれがここにいたら……確実に……死、
い、いやまて。待つんだ俺。何度も言うようだがこの変装は決して見破れる物ではない。
そう。この変装は絶対無敵、完全無欠なのだ!!
だから……だからばれるはずが……。
そうだ。落ち着け。落ち着くんだ。
いざとなったら非常用の脱走経路を使えばいいじゃないか。
だから……おちつ
「……お嬢様、こちらにあるものはどこに置いておけばいいのでしょうか。もうくさくて仕方がありません」
「まってて、井宮さん。もう少しで終わるから、あと少し待ってて」
やっぱり……。
やっぱりこいつら人を殺してたぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!
俺はその場から窓を割って逃げ出した。
他の奴らが止めたとしても俺はとまらない!
自分の命がかかってるんだ!
へたをしたら……俺は死ぬかもしれない!!
逃げろ! 逃げるんだ! 俺!!
――――※
「お、おい……あいつ……何であんなに速く走ったんだ?」
私たちはすごい勢いで窓を割って走っていく春樹をただただ唖然と見ているだけだった。
「さぁ……? ただ、今回の議題は腐鍋だったのに……」
「あぁ。会長、すみません。うっかりしていて紅則君に『物干し竿』が『鍋』の隠語だって事を教えておくのを忘れてました」
よもや……。
それに驚いたのでは……?
そりゃぁ、端から見れば驚くような内容ばっかりだったし……。
「……もしや……このくさやに驚いたのでしょうか……?」
「まぁ、そうかもしれないわね……」
「……上物のくさやですし……私の好物なのですが……このにおいは一度服についたら取れませんので、私が管理していたことが仇になったのでしょうか」
まぁ、天井裏からは少しばかりにおいは漏れていたし……。
「ま、あれだな。萩。今度から気をつけろよ?」
「は~い」
そして数分後。
体育倉庫にてガムテープでぐるぐる巻きにされた春樹を見つけた。
「ホントに何だったの? 今日は」
―――――※
「……あ。もしもし、妃さんですか? 俺です。しばらく身を隠します。はい……はい……すみません。もうそろそろ計画は最終段階に入ってるって言うのに……俺だけなんか得しているような役で……はい。はい……すみません。では」
そして俺はケータイを切った。
今俺は空港にいる。
そう。俺は一人のんびり、南の島で暮らすつもりだ。
そうすればあの殺人鬼の集団からも逃げられるだろう。
ほとぼりが冷めたら……戻ってこれるだろうか……。
おれ、また日本の土を踏めるかな……。