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桜ヶ丘高校生徒会役員  作者: 嫁葉羽華流
冬の章 ~ユキ ト オモヒデ~
110/151

百日目、かっこいい台詞ってのはなぁ、いいかっこしたやつがいいかっこしたときにだけ使っていいもんなんだよ

はい、復活しましたがふぉぉ!

……大丈夫です、ちょっとあたりに血が……あ、これケチャップですね。はい。すみません。

そして……何気に百日切ってね? これ。


「……おい、だれだ? おめぇ?」

「なんだなんだなんだぁ? 俺の名前を知らない一般人Aモブかコノヤロォ。桜ヶ丘高校生徒会役員第一話から見直してこいや、このボケなすが。俺は、三年の生徒会長ちゃん夏樹竜介君だよこんにゃろぅ」


そうも言いつつこいつホント誰なんだ? と俺は思うぞ。

こんな奴は校内にはいないし、ましてやクリスマスの余興にも呼んではいない。

ほんっとに誰なんだ? これ?


「おいこらてめぇ、いまよぉ、おれんことをものあつかいしなかったかぁ?」

「しらねぇなぁ。甘ったるい声だしてんじゃねぇよ。発情期の途中か、お前は。そのまま年がら年中発情して、精も根も尽き果てとけってんだ」


そして俺はキャスター椅子から降りて清水先生をキャスター椅子に乗せたあと、肩を回した。

……うっし。いけるな。


「あーとりあえず、だ。サンタさんからのクリスマスプレゼントを配る予定だったのが一発でだだ狂いだよ。お前のせいでな。慰謝料払え慰謝料。あと治療請求費とか」

「ほざけ。かんけーないやつぁ、だぁってろってんだよ」

「どっちがかんけーねぇんだよ」

「100パーおめーだよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」


黄色いハンケチに顔を隠した男がコートからサブマシンガン(っていうのか、あれ?)をとりだして、

撃ってきた。


「いいいいいいいいぃぃぃぃいいいいいいいやっっっほおおおおおおおおおおおおいい!!」

「おわ、ちょ、あぶない、危ないって!!」


ばらららららと銃弾がこちらに向かって雨あられの如く降り注いで来た。

俺はそれを難なく避けながら(いやでもあぶねぇんだぞ、あれ。あたるといてーし)右左右左にと避けていった。

そして近距離に詰めた後、


「とったぁ!!」

「ぬかせぇ!!」


点滴台で思いっきり相手の側頭部にぶち当てようとしたのだが、サブマシンガンによって防がれた。

一瞬つばぜり合いと火花が起こったものの、そこまでひどくはない。

その後、俺は距離をとって相手とにらみ合った。

そして……。


「……やるなぁ、お前。一般人Aモブというのは撤回してやろーじゃねぇか」

「じょーとーだコノヤロォ。んじゃあとっととしゅやくをよこしやがれってんだ」

「……だぁれが」


そして、点滴台を持ったまま踏み込む。

そのまま相手にダッシュをかけた。


「やるかボケェェエェェェエェェエエエェェェエェェエエエエエエエエエエ!!!」











「さぁてさて……お前なんかを助けになんて……やってくるのかねぇ?」

「だよなーっ!」

「あいつ、お前なんて彼女じゃねーって言ってたんだからよぉ、そのまま見捨てるんじゃねぇのかー?」

「だよなーっ!」

「つーかお前、マジかわいくね? 俺の女になったらひぃひぃいわせっからよぉ、楽しくヤラネ? 今からよぉ?」

「だよなーっ!」

「あ、あの……だったら上着とか脱がないでくれませんか? 見てるこっちが寒くなるんですけど……」

「いーんだよ、今からお前を……犯すんだからよぉ!」

「だよなーっ!」

「きゃーっ!!」


そして自分は扉を蹴破った。

もろかった木の扉はあっけなくバラバラに砕けた。

粉塵が、埃があたりに濛々と立ち、自分の姿を見えなくしていた。


「な、なんだぁ!?」

「おい、見てみろ、あれ!」


さぞかし驚くことだろう。

自分は、どうやら初めて五十人弱(正確には覚えてはいないが、あの場には五十三人いた)相手にしたのだから。相手は鉄パイプやモデルガン、はてまた鉄バットから釘バット、メリケンサックからアメリカンクラッカーまで用いて戦ってきたのだ。アメリカンクラッカーの方は謎だが。

で。

今の自分は当にぼろぼろ。

額からは血が出てるし、息も絶え絶え。肋骨の方や膝もいかれている。

ここまで持ったのが奇跡、と言いたいくらいだ。

だが。

それでも自分は助けないといけない。

だからこそ、助けなくてはいけない。

だって、関係ないんだから。

関係ない、一般人だから。


「と、とりあえず、だ、む、むこうはもうぼろぼろだ! 今ならやれるぞ! おい、誰かいけ!」


相手が誰かを差し向けようとしている。

だが、誰も行こうとはしない。


「どうした!? さっさと行けよ!! 相手は弱り切ったあのクサナギだぞ!? 奴を倒せば……名を、名を上げるぞ!」


その一言で、ようやく一人、手元に転がっていた石を拾ってこちらに向かってきた。

怯えた声を出して、精一杯の勇気で向かってきたのだろう。

だが、


「喰らえぇぇぇええええがふぅい」

「くらうか……ばかが……」


そんな物、何の役にも立たない。

自分はその向かってきた奴を打ち据え、そのまままっすぐに歩いた。

何故だろう。

体はもうぼろぼろなのに。

もう、歩くことはできないのに。

まだ、なんで自分は歩くのだろう。


「なんで……」


紫苑がつぶやいた、そして、


「なんでここに来たんだよぉっ!!」


紫苑が泣きながら、叫んだ。

自分はその場に立ち止まった。

そして、


「……惚れた女に怪我してほしくねぇからだろ」


時間が、とまった。


「……惚れた女に、笑っていてほしいからだろ」

「惚れた女にキレイでいてほしいからだろ」

「惚れた女にいつまでもいてほしいからだろ」

「惚れた女にそばにいてほしいからだろ」

「惚れた女に無事でいてほしいからだろ」

「惚れた女に安全でいてほしいからだろ」

「惚れた女に厄がこねぇようにするためだろ」

「惚れた女に……幸せでいてほしいからだろぉが」


自分はふぅ、と息を吐いた。

そして、右手に握った木刀を握り直し、


「……それ以外の、何がある?」


そのとき自分は、

笑っていたことだろう。

そのとき自分は、

たぶん、銀河で一番、カッコよかったんだろう。

そのとき自分の彼女の涙は、

全時空で一番、キレイだったんだろう。

皆さんに、季節外れ的な言葉を。

メリークリスマス。

萩君……クサイ、ξよ

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